みなさんは日々の仕事で、次々と業務が舞い込んで疲弊したご経験がありますか?
優秀な方ほど仕事が集まってくるのは世の常と言われることもしばしばあります。
しかし、どんなに優秀な方でも1人の人間なので、無限にキャパがある訳ではありません。
この記事では、最小の時間で成果を最大にする「エッセンシャル思考」という書籍の要約と、会社員の私が実践してみた感想をご紹介します。
累計40万部を超えるベストセラーなので既に読んだことがある方もいるかもしれませんが、復習を兼ねてご覧いただけると嬉しいです。
この記事はこんな方にオススメです。
【エッセンシャル思考とは】最小の時間で成果を最大にすること
エッセンシャル思考とは、やり方を変えるための思考です。
決して、より多くの仕事をこなすために役立つ思考法ではありませんのでご注意ください。
こう思われるかもしれません。
しかし、この思考法を身につけることで、自分の時間とエネルギーを最も効果的に配分し、重要な仕事で最大の成果を上げるために正しいことをやり遂げることが可能になります。
イメージ図を下にご用意しました。
●非エッセンシャル思考⇒多くの仕事が舞い込んでエネルギーは分散してしまいます。
●エッセンシャル思考⇒エネルギーの使いどころを必要最小限にすることで、いちばん重要な物事において最大の成果を上げやすくなります。
他人の言いなりになって舞い込む仕事を次々に抱え込むと、本来の能力を十分に発揮することができないだけでなく、「都合の良い人」に没落していく悲劇が待っています。
特に、優秀な人ほど「成功のパラドックス」に陥りやすいので注意しましょう。
成功のパラドックス
【第一段階】目標をしっかり見定め、成功へと一直線に進んでいく。
【第二段階】成功した結果、「頼れる人」という評判を得る。「あの人に任せておけば大丈夫」と言われ、どんどん多様な仕事を振られるようになる。
【第三段階】やることが増えすぎて、時間とエネルギーがどんどん拡散されていく。疲れるばかりですべてが中途半端になる。
【第四段階】本当にやるべきことができなくなる。成功したせいで、自分を成功に導いてくれた方向性を見失ってしまう。
引用:エッセンシャル思考
【エッセンシャル思考 意味】3つの思い込みを排除する
エッセンシャル思考を行うには3つの思い込みを排除し、置き換える必要があります。
排除するべき3つの思い込み
①「やらなくては」⇒「やると決める」
②「どれも大事」⇒「大事なものはめったにない」
③「全部できる」⇒「何でもできるが、全部はやらない」
前項でご紹介した、成功のパラドックスを思い出してください。
規律なき拡大を続けた結果、成功のパラドックスに陥って失敗をしないためにも、とても重要な要素です。
エッセンシャル思考の基礎となる考え方は以下の3つがベースになっています。
【エッセンシャル思考の基礎】
①【選択】⇒私たちは、時間とエネルギーの使い道を選ぶことができる。だからこそ、トレードオフを引き受けることも必要になる
②【ノイズ】⇒世の中の大半のものはノイズである。本当に重要なものはほとんどない。だから、何が重要かを正しく見極めなくてはならない。
③【トレードオフ】⇒すべてを手に入れることはできない。何もかもやるなんで不可能だ。何かを選ぶことは、すなわち何かを捨てること。「どうやって全部終わらせようか」と考えるのをやめて、「どの問題がいちばん重要か?」と考えよう。
引用:エッセンシャル思考
それでは次に、正しく減らす技術を掘り下げて考えてみましょう。
「見極める」「捨てる」「しくみ化する」の3つの要素について著書で解説されている中から、特に読者の皆様にお伝えしたい内容を厳選してご紹介します。
正しく減らす技術①「見極める」
エッセンシャル思考の人は、なるべく時間をかけて調査・検討し、意見を交わしてじっくり検討します。
そうすることで、本当に重要なものを見極めています。
一方で、非エッセンシャル思考の人は、あらゆる話に反応して何でもとりあえずやってみる行動をとります。そのため多くのことに手を出して、すべて中途半端な結果に終わります。
「やる」と決めるために必要な、見極める技術をご紹介します。
書籍では「じっくりと考える余裕」「情報を集める時間」「遊び心」「十分な睡眠」「何を選ぶかという厳密な基準」の5つが解説されています。
ここでは、その中から2つ取り上げて考察したいと思います。
じっくりと考える余裕の重要性
考えるための時間(スペース)を意図的に作るよう心掛けましょう。
集中するためには、集中せざるをえない状況に自分を置くしかないのです。
もしこう思われる場合は、恐らく仕事が多すぎて抱え込み過ぎている状況にあると思います。
こんな有名な話があります。
木を倒そうとして、ノコギリを引いているキコリがいた。
何時間も作業をしているので、「ノコギリの刃がボロボロですよ。少し休んで刃を研いだほうが、仕事が早く片付くのでは?」と声をかけた。
するとキコリは、「刃を研いでいる暇なんてない。切るだけで精一杯だ」と言い返した
引用:7つの習慣
みなさんの予定表に「刃を研ぐ時間(考える時間)」はどれくらい確保されていますか?
