人生で意外と多い「交渉の場面」でみなさんは上手く自分の要望を通すことができていますか?
こんな方にはこの記事がおすすめです!
弁護士の嵩原安三郎さんの著書「交渉上手」の中から、特に役に立つノウハウをご紹介します!
この記事が交渉に対する苦手意識を克服し、ワンランク上の交渉力を身につけるきっかけになれば嬉しいです。
この記事のポイント
●交渉のスタイルやテクニックは人それぞれで得意な方法を見つければOK!
●交渉の場面では「誰を満足させるか?」という目的の見極めを意識する!
●相手も自分も満足させるパターン⇒合意形成を導く技術が大切!
●自分を満足させるパターン⇒提案を押し通す技術が大切!
●相手を満足させるパターン⇒要望を受け入れる技術が大切!
【交渉のテクニック】自分に合った交渉スタイルを見つける
交渉のスタイルやテクニックは人それぞれで得意な方法を見つければOKです。
例えば、テクニックだけでも以下のように様々な方法があります。
交渉のテクニック11選
①正面開門型⇒論理的に双方のメリットを説明し、相手の理解を得ることを目指す方法
②正面突破型⇒相手より有利な立場を使って、強硬な態度で臨む方法
③陣取り合戦型⇒お互いの条件を提示し合う方法
④搦め手型⇒相手の意表を突く方法
⑤ゲリラ戦型⇒争点になっていなかったことをわざと提示し、本来の争点への注目を減らす方法
⑥引き込み型⇒負けたと見せかけて相手を引き込んで攻勢に転じる方法
⑧大坂夏の陣型⇒相手の逃げ道を遠くから気付かれないように埋めていき、一気に本丸を攻める方法
⑩ピンポイント型⇒いきなり核心を突く方法
⑪受け流し型⇒相手の要望を受け入れて、少しだけ方向を変えて着地させる方法
こう思いますよね。笑
ざっと挙げるだけでもこれだけの種類がありますので、いきなり全てを完璧に使いこなそうとしなくてよいと私は思います。
人柄や性格がそれぞれ異なるように、自分に合った方法をまずは1つ見つけてみましょう!
日頃の仕事や私生活で、いくつかの「型」を練習していくと感覚が磨かれていくと思います。
そして、少しずつ自分の引き出しに「得意な型」が追加されていくと交渉力が向上していきます。
交渉の上手な人は「誰を満足させるか」の見極めを重視している
交渉の場面でとても重要なのが「誰を満足させるか?」という目的の見極めです。
ついつい「交渉テクニックをどのように使うか?」に意識が向いてしまいがちですが、あくまでテクニックは手段です。
「誰を満足させるか?」の見極めができるか否かで、交渉の成否の半分が決まると言っても過言ではありません。
そこでぜひ事前に把握しておきたい「誰を満足させるか?」の3パターンをご紹介します。
満足させる3つのパターン
①相手も自分も満足させるパターン⇒合意形成を導く技術が大切!
②自分を満足させるパターン⇒提案を押し通す技術が大切!
③相手を満足させるパターン⇒要望を受け入れる技術が大切!
