生活防衛資金という言葉をご存知でしょうか?
近年は投資の情報がSNSでも広まったことで、「貯金=情弱」というニュアンスで軽視される主張もあります。
しかし私は投資と貯蓄はバランスが重要であり、「万が一に備える」という意味で貯金(現金)の保有は重要だと考えています。
そこで、今回は著名人の考え方にも触れながら、投資を行う前に考えるべき生活防衛資金に関してご紹介します。
●投資などをする前に、まずは生活防衛資金を確保することが大切です。
●生活防衛資金の目安額は3ヶ月~2年まで多様な意見があります。
●自分のリスクに対する考え方基準に、心地よい金額を用意しましょう。
●貯金と保険の使い分けを意識してみると良いです。
●生活防衛資金は普通預金でOK
生活防衛資金とは?メリットとデメリット
生活防衛資金とは、生活費の支出に備えて投資に回さずに預金などに置いておくお金のことです。
事前に予測できない「万が一」に対処できるように準備する資金と覚えておくと良いですね。
失業、病気の治療費、治療に伴う収入の減少・・など、人生でどんなことが起こるかは不透明ですが失業保険・健康保険・傷病手当などに加えて生活防衛資金があれば余裕を持った行動ができるようになります。
【生活防衛資金のメリット】
●失業・病気など想定外の事象が発生しても、生活に困窮するリスクを低減できる
●転職などで一時的に収入の空白期間が発生しても対応できる
【生活防衛資金のデメリット】
●預金で保有するため、インフレへの対応は不十分
●投資へ資金を回さないことによる機会損失
生活防衛資金は利点と欠点がありますが、私は必要だと思っています。
「ある時」と「ない時」では、心理的にこんな違いがありますよ。
私を含めて関西にお住いの方は、こんなイメージが1番ピンとくるのではないでしょうか?笑↓↓
【生活防衛資金の目安】自分に合った金額設定方法
生活防衛資金の金額は個々の生活スタイルやリスクに対する不安感に応じて異なりますが、3ヶ月分~2年分まで諸説あります。
考え方の参考として、自分の状況を以下の4つから整理してみてはいかがでしょうか?
考え方
①生活支出額がどれくらい変動すると思うか?⇒「変動大きい=必要準備額多い」「変動小さい=必要準備額少ない」
②保有している総資産額はどの程度あるか?⇒「多い=必要準備額少ない」「少ない=必要準備額多い」
③保有資産はすぐに換金できるか?(流動性)⇒「流動性高い=必要準備額少ない」「流動性低い=必要準備額多い」
④必要な時に、後の値上がり期待を考えず合理的に資産を取り崩しできる性格か?⇒「合理的」
マネー本でも知られている3人の著名人が言及している生活防衛資金に対する見解をご紹介します。
3つのタイプを記載しましたので、皆さんの好みに合う方法を参考にしてみてはいかがでしょうか?
共通点としては、「万が一に備えたお金が不要とは言っていない!」ということです。
もし現時点で少し不安を感じている方は、生活防衛資金を見直してみましょう。
【山崎 元さん】生活防衛資金の目安
投資信託や株式は部分売却が可能で数日中に換金可能なため、現預金は3ヶ月で良い。
あとは、いざという時に部分的に売却する行動をとれるように、後悔回避バイアス(後からもっと値上がりするかも)に陥らないよう心の準備をしておくことが大切。
参考:DIAMONDonline「投資に回さない「生活防衛資金」は3カ月分で十分といえる理由」
【両学長(リベ大)】生活防衛資金の目安
会社員は明日から収入が途絶えるリスクが自営業より低く、失業保険や傷病手当も利用できるため6ヶ月分で十分。
自営業は会社員よりも保障が少ないので1年分は必要。最低限この額を貯めたらあとは投資に回そう。
参考:両学長リベラルアーツ大学「生活防衛資金はいくら貯めればよいか?」
【水瀬 ケンイチさん】生活防衛資金の目安
災害に限らず病気やケガの治療などで元の生活に戻るまで1年以上かかることもあり、リストラで転職までに10ヶ月かかった知人もいる。
「万一」の備えが3ヶ月や半年分では心もとないのが正直な気持ちで、投資の「耐久力」を高めるのも生活防衛資金の「絶大な安心感」があるお陰です。
参考:たまひよ「どうする子育てにかかるお金。貯蓄?投資?まずは生活防衛資金が大事」
保険と生活防衛資金はどのように分けるべきか?
保険は、万が一の事象が発生した場合、金銭的に対応できない事態に備えるものだと私は考えています。
確率が大・小に関わらず、損失が小さいものは貯金で備え、確率は低いが損失が大きいことには保険で備える考え方です。
例えば、生命保険(死亡後の収入)・自動車保険(事故で死傷させた時の慰謝料)・火災保険(火災や天災での保障)など、発生した時には莫大な費用が発生して貯金で対応できないものを保険で備えるのが基本となります。
リベラルアーツ大学の下図がとてもわかりやすいですよ。
ここで見解が分かれやすいのが損失「大」「小」の認識です。
億単位の金額であればほとんどの方が「損失大」と認識しますが、50万円・100万円・200万円という金額はその人の資産額・収入・生活水準によって「大」「小」の賛否が分かれます。
この賛否分かれる部分の保険が「がん保険」「医療保険」です。
個人的には、生活防衛資金が全くない方は「がん保険」を検討する余地があると思いますが、生活防衛資金で用意できるならこの手の保険は不要だと考えています。
理由は、これらの保険で一時金として受け取れても100万円~200万円かつインフレ対応していないことを加味すると、検討している保険の受け取れる保険金額を貯金で先に自分で用意した方が、保険料の支出を削減しつつ万が一の際の流動性も確保できるからです。
もし迷っている方は、資産の構成と生活防衛資金の金額を見直してみると安心感が増すと思いますよ。
生活防衛資金の保管場所はどこの銀行にするべきか?
銀行の預金口座で良いと思います。
利息などで損する気持ちも分かりますが、優先すべきは「万が一」に対応する流動性です。
そういう意味では銀行の預金口座で十分だと私は考えています。
その中でもオススメの銀行は以下の2つです。
●あおぞら銀行BANK⇒普通預金金利0.2%
●楽天銀行⇒普通預金金利0.1%(楽天証券とのマネーブリッジ)
筆者の生活防衛資金
私は生活費6ヶ月分+万が一の治療費50万円分を最低ラインとして確保するようにしています。
国の制度以外に、私の会社では医療費自己負担額が月2万円以上は全額補助されることや、差額ベット代も日数に応じて支給される制度があるため、がん保険や医療保険には加入せず、上記を確保しています。
それでも対応が難しければ保有している株を売却して対応しようと考えています。
ちなみに銀行は楽天銀行をメインに使用していますよ。
投資用の余力と生活防衛資金は別で考えています。
投資と生活防衛資金は「混ぜるな危険」という認識で良いと思います。
まとめ
本日は生活防衛資金に関する基礎知識をご紹介しました。
人生を安心して過ごすためにとても大事な考え方になりますので、もしまだ用意していなかった方はこの機会に見直してみましょう。
●投資などをする前に、まずは生活防衛資金を確保することが大切です。
●生活防衛資金の目安額は3ヶ月~2年まで多様な意見があります。
●自分のリスクに対する考え方基準に、心地よい金額を用意しましょう。
●貯金と保険の使い分けを意識してみると良いです。
●生活防衛資金は普通預金でOK
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