集中して考える時間は自分で作らなければ自然に発生しません。
まずは今日から1週間の予定表に、考える時間を確保してみましょう。
こんな疑問を抱いた方は、以下の取り組みを行ってみてはいかがでしょうか?
●本を読む
●仕事の棚卸し(解くべき課題の見極め)
●新しい仕事のアプローチを考える
睡眠の重要性
自分のパフォーマンスを最大限引き出したいのであれば、積極的に睡眠時間を確保しましょう。
多忙なビジネスマンほど睡眠時間を削る意識になりがちですが、ジェフ・ベゾス(アマゾン創業者)などの優秀なリーダー達が睡眠の重要性や1日8時間睡眠の重要性をアピールするようになり、時代は少しずつ睡眠の重要性を認識するようになってきています。
こんなご経験が1度はあるのではないでしょうか?
生産性を上げるために睡眠をとる習慣を意識してみましょう。
正しく減らす技術②「捨てる」
仕事や人生の決定打となるブレイクスルーは、不要なものを切り捨てることから始まることを意識してみましょう。
捨てるべきものを自問する時に、本当の優先事項が見えてくるようになります。
「どれを引き受けようか?」ではなく、「何にノーと言うか?」を意識して考えてみると判断の質が高まります。
書籍では捨てる技術として「目標」「拒否」「キャンセル」「編集」「線引き」の5つが解説されています。
その中から私が特に重要と感じた考え方を3つご紹介します。
拒否の重要性
断固たる決意で、上手にノーを伝えましょう。
物事をトレードオフで考えると、イエスと答えて引き受けたことによって自分は何かを失うことになります。
現在の仕事に費やす作業時間・訪問できたはずの得意先・家族との時間・睡眠時間など、追加するとどこかに「しわ寄せ」が発生します。
周囲の期待や依頼のプレッシャーに負けて不本意なイエスを伝えることは、相手を喜ばせて一時的に気分は良くなりますが、その効力は長続きせずに自分にとってはマイナスの影響になることが多いです。
本当に必要なことをやるために、本質的ではない依頼は断るように意識してみましょう。
こう思った方向けに、書籍中に記載されている方法をご紹介しますね。
上手に断るコツ
①【判断を関係性から切り離す】⇒誰かに何かを頼まれたとき、私たちはそれを関係性の問題だと思ってしまう。頼みを断ることが、相手を拒絶することだと感じてしまうのだ。この2つを分けて考えなくてはならない。関係性から切り離して考えたとき、判断はより明確になり、それを伝える勇気と思いやりも生まれてくる。
②【直接的でない表現を使う】⇒「ノー」という言葉を使わなくても、ノーを言うことは可能だ。時には直接的な表現を避けて、やんわりと断ることも必要になる。「声をかけてくれたのは嬉しいのですが、あいにく手がいっぱいで・・。」
③【好印象よりも、経緯を手に入れる】⇒ノーを言うことで、短期的に相手と気まずくなることはある。だが、長期的に見ればポジティブな面もある。短期的な気まずさと引き換えに、相手の敬意を手に入れられるからだ。上手く依頼を断ることは、「自分の時間を安売りしない」というメッセージになる。
④【曖昧なイエスはただの迷惑】⇒曖昧なまま引き延ばされるよりも、はっきりと断られる方がずっといい。できないとわかっているのに「うまくいくように動いてみます」などと言っておいて、結局できないのが最悪だ。
引用:エッセンシャル思考
キャンセルの重要性
サンクコスト(埋没費用)や授かり効果に惑わされず、過去の損失は合理的に判断して切り捨てましょう。
●サンクコスト⇒既にお金や時間を費やしていたという理由だけで、損な取引でも続けてしまう心理傾向
●授かり効果⇒いったん所有してしまうと、何の役に立っていなくても失うのがもったいなく感じる心理傾向
上手に損切りをする人は「自分の失敗を認める」ということを恥だと思わず、誠実に結果を受け入れます。
自分の失敗を認めた時に初めて失敗は過去のものになり、一歩前進することができます。
こう思った方向けに、書籍中に記載されている方法をご紹介しますね。
①【第三者の意見を聞いてみる】⇒何の利害もない立場である他人の冷静な意見を聞いてみた方がいい。執着を断ち切るのに役立つはずだ。
②【ゼロベースで考える】⇒現状維持バイアスを断ち切るには、まっさらな状態から、自家にゃお金やエネルギーの使い方をあらためて考えてみよう。ただ惰性でつづけていることは、すぐにやめるべきだ。
引用:エッセンシャル思考
編集の重要性
削除と濃縮と修正を日々の習慣にする。まるで呼吸するように、自然に生き方を編集しましょう。
あれもこれも付け加えると本質が見えなくなるので、削ることが重要です。
プレゼンスライドの作成シーンを思い浮かべてみるとイメージしやすいと思います。
聞き手がプレゼンを聞いた後にどういう状態になって欲しいのか?という観点から逆算してストーリーを組み立て、基本的に1スライド1メッセージで作成する方が良いとされています。