こんな疑問が浮かぶと思いますので、次項では「合意形成を導く技術」「提案を押し通す技術」「要望を受け入れる技術」の3つを掘り下げて解説します。
【交渉力①】合意形成を導く技術(Win-Win)
今後も良好な関係を継続したい相手であれば、自分の利益を確保しながら相手にもメリットのある着地点を探りましょう。(Win-Win)
相手の言いなりになるのではなく、満足させながらも1つ上を行く交渉に役立つのが「合意形成を導く技術」です。
お互いが主張し合うと平行線となりますが、双方が満足して進める方向を交渉で導き出せると良いですね。
ここでは5つの項目をご紹介します。
同意形成を導く技術
●誰と合意するかを明確にする
●相手は合理的という前提に立つ
●第3の解決策を探る
●行き詰まったら当初の目的に戻る
●共感する
【Win-Winの交渉術】第3の解決策を探る
交渉内容は、その場においては「目的」のように見えて、実は本当の目的を達成する「手段」でしかないケースがほとんどです。
交渉の場で相手が要求している裏側にある「本当の目的」に注意を向け、本音を聞き出してみましょう。
話が平行線をたどっている時に突破口となる可能性があります。
【Win-Winの交渉術】行き詰まったら当初の目的に戻る
話し合いを重ねていくと徐々に話が逸れ始め、当初の目的とは全然違うことを議論していることがあります。
議論が平行線に陥った時や、交渉が行き詰まった時は「当初の目的は何だったか?」を確認し合いましょう。
原点に立ち返ることで、交渉打開のきっかけとなります。
【Win-Winの交渉術】相手は合理的という前提に立つ
交渉では、相手の立場から考えることが不可欠です。
相手の立場を理解する上で大切なのは「相手は、相手なりの合理性に基づいて話をしている」という認識を持つことです。
「客観的に見れば明らかに不合理な話でも、当事者にとっては合理的である」というケースは少なくありません。
もしこのような場面で「不合理だ」「間違っている」と追及しても、相手の心には響かないことが多いです。
「相手にとっては合理的」という視点を持ち、どのような点で合理的と考えているのかを冷静に考えてみると、相手の本当の目的やニーズが見えてきて突破口になります。
【Win-Winの交渉術】誰と合意するかを明確にする
交渉は「目の前の相手=合意する相手」とは限りません。
例えば、私は製薬会社でMRをしていますので、会社を代表(代弁)して施設を担当しています。
担当者の場合、ある程度の権限は持っていますが、案件が大きくなるほど合意するのは会社(上司)の承諾が必要になってきます。
このように最終決裁者ではない担当者と交渉する場合「担当者のバックにいる決裁者を意識する」ということが大切です。
【交渉力②】提案を押し通す技術
絶対に譲れない条件がある場合や、関係性が危うくなっても押し切りたい場面では、自分の要求を押し通すことが必要になります。
どんなに手強い相手でも、思い通りに動かしたい時に役立つのが「提案を押し通す技術」です。
常にこの手法を使うことは推奨しませんが、切羽詰まった場面では必要な知識です。
ここでは5つの項目をご紹介します。
提案を押し通す技術
●時間を味方につける
●小さな成功を積み上げる
●メインの交渉以外は受け入れる
●権威性を使う
●相手に選択を求めて納得感を醸成する
【提案を通す交渉術】時間を味方につける
手強い相手に対して自分に有利な交渉を進めるには、効率度外視で「時間をかける」という方法が有効です。
理由は、交渉に時間を費やすことで、相手が「交渉決裂になってこれまでの時間を無駄にしたくない」という心理が芽生え、合意に向けて相手を動かしやすくなるからです。
ポイントは、「短時間(30~60分)の交渉を数多く重ねる」ということです。
長時間の単発交渉よりも回数を重ねる方が「ここまでやってきたから」という心理になりやすいです。
保険の営業マンが何回かに分けて試算~契約のステップを重ねる人は、こういう効果を狙っているのでしょう。
相手の期限が迫っている時は、ギリギリまで交渉を伸ばすことで譲歩を引き出す手法もあります。
【提案を通す交渉術】小さな成功を積み上げる
交渉の場面では「メイン項目」以外のサブ項目から交渉を詰めていくのも有効です。
理由は、重要ではない項目はスムーズに決まることが多く、これが小さな成功体験(YES)の積み重ねになり 「ここまで交渉を積み上げてきたものを破棄するのはもったいない」 という心理になりやすいからです。
さらに、YESを重ねることで心理学で言うところの「一貫性の法則」も機能しやすくなるので交渉破棄しにくい状況が作れます。
【提案を通す交渉術】メインの交渉以外は受け入れる
手強い相手を動かすには「交渉で何を押し通すか?」を、自分の中で明確化することが大切です。
そして、押し通したいこと以外の交渉ごとは「相手の言うことを受け入れる」という姿勢が必要です。
交渉では100%勝利を目指す人がおられますが、それは相手が抵抗したり遺恨が残る可能性もあります。
議事録作成・会場手配・サブ案件の譲歩など、相手に受け入れる姿勢を示すことで一番重要な案件を締結しやすくしましょう。
【提案を通す交渉術】相手に選択を求めて納得感を醸成する
人間は、相手が1から10まで決めたことを提示されると受け入れたくないという心理が働きやすくなります。
どんなに良い提案でも相手の感情が理由で拒絶されることを回避するために、「相手側に選択を求める」ことで納得感を醸成することが有効です。
優秀な方ほど自分が思い描いたストーリーにこだわりすぎて失敗しないように注意しましょう!
