この記事は、金融庁作成「高校生のための金融リテラシー講座」を大人向けに解説するシリーズ第4弾です!
今回は「貯める・増やす」をテーマに、貯蓄と投資の考え方を解説します。
このような方には特におすすめの内容ですよ!
私は、会社員(製薬会社MR)をしながらブロガーとして個人事業主をしています。
主に「家計管理」をテーマに、会社員向けのお金に関する知識をブログ&Twitterで発信しています。
良い暮らしを送るための知識を一緒に学んでいきましょう!
この記事の要約
●資産形成を考えることは、自分の描く理想の人生を歩んでいくためにも必要。
●資産形成は、家計管理を行って、貯蓄できる仕組み作りから始める。
●複利の力を家計にもたらしたいなら、預貯金以外の金融資産も検討してみる。
●金融商品は、収益性、安全性、流動性の3点を念頭に置いて目的に応じた使い分けが大切
●得られる利益や損失のことを「リターン」という。
●リターンの不確実性の大きさ(振れ幅の大きさ)のことを「リスク」という。
●非課税制度を使って「長期分散積立」の投資手法で運用してみる
資産形成をなぜ考える必要があるのか?
資産形成を考えることは、自分の描く理想の人生を歩んでいくためにも必要なことです。
特に、3大費用と呼ばれる「教育費」「住宅費」「老後費」を念頭に置いて、自分の満足できる生活水準をどうすれば達成できるかを考えることは大切です。
「資産形成」と聞くと、真っ先に「投資」を思い浮かべるかもしれませんが、とりあえず投資をすればOKというものではありません。
まずは自分にとって理想となる人生設計を描き、目的に合った金融商品を選択しながら資産形成を行いましょう。
資産形成を始める際は、まず家計管理を行い、貯蓄できる仕組み作りからスタートすることがおすすめです!
ただし、次の2点の理由から、貯蓄だけでは目的が達成できないこともあります。
- 貯蓄+αの手段を考える理由
- ●超低金利のもとでは、預貯金だとお金が増えにくい。
●物価上昇(インフレ)すると、貯蓄の価値が目減りする可能性がある。
現代はライフプランの選択肢が多様化し、一人一人が自由に生きる時代です。
貯蓄や投資はあくまで手段にすぎないですが、生活状況に応じて最適な手段を選択できるように知識をアップデートしておくことは大切です。
次項からは、資産形成に必要な手段を選択するための知識として「金利」と「金融商品の特徴」を解説していきます。
【金利の基礎知識】単利と複利の違い
金利とは、お金の貸し借りにおいて、借り手から貸し手に支払われる利息の元金に対する割合のことです。
お金を預けると「利子がもらえる」、お金を借りると「利子を払う」というイメージです。
利子で必ず知っておくべき点は「単利と複利の違い」です。
複利は、20世紀最大の物理学者とも言われるアインシュタインが「人類最大の発明」「宇宙で最も偉大な力」と表現したくらいに重要です。
- 単利と複利の違い
- ●単利⇒最初の元本のみに利子がつくことを「単利」という。
●複利⇒元本に加えて利子も運用することでさらに利子がつくことを「複利」 という。
複利は、「元本」と「毎年の利子」のどちらもどんどん増えていき、時間が経過するにつれて単利との差は広がっていきます。
なぜなら、複利は利子も元本に組み入れて、大きくなった元本に対して利子を得ることで「金が金を儲ける」仕組みになっているからです。
例えば、100万円を利率5%で40年間「単利」と「複利」でそれぞれ運用した場合、下図のような差が生まれます。
このように、複利は時間が経つにつれリターンが大きくなり、金額も雪だるま式に増えていきます。
預貯金は、銀行に預けると現在の金利は約0.002%ですので、金利目的ではなく「安全に保管する」という意味合いが中心になります。
過去には、預金金利6%という時代もありましたが、複利の力を活かしたいなら他の金融商品を選択する必要があります。
【金融商品を選ぶ目安】安全性、収益性、流動性
金融商品は「安全性」「収益性」「流動性」の特徴を理解した上で、目的に応じて使い分けることが大切です。
3つを兼ね揃えた完璧な金融商品は存在しません。
「収益性が高く、安全で流動性も高い金融商品がありますよ。」と声をかけられたら、詐欺のリスクが高いです。
代表的な金融商品の特徴をざっくりと下図にまとめました。
安全性 | 収益性 | 流動性 | |
預金・貯金 | 高い | 低い | 高い |
株式 | 低い | 高い | やや高い |
債券 | やや高い | やや高い | 低い |
投資信託 | 低い~やや高い | やや高い~高い | やや高い |
預貯金の特徴
・収益性は低いが、安全性・流動性は最も高い。
・銀行等に預ける方法が一般的で、お金の引き出しが簡単。
・預金者1人あたり、1金融機関ごとに元本1,000万円までとその利息が保証されている。
株式の特徴
・安全性は低いが、高い収益性が期待でき、流動性も高い。
・購入者(株主)は会社の一部を所有することになり、会社はお金を返す必要がない。
・会社が上げた利益に応じて配当などを受け取ることができる。
・会社の業績や、国内・海外の景気などによって、株式の価値(株価)が変動するため元本は保証されていない。
債券の特徴
・安全性は、国債だと高く、社債は発行企業次第。一般的に流動性は低く、収益性は預金より高く、株式より低い。
・債権は国や会社にお金を貸すことで、定期的に利子が支払われ、満期がくれば
