みなさんは「ビジョンが重要!」と言われたり、聞いたことがありますか?
感覚的には大切だと分かっていても、「ビジョン」を具体的にはイメージしにくいと思っている方が多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、自分の人生や仕事でチーム運営をする時に役立つ知識として世界的ベストセラーの「ザ・ビジョン」を解説します。
この記事はこんな方にオススメです。
この記事のポイント
●会社(自分)は一体何者で、何を目指し、何を基準に進んで行くかを明らかにするためにビジョンは必要であり、策定されている
●ビジョンは「有意義な目的(なぜ?)」「未来のイメージ(どこへ?)」「明確な価値観(どのように?)」で構成されるもの
●ビジョンの作成は「いかに創造するか」「いかに伝達するか」「いかに実践するか」の3つが重要
ビジョンの重要性と優れたリーダーシップの関係性
ビジョンがなぜ重要かというと「会社(自分は一体何者で、何を目指し、何を基準に進んで行くかを明らかにするために必要」と解釈されています。
さらに、優れたリーダーシップは「ビジョンからスタートしている」という共通点もあります。
ビジョンが重要な3つの理由
①リーダーシップとは、何かを目指すものである。
②ビジョンによって集中力が高まり、意欲が増し、卓越した結果を生み出すことができる。
③ビジョンがあれば、逆境にあっても前進できる。
【ビジョンとは】3つの構成要素が重要
ビジョンを少し細かく分けると、以下の3つの構成要素に分けることができます。
ビジョンの構成要素
①有意義な目的→なぜ?を説明している
②未来のイメージ→どこへ?を明らかにする
③明確な価値観→どのように?を説明している
それぞれの項目について掘り下げて解説します。
【ビジョンの構成要素①】有意義な目的
有意義な目的は「真の使命は何か?」という部分を明確にすることです。
有意義な目的が重要な理由は「なぜ自分たちが存在しているのか?」を明確にすることで、正しい方向へ向かい、モチベーションを高めることにつながるからです。
例えば、最近皆さんが買った物を思い浮かべて、以下の質問に回答してみてください。
真の目的を把握する質問の例
①最近買った物は何ですか?
②どうしてそれを買ったのでしょうか?
③わざわざそれを買ったのはなぜでしょうか?
④その買った物に何を求めていたのですか?
この質問を使って「真の目的」をつかみやすいように、事例を解説します。
- 【事例】マットレスを購入した人の声から真の使命を発見する
- ①最近買った物は何ですか?⇒マットレス
②どうしてそれを買ったのでしょうか?⇒腰痛持ちで、整体師に勧められた
③わざわざそれを買ったのはなぜでしょうか?=長年使っても変形せずに使い心地が良い
④その買った物に何を求めていたのですか?=安眠を保証してくれる寝心地の良さ
⑤真の目的⇒マットレスを購入した人は、「安眠」を買いたかった!
⑥マットレス販売店の「真の使命」⇒安眠を提供すること
このように、利用者の意図を深堀りすると自分たちの使命がイメージしやすくなります。
他にも、保険会社であれば、利用者は「将来の安心を買っている」と考えられるので、保険会社の真の使命は「安心を提供する」ということになります。
製薬会社であれば、患者さんは「元気に生きたい」「健康寿命を長く維持したい」と考えているので製薬会社の真の使命は「健康・健康寿命を提供する」「生きる希望を提供する」ということになります。
「なぜ自分たちが存在しているのか?」という真の使命が明確であれば、仕事のモチベーションを高めながら、1人1人が正しい方向・行動を起こす確率が高まる。
【ビジョンの構成要素②】未来のイメージ
未来のイメージとは「どこへ向かうのか?」を明確にすることです。
未来のイメージが重要な理由は、最終結果に焦点を絞ることでイメージの力が発揮されるからです。
少し極端な表現ですが、下記2つの組織ではどちらが成功しそうだと思いますか?
- ①常にゴールからの逆算思考で考える組織
- ②常に行き当たりばったりの組織
①の方が成功すると思うのではないでしょうか。
例えば、皆さんが急にこのように言われた場合、どんな山を想像しますか?
人によって「エベレスト」「富士山」「六甲山」「高尾山」など、イメージする山はバラバラになるので、当日に準備するモノは個人差が出ます。
このように未来のイメージが明確であるほど、メンバーが目指すゴールも明確化されるので、準備を整えやすいです。
最終結果に焦点を絞ることでイメージの力が発揮されるため、「どこへ?」を示すことは重要。
【ビジョンの構成要素③】明確な価値観
明確な価値観とは「どのように?」という部分を明確にすることです。
明確な価値観が重要な理由は、目指す方向性や目標が定まっていても「どのように達成するか?」がバラバラでは意味がないからです。
- 明確な価値観とは?