【提案を通す交渉術】権威性を使う
同意してくれても最後のYESがなかなか引き出せない時に「権威性」を使うことで相手の心に響くことがあります。
相手が迷っている時や相手がプライドの高いタイプであるほど、「担当者に丸め込まれた」という結末は望んでいません。
「いや、それはわかったんだけど・・。」という言葉が出た時は、担当者以外の権威性が有効かもしれませんよ!(払拭できてない懸念点が残っている可能性もあります)
製薬業界での代表的な権威性は「論文」ですが、他にもKOLなど顧客によって「権威」の感じかたは多岐に渡ります。
【交渉力③】要望を受け入れる技術(ニーズを引き出す)
相手の要望に対して徹底的に応えるために、真のニーズを引き出すことが必要になります。
「相手の言いなり」ではなく、相手も気づいていない「真の目的」を発見し、実現させる行動をするのが「要望を受け入れる技術」です。
「相手はなぜそれを求めているのか?」を掘り下げて考える習慣を身につけることを意識してみましょう。
ここでは3つの項目をご紹介します。
要望を受け入れる技術
●困りごとにフォーカスする
●仮定の話で本音を引き出す「もし~だったら」
●他人の例として提示する
【要望を受け入れる交渉術】困りごとにフォーカスする
新製品を売りたい場合、商品の優れている点だけをアピールしても、相手の心には響きません。
なぜなら「その製品と自分のニーズがどのようにマッチするか?」「その製品で自分はどんな得があるのか?」というイメージが湧かない人の方が多いからです。
大切なのは「相手の困りごと」です。
相手の困りごとに対して「新製品であればどのように解決できるのか?」を伝えることができれば、相手はぐっと前のめりになります。
私はMRとして顧客と日々接していますが、日ごろから相手の事情や困りごとを情報収集する姿勢が大切だと痛感しています。
【要望を受け入れる交渉術】仮定の話で本音を引き出す「もし〜だとしたら」
相手の本音を引き出すには「変更可能な余白」を持たせて相手に問いかけていくことが大切です。
その時に役立つのが「もし~だとしたらどうでしょうか?」と仮定の話をすることで本音を引き出す方法です。
相手が否定的な時でも「もし~」で問いかけてみると、「それだったら考えても良い」という言葉が出てきて全面否定ではないことを知ることができます。
仕事以外でも、子供など家族に対しても使える問いかけ方法ですよ!
【要望を受け入れる交渉術】他人の例として提示する
自分の本音を容易に明かしたくないというタイプの相手には「他人の例を提示」が有効です。
「実は最近、他の施設でこんなご意見をいただいたんです。」など、他人の例を示すことで「それは私も思ってました」という本音を相手から引き出せることがあります。
本音を引き出すことは重要ですが、なかなか教えてくれない相手がいるのは当然です。
そんな時は、いくつかのバリエーションを用意して「他人の例」を投げかけてみることで反応を探ってみましょう。
まとめ
本日は交渉において「誰を満足させるのか?」という観点で3つのパターンと実践方法を解説しました。
●交渉のスタイルやテクニックは人それぞれで得意な方法を見つければOK!
●交渉の場面では「誰を満足させるか?」という目的の見極めを意識する!
●相手も自分も満足させるパターン⇒合意形成を導く技術が大切!
●自分を満足させるパターン⇒提案を押し通す技術が大切!
●相手を満足させるパターン⇒要望を受け入れる技術が大切!
いきなり全てを完璧にできるようになる必要はありませんので、日々の小さな交渉事で「これはあの時の!」と思い出しながら練習を積み重ねていきましょう。
この記事の続編として以下記事を作成しましたのでぜひご参考ください!
本日も最後までご覧いただきありがとうございました!
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