最近は「金融リテラシー(マネーリテラシー)」という言葉を耳にする機会が多くなりました。
金融リテラシーの定義は「個人の良い暮らしを達成するために必要な、お金に関する知識や判断力」とされており、生活に必須の知識です。
この記事は、金融庁作成「高校生のための金融リテラシー講座」を社会人向けに解説するシリーズ第3弾です!
このような方には特におすすめの内容ですよ!
私は、会社員(製薬会社MR)をしながらブロガーとして個人事業主をしています。
「家計管理」をテーマに、会社員向けのお金に関する知識をブログ&Twitterで発信しています。
良い暮らしを送るための知識を一緒に学んでいきましょう!
この記事の要約
●「保険」とは、様々なリスクに備え、みんなで少しずつお金を出し合って、必要なお金が支払われる仕組み。
●日本には、社会基盤としての社会保険制度がある。
●民間保険には、生命保険(人に対する保険)と損害保険(モノに対する保険)があります。
●ライフプランに合わせて、社会保険、資産形成、民間保険の利用を組み合わせる。
リスクに備える手段としての「保険」
「保険」とは、様々なリスクに備え、みんなで少しずつお金を出し合って、必要なお金が支払われる仕組みです。
万が一のことが起こってしまい、「人生の破綻」「生活の困窮」というリスクに対して、保険で備えておくことが大切です。
例えば、「病気」「ケガ」「火災」「事故」などがあります。
発生してしまうと、自分・家族・相手に対して金銭的な支払いが発生することも少なくありません。
何でも保険があればOKというわけではありませんが、「万が一の備え」として保険という仕組みは人生をサポートする役割を担ってくれます。
社会保険と民間保険
保険には、公的な保険である「社会保険」と、それ以外の「民間保険」があります。
社会保険と民間保険の特徴をざっくり下記にまとめてみました。
- 社会保険
- ●種類⇒年金保険、医療保険、介護保険、雇用保険、労災保険など。
●特徴⇒政府によって加入義務づけなどの措置がとられている。
●運営⇒保険料や税金によって運営されている。
- 民間保険
- ●種類⇒人に対する保険(生命保険など)と、モノに対する保険(損害保険)の2つがある。
●特徴⇒民間企業が保険を販売し、利用者は任意で加入・解約できる。
●運営⇒保険加入者の保険料などによって運営されている。
日本では社会保険制度が整っているので、まずは公的制度を利用します。
民間保険の加入を検討する場合は、社会保険の内容を理解した上で「不足する部分を民間保険で補う」という考え方がおすすめです。
民間保険は、多くの人が利用することになるでしょう。
だからこそ、自分に合った民間保険を取捨選択するために、社会保険制度を理解することが必要になるのです。
最初は難解に感じるかもしれませんが、ライフプランに合った資産形成にも役立つ知識ですよ!
本家「高校生のための金融リテラシー講座~備える~」の内容はここで終了です。
ただ、内容がシンプルすぎるので、補足情報を次項から解説していきます!
4種類の民間保険の考え方
民間保険には「人に対する保険」と「モノに対する保険」の2種類があります。
たくさんの保険商品が販売されていますが、中でも多くの人が加入を検討するのが次の4つです。
- 人に対する保険⇒①生命保険②がん保険・医療保険
- モノに対する保険⇒③自動車保険④火災保険
保険の必要性は「ライフプラン・保有資産・価値観」など状況によって変化するものです。
参考にできる情報はないの?
