仕事や子育てのコミュニケーションにおいて、思った通りに伝わらなかったり、誤解を招いたりして悩むことがありませんか?
実は、少しの工夫と言い換えのコツを知るだけで、そのコミュニケーションが劇的に変わります。
本記事では、1,000人を超える社長・企業幹部に伝え方を伝授し、”伝説の家庭教師”で有名な岡本純子さんの著書「世界最高の伝え方」からポイントを解説します!
すぐに使える実践的なテクニックで、あなたのコミュニケーションスキルを一段階アップさせましょう!
人を動かす伝え方のポイント
●相手に明確なイメージを浮かばせる言葉を使う
●対話の中で「提案」や「問いかけ」の表現を使う
●「過去」ではなく「未来」の話をする
●「理由」を説明する
●自分の「期待感」や「失望感」を伝える
●「否定」を「肯定」に変換して伝える
●ほめるコツは「認める」「共感する」「ほめる」「感謝する」の4つ
①相手に明確なイメージを浮かばせる言葉を使う
相手に行動変容を促したい時は「具体的な行動や方法を示すコミュニケーション」を意識しましょう!
例えば、相手に対して行動の改善を促すように伝えたのに「わかっていないのかなぁ」と感じてしまう時がありませんか?
このような時、”伝える側のイメージ”と”相手のイメージ”が異なっているという状況が起こっています。
そして、根本原因として「大きすぎる抽象言葉」で伝えてしまっていることが挙げられるのです。
大きすぎる抽象言葉とは、
「早くしなさい」
「気をつけて」
「しっかり準備して」
「スピード感をもって」などの表現です。
大きすぎる抽象言葉は、伝える側には頭の中に求めるイメージ像が浮かんでいるものの、抽象的なので、伝えたつもりになりがちです。
そのような時には「小さく、具体化」を意識して相手にイメージが伝わるように伝えましょう。
- 「大きすぎる抽象的言葉」→「小さく具体的言葉」に言い換える方法
- NG「早くしなさい」
Good「7:15に靴を履いて玄関から出られる状態にしてくれる?」
NG「気をつけて」
Good「その岩はすべりやすいのでゆっくりでいいよ」
NG「しっかり準備して」
Good「明日の資料、5つの条件がクリアできているかもう1度確認してもらえる?」
NG「スピード感をもって」
Good「2日後までに作業が完了して報告できるように」
このように言葉を映像化して具体的な行動イメージを伝えると、相手の頭の中にくっきりとイメージが浮かぶので「伝わる」のです。
②対話の中で「提案」や「問いかけ」の表現を使う
人の心は、論理よりも感情で動きます。
相手を動かしたり説得したい時ほど、「相手の話を傾聴しながら問いかけるコミュニケーションスタイル」を意識しましょう!
昭和型のリーダーは「命令型の強権タイプ」でしたが、現代型リーダーは「共感型の相手に寄り添う」タイプへとシフトしています。
つまり、一方的に正論を述べて説得や命令を指示するリーダーは淘汰される時代なのです。
人の心を動かしたいなら、「言って聞かせる」のではなく、「聴いて引き出す」コミュニケーションを意識しましょう。
例えば、「〇〇についてどう思う?」「〇〇と思うんだけど、どうかな?」「〇〇について一緒に考えてみようか」などの表現です。
どんな質問をすればよいかわからない方は、コーチングで使われているGROWモデルを参考にしてみるとよいですよ。
- GROWモデル
- Goal(目標): 何を達成したいのかを明確にする。
Reality(現実): 現在の状況や現実を把握する。
Options(選択肢): 達成するための可能な方法や選択肢を考える。
Will(意思決定): 実行するための具体的な計画や行動を決定する。
G→R→O→Wの順番で問いかけていくと「相手に気づきを与えるコミュニケーション」ができるようになります。
GROWモデルの話法例
- Goal(目標): 「あなたが今後1年間で達成したい目標は何ですか?」
- Reality(現実): 「現在の状況を振り返って、どのような問題や障害がありますか?」
- Options(選択肢): 「この問題を解決するために考えられる選択肢は何がありますか?」
- Will(意思決定): 「次に取るべき具体的な行動は何ですか?それを実行するためのステップは何がありますか?」
③「過去」ではなく「未来」の話をする
相手を動かしたい時は「これからの行動」に視点向けて伝えることを意識しましょう!
例えば、子供や部下が間違いをした時に「なぜそんなことをしたの?」「どうして、やったの?」という”誤った問いかけ”をしていませんか?
このような誤った問いかけをしても、相手はその場を取り繕う答えでごまかすだけです。
「なぜそんなことをしたの?」「どうして、やったの?」は問いかけているフリをしているだけです。
問いかけた”つもり”になっているだけなので、誤ったアプローチです。
すでに起こったことに目くじらを立て、口うるさく指摘したところで、相手が反省して同じ間違いを繰り返さないようになるわけではありません。
「過去→未来」に言い換えて伝えるように心がけてみましょう!
- 「過去」→「未来」に言い換える表現
- NG「なぜ遅刻したの?」
Good「これから遅刻をなくすにはどうしたらいいと思う?」
NG「何度言ったらわかるの?」
Good「これから、どうしたらいいと思う?」
NG「同じ間違いばかりするよね?」
Good「どこがわかりにくい?一緒に解決策を考えてみようか?」
④「理由」を説明する
人を動かしたい時ほど、「なぜなら」を加えて理由も説明することを意識しましょう!
依頼や指示をする時に「理由」を説明するだけで説得力が格段に上がります。
意外と抜けがちになるんですよ。
例えば、子供に「早く食べて!」や、仕事で「早く報告して!」とだけ伝えてしまっている時はありませんか?