これを逆に捉えると、「あれもこれも情報を付け加えると何が言いたいか分からない発表」になるからです。
余剰を削り、本質を取り出すことを意識してみましょう。
最後に、編集の4原則をご紹介します。
編集の4原則
①【削除する】⇒何かを決める時、選択肢を増やしたほうが安心だと考える人は多い。だが実を言うと、決断の本質は、選択肢を減らすことにある。
②【凝縮する】⇒人生を凝縮するということは、結果に対する行動の日理乙を減らすということだ。そのためには、いくつもの無意味な行動をやめて、重要な行動ひとつに置き換えればいい。
③【修正する】⇒自分の行動はきちんと本質目標に向かっているだろうか、と振り返ってみてほしい。もしも間違った方向に進んでいたら、正しく編集し直せばいい。
④【抑制する】⇒まずは立ち止まって、様子を見る。すると、全体の流れがクリアになる。「より少なく」というエッセンシャル思考のやり方は、すぐれた編集術でもあるのだ。
引用:エッセンシャル思考
正しく減らす技術③「しくみ化」
なるべく努力や根性がいらないように、自動的にうまくいくしくみを作れるようにしてみましょう。
やるべきことを決めたら、無意識に実行できるようになる状態がベストです。
書籍ではしくみ化の技術として「バッファ」「削減」「前進」「習慣」「集中」「未来」の6つが解説されています。
その中から私が特に重要と感じた考え方を3つご紹介します。
バッファを組み込む重要性
想定外のことが起こる前提で予定を立てましょう。
予測不能な未来であるという現実を受け入れ、不測の事態が起こった時のダメージをできるだけ緩和するためにバッファを組み込んでおくことが大切です。
リスクマネジメント戦略
①このプロジェクトにはどんなリスクがあるか?
②最悪の場合、どんなことになりうるか?
③周囲の人への影響はどのようなものがあるか?
④そのリスクは自分(会社)にとってどの程度の経済的負担となるか?
⑤リスクを減らすためにどのような投資を行うべきか?
前進し続けることの重要性
毎日1歩ずつ、より良い未来に近づく行動を行っていきましょう。
何でも一気にやろうとせず、小さな成功を積み重ねていけばOKです。
挫折する時の典型的なパターンは、最初に掲げる目標が大きすぎて「やっぱり無理だ・・。」と断念する展開です。
ある心理学の研究結果では、人間のモチベーションに対してもっとも効果的なのは「前に進んでいる」という感覚だったようです。
少しでも前に進んでいることを実感できれな前進し続けることができるので、スモールスタートを意識してみましょう。
何に集中するべきかを明確にする重要性
今この瞬間に何が大事か?を考えるようにしましょう。
マルチタスクを行うことは問題ありませんが、人は一度にひとつのことにしか「集中」できないので、集中の対象がどれなのかをはっきりさせることが重要です。
集中するためのコツは、「今、何が重要か?」を考える時間を作り、優先順位付けを行うことです。
エッセンシャル思考を実践してみて感じた変化
私はこの書籍を読んで、まずは一通り実践してみました。
まだ改善の途中経過ですが、変化があったことを以下に列挙します。
エッセンシャル思考の体験談
●明らかに自分の時間が増えた
●断ってもトラブルにはなっていない。(むしろ周囲の人も嫌々オブザーバー参加していた会議を断れるようになって感謝された)
●考える時間を作ったことで、「○○の提案をしてみよう」「○○で説明してみよう」とアイデアが浮かびやすくなった。
私は、エッセンシャル思考を試してみる価値があると思いますよ!
まとめ
本日は、エッセンシャル思考について要点を私見も交えながらご紹介しました。
●エッセンシャル思考とは、やり方を変えるための思考です。
●優秀な人ほど陥りやすい「成功のパラドックス」に注意しましょう。
●3つの思い込みを排除し、置き換えるましょう「やると決める」「大事なものはめったにない」「何でもできるが、全部はやらない」
●本当に必要なものを見極めるために、なるべく時間をかけて調査・検討し、意見を交わしてじっくり検討しましょう。
●仕事や人生の決定打となるブレイクスルーは、不要なものを切り捨てることから始めましょう。
●なるべく努力や根性がいらないように、自動的にうまくいくしくみを作れるようにしてみましょう。
恐らくこの記事をここまでご覧いただいている方は、普段から自己啓発を意識し、日常業務でもご活躍されている人だと思います。
だからこそ、成功のパラドックスのように、仕事がどんどん舞い込んで苦労しないように、この考え方を役立てていただけると嬉しいです。
この著者の書籍にご興味を持った方は、「エフォートレス思考」という2021年12月に発売された書籍も参考になると思いますよ!
本日も最後までご覧いただきありがとうございました!
実際の書籍は以下のご覧ください。
他に自己啓発の記事は以下をご覧ください。
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