私が参考にしている知識をそれぞれご紹介しますね。
4種類の保険に対する考え方のポイントのみを解説していきますので、詳しく知りたい方は各項目にご用意した詳細記事をご覧ください。
生命保険の考え方
生命保険は、自分や残された家族に必要な保障額を考えてから民間保険への加入を検討しましょう。
「とりあえず入っておけば安心」という感覚で加入すると、後悔します。
生命保険を最適化したい方は、以下の3ステップで考える方法がおすすめです。
- 生命保険を最適化する3つのステップ
- ①必要な保障額を把握する(すぐ必要なお金と継続的に必要なお金)
②公的な保障や万が一の際に受け取れる生命保険以外のお金を把握する
③1から2を引いた金額を生命保険でカバーする
「必要保障額」から「万が一の際にもらえるお金」の差額を出すという考え方はとても重要です。
必要な補償額は「すぐ必要なお金(葬儀代等200~300万円)」と「継続的に必要な生活支出・教育費」を計算しましょう。
そして、万が一の際にもらえるお金には「遺族年金」「死亡退職金」「遺族の収入」があります。
じゃあ、差額を埋めるためにどんなタイプの生命保険を選べばいいの?
「終身保険」「定期保険」「収入保障保険」の3つを組み合わせると、万が一の保証として必要な備えができますよ。
それぞれの保険の特徴は下図にまとめてみました。
終身保険 | 定期保険 | 収入保障保険 | |
保障期間 | 保障が一生続く | 定めた期間中は 保障が続く | 契約期間中は 保障が続く |
特徴 | お金が貯まる機能も ついている | 掛け捨ての保険 | 万が一の際に、 月々の収入として 家族にお金をのこせる |
月払保険料 | 高め | 安め | かなり安い |
保険のタイプによって、同じ保障額でもかなり月払保険料は異なります。
月払いの保険料は安いほうが良いですが、「役割の違い」も認識しておくことが大切です。
- 保険の種類ごとの役割
- ●終身保険⇒死亡時に必ずかかるお金を保障したい人向き(葬儀代、相続対策)
●定期保険⇒期間を定めて保障を作りたい人向き(一時金として受取)
●収入保障保険⇒期間を定めて保障を作りたい人向き(月々で受取)
もし「〇歳までは〇〇万円の保障を受けたい」と考えている場合は、定期保険や収入保障を活用すると、小さな掛け金で大きな保障を作れますよ。
さらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
がん保険・医療保険の考え方
「医療保険」や「がん保険」の必要性は、「どのくらい入院や手術やがんに対して備えたいか?」と考えるかによって変化します。
医療保険とがん保険は、「高額な医療費に対して備える保険」という位置づけです。
医療費に対して「貯蓄」と「保険料」の比率をどれくらいのバランスにすれば自分が納得して生活できるかを考えてみましょう。
- 貯蓄⇒貯めたお金は100%自分のお金として手元に残る。
- 保険料⇒万が一が起きた際、大きなお金を引き出せる権利を保険会社の経費込みで買う。
数百万円の貯蓄や現金化できる資産を保有している方は保険の必要性が低いでしょう。
一方で、貯蓄や資産が十分でない方は、コストがかかったとしても保険料という形で権利を保有することは効果的です。
医療費ってどれくらい高額な費用になるの?