額面金額を受け取ることができる。
・国が発行するものを「国債」、会社が発行するものを「社債」という。
・発行した会社等が倒産すると、返済されない可能性がある(元本は保証されていない)
投資信託の特徴
・収益性や安全性は投資対象次第で変化し、流動性はやや高い。
・多くの人から集めたお金を1つにまとめて大きな資金にして、運用方針に合った株式や債券などを選りすぐって詰め合わせている投資商品。
・株価の変動などによって、価格が日々変動するため元本は保証されていない。
・100円から購入できたり、分散投資もしやすい
私は、安全性と流動性の高い「預貯金」をベースに、収益性を「投資信託」or「株式」で補っていき、必要に応じて「債券」を組み合わせるという方法を考えています。
リスクとリターンの関係
お金を運用した結果、得られる利益や損失のことを「リターン」といいます。
そして、リターンの不確実性の大きさ(振れ幅の大きさ)のことを「リスク」といいます。
「リスク=元本が減ること」と誤解する方もおられますが、プラスにもマイナスにもなりえる「振れ幅の大きさ」を指しています。
この点は正しく認識しておきましょう。
2022年7月現在、日本の低金利政策のもとでは預貯金だけでは資産が増えていきません。
しかし、何でもかんでもリスクを取ればよいというものではなく、バランスが大切です。
上図のように、投資商品によってリスク/リターンの特徴は異なりますので、これから投資を始める方は「運用方法の工夫」で資産形成を考えてみましょう。
運用方法のポイントは「長期」「積立」「分散」投資です。
長期積立分散投資は、多くの人にとって再現性が高く継続可能な運用方法ですよ。
【おすすめ投資方法】長期分散積立が運用の基本
これから投資を始める方は「長期分散積立」の投資手法がおすすめです。
なぜなら、資金を複数の種類に分散して投資すことでリスクが分散され、コツコツ長期間続けると結果的に元本割れする可能性の低減が期待できるからです。
金融庁のデータでは、「20年間の分散&積立投資であれば運用成績はプラスに収束する」という結果が公表されています。
もちろんこのデータは過去の結果に基づくものであり、未来も100%同じとは言えません。
しかし、「1つのカゴに卵を盛るな」という有名な格言が今も使われ続けているように、再現性が高いとされる手法になります。
投資をする人は意識しておくべき点だと私は考えています。
- 長期分散積立投資のポイント
- ●長期:株式投資(投資信託)では、15年以上の運用期間を考えておきましょう。
●分散:1社の株よりも100社の株、日本株のみよりも全世界の株など投資範囲を広げましょう。
●積立:日々の値動きに一喜一憂せず、毎月同じ金額をコツコツ継続的に運用しましょう。
投資は15~20年以上の長い期間、複利の仕組みを活かしてじっくりと「お金がお金を生んでくれる」という状態を作っていくものです。
途中で売ったり、断念してしまうと効果は弱くなりますので、無理せず持続可能な投資方針で運用することを心がけましょう。
ダメではありませんし、理論的には一括投資の方が機会損失が少なくリターンも有利という試算もあります。
一方で、投資は「長期運用」が大切なので、一括投資することで短期的な株価下落による不安感増幅によって売却しやすくなる欠点があることも認識しておきましょう。
投資時期を分散させるという観点で、定期的に決まった金額を投資する定額購入法(ドル・コスト平均法)があります。
投資時期を分散させることで、投資するタイミングによる値上がり、値下がりのリスクを抑える効果があります。
会社員は月収が比較的安定しているので、月〇万円と事前に設定してドルコスト平均法で長期投資する方法は向いていると言えるでしょう。
預貯金が最低でも生活費の3~6ヵ月分は確保できていて、それ以外の余裕資金で運用を始めてみるなら継続性のある投資ができそうですね。
投資は「つみたてNISA」や「確定拠出年金」といった国が用意した非課税制度からスタートがおすすめですよ。
これらの制度は長期運用を前提に制度設計されているので、長期分散積立投資にピッタリです!
通常は運用益から20%は課税されますが、この制度内で得た運用益は非課税という点もメリットが大きいので、検討してみましょう。
まとめ
この記事では、金融庁作成「高校生のための金融リテラシー講座」の中から、お金を貯める・増やすをテーマに解説しました。
この記事のまとめ
●資産形成を考えることは、自分の描く理想の人生を歩んでいくためにも必要。
●資産形成は、家計管理を行って、貯蓄できる仕組み作りから始める。
●複利の力を家計にもたらしたいなら、預貯金以外の金融資産も検討してみる。
●金融商品は、収益性、安全性、流動性の3点を念頭に置いて目的に応じた使い分けが大切
●得られる利益や損失のことを「リターン」という。
●リターンの不確実性の大きさ(振れ幅の大きさ)のことを「リスク」という。
●非課税制度を使って「長期分散積立」の投資手法で運用してみる
貯蓄も投資も、自分の理想とする人生を実現するための手段にすぎません。
他人と比較するものではありませんので、自分の人生プランに合った資産形成プランを考えてみてはいかがでしょうか。
今回も最後までご覧いただきありがとうざいました。
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