世の中にはビジネストレンドキーワードというものがあります。
例えば、近年は「DX」「ビッグデータ」「フィンテック」「IoT」などが代表的ですね。
今回の記事では、組織運営で最近注目され始めている「幸せな組織」というキーワードについてご紹介します。
※「予測不能の時代」という矢野和男さんの著書を参考に解説しています。
この内容はこんな方にオススメです。
幸せで生産的な組織はFINEが満たされている
幸せな組織の普遍的な特徴として「FINE」という概念をご存知でしょうか?
FINEとは、Flat・Improvised・Non-verval・Equalの4つから頭文字を取ったものです。
この概念について、矢野和男さんの著書「予測不能の時代」で解説されているものを引用してご紹介します。
幸せな組織の普遍的な4つの特徴「FINE」
第1の特徴 フラット(Flat)=均等「人と人のつながりが特定の人に偏らず均等である」
第2の特徴 インプロバイズド(Improvised)=即興的「5分から10分の短い会話が高頻度で行われている」
第3の特徴 ノンバーバル(Non-verbal)=非言語的「会話中に身体が同調してよく動く」
第4の特徴 イコール(Equal)=平等「発言権が平等である」
引用:予測不能の時代
著書の中では心理的安全性+FINEを満たしている組織は、幸せで生産的な集団とされています。
このように感じた方のために、「どんな組織が幸せではないか?」と逆説的に考えて対比しながら確認してみましょう。
幸せな組織と幸せではない組織の違い
先ほどご紹介したFINEの概念を元に、「幸せな組織」と「幸せでない組織」の違いを比較してみましょう。
例えば、営業マンである私の職場でイメージしてみます。
組織のつながり自体が一部の営業所メンバーに限定されて本社・支店・研究・開発・生産の人と関わることがなく、つながっているメンバーと短時間の会話やチャット等でのやりとりも少なく、会議ではいつも特定の数人以外は発言しにくい雰囲気があるので気持ちも乗らない・・。
こんな組織であれば、恐らく「FINEではない」と言えるでしょう。
こんなご要望があるかなと思いましたので、順にご紹介していきたいと思います。
Flat:均等
つながりが一部の人に偏っていない状態を目指しましょう。
組織全体としてつながりが多い少ないではなく、人によって偏っているかどうかの視点が重要です。
つながりが人によって偏り(格差)があるということは、「情報の格差」が生じているということになります。
こんな経験はありませんか?
このように、つながりが少ないと上司と部下の縦関係に依存するようになります。
そして、意を決して質問した時に
こんな返答が来たら、確認や質問をしないという選択をとるようになり、どんどん孤立へと進んでいきます。
COVID-19によってリモートワークが進んだことで「孤立化」は現実的な問題になっているので、縦以外の「横」や「斜め」のつながりも意識すると良いですね。
Improvised:即興的
人と人とのコミュニケーションにおいて「大は小を兼ねない」ということを意識しましょう。
1時間や2時間の会議を行ったからといって、5分間の会話やコミュニケーションの代わりにはなりません。
日本の会社という組織は、基本的に上下の関係があります。(上下関係=悪とは言っていません。)
上下関係があると、会議等の場では「変なことを発言して、周囲からネガティブな評価を下されたくない」という気持ちになりやすいので、沈黙するようになります。
会議中にどんな発言をしてもOKという「心理的安全性」の担保が重要ですが、それでも会議が個々のコミュニケーションの代替になるわけではないので、会議と会話のそれぞれの役割を認識することが大切です。
Non-verbal:非言語的
会話中に身振り手振りが自然に出て、互いに良く動く状態を目指しましょう。
楽しい会話や親しい友人との会話では、無意識に身振り手振りや、うなずきをしていませんか?
では、仕事上でのコミュニケーションではいかがでしょうか。
良好な雰囲気の組織ではまるで友人と会話するかのように動作が無意識に発生しますが、雰囲気の悪い組織では発言に対して不信や拒否感を抱くため、うなずきすら発生しないこともあります。
コミュニケーションの約9割は非言語(Non-verbal)によるものであることを意識して、まずは私たちから積極的に非言語表現を意識してみましょう。
特に、オンライン環境下ではオーバーリアクションくらいがちょうど良いとも言われていますので、是非お試しください。
Equal:平等
組織やチーム内で、発言権が平等にある状態を常に維持しましょう。
権威のあるジャーナルの1つであるScienceに、人の集団的な知的能力に関する研究結果が発表されています。
この研究では、個々のメンバーの平均的な知的能力と成績には関連性がなかったと報告されています。
チームの知的能力≠個人の知的能力を集計したもの
こんな疑問を抱くと思いますので、この研究が示した3つの特徴をご紹介します。
知的能力が高いグループの特徴
①他者の感情を汲み取っている
②チーム内の会話における発言権の平等性が保たれている
③チーム内の女性比率が高い
この研究結果で注目すべきは以下の点だと思います。
組織やチームの能力を高めるために必要なのは「人の気持ちを理解し、考慮した発言をできる人」を育てる(加える)こと。「知的能力が高い優秀な人」よりも前者の方が重要である。
この研究結果を踏まえてすぐに実践しましょう!と言いたいところですが、人的リソースや個々の感性もあるため①と③は今すぐできないケースもあります。
しかし、②であればチーム内のルールや雰囲気作り次第で最も変えやすい部分だと思います。
「全員の発言機会を意図的に作る」「発言に対して否定をしない」「お互いをリスペクトする」このようなルールを設定するだけでも発言権の平等性に一歩近づくことができるのではないでしょうか。
まとめ
今回は、幸せな組織に共通するFINEという特徴について書籍や研究結果を基にご紹介しました。
●幸せな組織の普遍的な特徴として「FINE」という概念があります。
●つながりが一部の人に偏っていない状態を目指しましょう。
●人と人とのコミュニケーションにおいて「大は小を兼ねない」ということを意識しましょう。
●会話中に身振り手振りが自然に出て、互いに良く動く状態を目指しましょう。
●組織やチーム内で、発言権が平等にある状態を常に維持しましょう。
知識として理解はできても、いざ実践するのは難しいのがコミュニケーションの奥深いところですね。
いきなり完ぺきにできないかもしれませんが、少しずつ組織を良い状態へ変えていけるように自分から働きかけてみてはいかがでしょうか。
今は管理職ではない方も、早めから今回のようなことを意識しておくことで、いざマネジメントをしようと思った時に良いスタートが切れるようになりますよ。
本日も最後までご覧いただきありがとうございました!
今回の記事で参考にした書籍は以下になります。
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