たしかにその通りです。
実は、日本では公的な医療保険等が充実しているので、極端に高額な治療費はかからない場合が多いのです。
- 自己負担を減らしてくれる制度
- ①国民皆保険制度⇒医療費を1~3割負担に軽減
②高額療養費制度⇒年収に応じて月の医療費自己負担に上限あり
③付加給付⇒企業によっては医療費自己負担をさらに軽減できる
このように様々な制度によって、実際にかかった医療費に対して私たちが負担する額は小さくなります。
一般的な年収の場合、高額療養費制度を使えば月10万円未満の医療費で収まる可能性が高いです。
筆者と同じ製薬業界の方なら、付加給付の恩恵で「月の医療費は2~3万円未満が上限」という人も少なくありません。
そうですね。
付加給付は会社の制度なので改悪のリスクはありますが、心強い制度です。
次に、医療保険やがん保険の効果(保障内容)を確認してみましょう。
- 医療保険・がん保険の効果(代表例)
- ●がんになったことが判明した際に50~200万円がもらえる。
●入院や通院で1日あたり5,000~10,000円がもらえる。
●手術や放射線治療の際に5~20万円がもらえる
想定される医療費負担に対して、「貯蓄や資産」と「保険の効果」をどのような比率で備えれば自分が納得して生活できるかを考えてみましょう。
さらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
自動車保険の考え方
自動車を保有している人は、民間の自動車保険が必要不可欠です。
特に、対人・対物賠償は限度額を「無制限」で契約することが必須ですよ。
自動車保険は、対人・対物の無制限補償をするために加入している保険といっても過言ではありません。
そもそも自動車保険には、強制保険と任意保険の2種類があります。
- 強制保険⇒自動車損害賠償責任保険(通称:自賠責保険)
- 任意保険⇒一般の自動車保険
ほとんどすべての自動車は、強制保険に加入しています。
しかし、強制保険は「自動車事故の被害者救済」を目的に作られた保険ですので、補償される範囲は人身事故の賠償損害のみです。
また、補償額は「死亡:最高3,000万円」「後遺障害:最高4,000万円」「傷害:最高120万円」と十分な金額とは言えません。
自賠責保険では不十分な部分を補うために、民間の自動車保険が役立ちます!
保険料を安くする方法や、特約の必要性を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
火災保険の考え方
火災保険は「家の災難に対する保険」で、賃貸・持ち家のどちらであっても必要な保険です。
「火災」という名称ですが、実は火災以外にも様々な補償が備わっています。
- 火災保険の補償対象と補償範囲
- ●補償対象⇒建物・家財
●補償範囲⇒火災・風・雹・雪災・落雷・水災・水漏れ・破裂・爆発・飛来・落下・衝突・盗難など
火災保険を考えるうえで意外と知られていないのが、「失火責任法」です。
「失火責任法」
周囲の住居から発生した火災が自分の住居に燃え移って被災した場合、出火元の相手に「故意・重大な過失がない」場合は損害賠償請求できない。
「失火責任法」という法律上、出火元の人が故意や重大な過失がなければ自分の火災保険を使って自宅を修理する必要があります。
尚、「類焼損害特約」という近隣住宅や家財を延焼させた時に補償してくれる特約もありますが、任意加入の項目です。
自分が火災を起こさなくても、周囲から被災するリスクもあるので保険で備えておきましょう!
ちなみに、賃貸と持ち家では「所有権」が違うので、火災保険に求める補償対象には違いがあります。
賃貸物件の場合「建物」の所有者は貸主(オーナー)になるため、火災保険は主に以下の2つが重要です。
- 賃貸の火災保険
- ●借家人賠償責任保険⇒貸主(オーナー)に対する賠償責任への備え
●家財保険⇒家にある「モノ」に対する補償
特に「借家人賠償責任保険」は、賃貸物件を退去する時に「原状回復義務」を果たす必要があるため重要な補償です。
持ち家と賃貸で考え方が異なるので、詳細は別記事をご覧ください。
持ち家はこちらです。
賃貸はこちらです。
まとめ
この記事では、金融庁作成「高校生のための金融リテラシー講座ー備えるー」を解説しました。
この記事のまとめ
●「保険」とは、様々なリスクに備え、みんなで少しずつお金を出し合って、必要なお金が支払われる仕組み。
●日本には、社会基盤としての社会保険制度がある。
●民間保険には、生命保険(人に対する保険)と損害保険(モノに対する保険)があります。
●ライフプランに合わせて、社会保険、資産形成、民間保険の利用を組み合わせる。
保険は人生の様々なリスクに対して備えることができる重要な仕組みです。
自分の資産やライフプランに合わせて、万が一の時に生活が破綻するリスクには保険で備えておきましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました!
関連記事を以下に記載します。
「高校生のための金融リテラシー講座」の1回目です。
「高校生のための金融リテラシー講座」の2回目です。
「高校生のための金融リテラシー講座」4回目です。