- 「どう行動すればよいか?」「何を基準に考えるのか?」を示すこと。
例えば、MRであれば今のご時世で隠れて接待している人はいないと思います。
これは、「コンプライアンアンスを順守する」という明確な価値観が浸透しているからです。
個人の価値観と会社の価値観が一致しているほど、納得感を持って同じ方向に向かっていけるので大切です。
明確な価値観は、「目的」「未来のイメージ」を達成する原動力となるので非常に重要。
【ビジョンの作り方】3つの「いかに」を考える
ビジョンを策定するために重要なプロセスとして3つの「いかに」をご紹介します。
ビジョンを作成するポイント
①いかに創造するか
②いかに伝達するか
③いかに実践するか
【ビジョンの作り方①】いかに創造するか
未来のビジョンと同じくらい、現実を正直かつ正確に見据えることが重要です。
ビジョンを描きつつ、目の前の現実を直視しようとすれば、両社のギャップから生み出される「創造的緊張」にさらされることになります。
この創造的緊張を受け入れながらビジョンを見失わなければ、原状からの軌道修正に成功し、描いたビジョンに近づくことができます。
また、大きな変化を起こす時は慎重になるべきですが、小さい行動によってリーダーが率先して取り組んでいる姿を見せることも大切です。
創造のコツ
●ビジョン作りは全社的でなくても、どこからでも始めることが可能。
●組織やチームでビジョンを策定する場合は、メンバーを巻き込んで協力して取り組む。
●ビジョンをめぐる踏み込んだ議論を引き出し、意見を言いやすい場を用意することが大切。
●夢や希望を語る場を与えられたり、ビジョンづくりの議論に加わり、意思決定プロセスに参加を許されると、メンバーは思い入れが強くなることで、率先してビジョンの実現に取り組むようになる。
【ビジョンの作り方②】いかに伝達するか
定期的に情報を流し、ビジョンが牽引力になっていることを知らせましょう。
ビジョンの理解が十分になったら、その内容を凝縮したスローガンを策定するのも良いです。
ただし、「ビジョンが忘れらる」「だれも実践しなくなる」という場合、スローガンは意味を失うことで、逆にメンバーの意欲をそぐものになります。
スローガンは、みんなに共有されたビジョンに基づいて策定することが重要。
【ビジョンの作り方③】いかに実践するか
ビジョンに基づいて、一連の具体的目標を設定するようにしましょう。
過去に学び・未来に備え・現在を生きることが大切です。
まずはリーダーがビジョン実践のお手本となって、本気であることを示す必要があります。
ビジョンをとにかく実践し、ビジョンを飾りで役目を終えないようにする。
明確で説得力のあるビジョンのポイント
明確で説得力のあるビジョンの要素は以下の5つです。
明確で説得力のあるビジョンのポイント
①自分たちの「真の」使命は何かをわからせてくれるもの
②ライバルに勝つというだけでなく、有意義な目的を持っている。
③目の前にまざまざと思い描けるような、望ましい未来のイメージを示してくれる
④日々の意思決定を導く行動基準を与えてくれる。
⑤時を超えた永続性がある
企業のすべてが明確なビジョンを策定している訳ではなく、明確なビジョンの会社と不明確なビジョンの会社に分かれます。
【明確なビジョンの実例】中外製薬のビジョン
明確なビジョンが描かれている会社の実例として「中外製薬」をご紹介します。
先進的なバイオ医薬品開発で製薬業界を牽引する企業の姿が垣間見えると思いませんか?
存在意義(Mission)
革新的な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献します。
目指す姿(Envisioned Future)
ロシュとの協働のもと、独自のサイエンス力と技術力を核として、患者中心の高度で持続可能な医療を実現する、ヘルスケア産業のトップイノベーターとなります。
価値観(Core Values)
1. 患者中心
患者さん一人ひとりの健康と幸せを最優先に考えます
2. フロンティア精神
自らを磨き、新たな発想で、イノベーションを追求します
3. 誠実
常に誠実な行動で、社会の期待に応えます
引用:中外製薬ホームページ
まとめ
今回はビジョンに関して書籍から学んだ知識を基に、実際の仕事で応用できる情報を盛り込みながらご紹介しました。
●会社(自分)は一体何者で、何を目指し、何を基準に進んで行くかを明らかにするためにビジョンは必要であり、策定されている
●ビジョンは「有意義な目的(なぜ?)」「未来のイメージ(どこへ?)」「明確な価値観(どのように?)」で構成されるもの
●ビジョンの作成は「いかに創造するか」「いかに伝達するか」「いかに実践するか」の3つが重要
ビジョンは会社や組織だけで使用するものではありません。
身近なところでは「家族」でビジョンを策定し、親と子供で話合ってみるのも良いかもしれませんね。
本日も最後まで読んでいただきありがとうございました!
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