理由を伝えない依頼は、相手が理由を把握できていないので「なんでそんなこと言われなきゃいけないんだ」と納得してもらえません。
その結果、「相手は不満を抱きながら渋々従う」か「依頼を拒否する」といった行動をとるようになります。
このようにお互いにとって不幸なコミュニケーションに陥らないために、「理由」をつけ加えて説明することが大切です。
- 「依頼のみ」→「依頼+理由」に言い換える表現
- NG「早く食べて!」
Good「早く食べてくれると助かる。なぜなら〇時〇分の電車にのらないと会社に遅刻して怒られるんだよ」
NG「早く報告して!」
Good「早く報告してくれると助かる。なぜなら〇時までにチーム内の結果を集約して報告しなければならないんだよ」
依頼や指示をする時は「なぜなら」「〇〇なので」をつけて説得力を高めて伝えましょう!
⑤自分の「期待感」や「失望感」を伝える
相手の行動に焦点を当てて、どこが問題だったのかを理解してもらいたい時は「私は〇〇の気持ちになった」という伝え方を意識しましょう!
相手の問題点を伝える時に「あなたはいつも〇〇だ」「あなたはそもそも〇〇ばかりする」という主語が”あなた(YOU)”のトークは最悪です。
なぜなら、主語が”あなた(YOU)”のトークは相手を奮起させる効果がないだけでなく、傷つけたり自己肯定感を下げるからです。
心理学者の研究では、「あなた&非難」の言葉は最も強い敵対心を呼び起こす反面で、行動を喚起することには最も効果がないという結果があります。
一方で、「私&悲しい気持ち」の言葉は敵対心を弱め、高い行動喚起傾向があるという結果が示されています。
「私はあなたが〇〇なことがとても残念に思う」「私はあなたが〇〇したことをとても悲しく感じた」などの、主語が”わたし(I)”の伝え方を意識しましょう!
- 指示のみ→依頼+理由に言い換える表現
- NG「あなたは家事を全くやろうとしない」
Good「家事を分担してくれないと私はとてもつらい」
NG「あなたは話を聞いていない」
Good「話をきちんと聞いてくれないと私はとても悲しい」
NG「あなたは〇〇ができていない」
Good「私は〇〇までできると期待していたので残念に思う」
他に効果的な言葉として「惜しい!」「もうちょっと!」などの期待感と失望感をセットで伝える表現も有用ですよ。
⑥「否定」を「肯定」に変換して伝える
肯定的な言葉がけをすることで、相手が解答を見つけられるように導くことを意識しましょう!
ご存じの方が多いかもしれませんが、「〇〇するな」という否定表現は、逆にそのことに意識を集中させてしまう作用があります。
実際にハーバード大学心理学教授のダニエル・ウェグナー氏は「何かを考えないように努力すればするほど、かえってそのことが頭から離れなくなる」という皮肉過程理論を提唱しています。
そもそも、「〇〇してはいけない」と言われても、「じゃあ具体的に何をすればいいの?」となりますよね。
このように、否定表現は”わかりにくい”という問題点もあります。
よって、行動を制約するよりも「ポジティブな言葉」で代替案を示してイメージさせる方が相手は動きやすくなるのです。
- 指示のみ→依頼+理由に言い換える表現
- NG「ケンカしないで」
Good「ひとりずつ言い分を聞いてみようか」
NG「失敗しないで」
Good「成功している姿をイメージしてみよう」
NG「まだできないの?」
Good「あとどれくらいでできるだろう?」
ネガティブ言語を多用するよりも「〇〇してくれる?」「〇〇してみようか」とポジティブ表現を使って相手のやる気を刺激してみましょう
【実践編】世界最高のほめ方のテクニック
最後に、子育てや仕事の人材育成など様々な場面で求められる「ほめて伸ばす」というスキルについてご紹介します。
みなさんの周りに、「ほめる」という行為を「ただ単に相手を称賛すればいい」と誤解している人はおられませんか?
実は「ほめる」という基本動作には「認める」「共感する」「ほめる」「感謝する」の4つを組み合わせて伝えることがポイントです。
- 世界最高のほめ方のテクニック
- 認める: 相手のちょっとした変化や努力に気づき、こまめに声をかける
共感する: 相手に寄り添い、前向きな行動によって生じた自分の気持ちを伝える
ほめる: 具体的な行動に着目してほめる(プロセスをほめる)
感謝する: 気持ちをのせた言葉で想いを伝える
特に「ほめる」の部分では、多くの人が「結果をほめる」という行動をとりますが、「途中の細かなプロセスに注目して変化や進化をほめる」という点を意識しましょう!
結果よりもプロセスの方がほめる機会も増加します。
小さな肯定の積み重ねが、相手のやる気を引き出すのです。
まとめ
この記事では、「人を動かす伝え方」をテーマに実践的なコミュニケーション方法をご紹介しました。
人を動かす伝え方のポイント
●相手に明確なイメージを浮かばせる言葉を使う
●対話の中で「提案」や「問いかけ」の表現を使う
●「過去」ではなく「未来」の話をする
●「理由」を説明する
●自分の「期待感」や「失望感」を伝える
●「否定」を「肯定」に変換して伝える
●ほめるコツは「認める」「共感する」「ほめる」「感謝する」の4つ
今回のポイントを私も「仕事」や「子供」とのコミュニケーションに取り入れてみると、相手の反応や行動が変わったので効果を実感しています。
いきなり全ては難しいですが、試してみる価値大ですよ!
子育てや、チームリーダー、管理職としてメンバーとコミュニケーションに悩んでいる方はぜひ試してみてください!
岡本さんの原著を確認したい方はこちらです。
最後までご覧いただきありがとうございました!
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