製薬&雑学

製薬業界再編まとめ!大手の売上と研究開発費をデータ比較

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2020年~2021年は製薬業界に転機となる出来事が発生しました。

「COVID-19」「毎年薬価改定」「相次ぐGEメーカーの不祥事」などがその筆頭です。

もともと製薬業界は再編の歴史が続いてきましたが、環境変化が起こると最近は落ち着いていた業界に大きな変化が出てくる可能性もあります。

そこで今回は、製薬業界の合併や国際競争力のデータを基に現状をまとめてみました。

この記事はこんな方にオススメです。

製薬会社の業界再編に興味のある方
製薬会社の業界再編に興味のある方
製薬業界はこれまでどんな再編を繰り返しているの?
製薬会社の業界再編に興味のある方
製薬会社の業界再編に興味のある方
外資と内資では規模感や特許数などの企業力はどれくらい違うの?

製薬業界再編に関する政治家や官僚の発言

平成25年の第7回産業競争力会議で、当時の菅官房長官(現総理)が日本の製薬・医療機器産業が欧米企業に比べて、規模の小ささが競争力低下につながり弱点になっていると指摘しているのをご存知でしょうか?

さらに、国として政策でも支援はするが、民間企業として国際競争力を高めるために産業再編への取り組みも考えるよう言及しています。

これを見て、

読者
読者
何だ~。昔の発言の切り抜きでしょ

そう思うかもしれませんが、毎年薬価改定の旗振り役を担っていたのも菅さんでしたので、製薬業界への影響は無視できなくなるでしょう。

 

(菅官房長官)

(略)

 今後は、「日本版NIH」について、この骨子に基づき、所要の法整備を含めた詳細な制度設計に取り組むとともに、MEJを活用して医療技術・サービスの国際展開の具体的事例を積み重ね、着実に改革を進めていくことにより、医薬品・医療機器等の医療分野に関連する産業が日本の戦略産業となるよう力を尽くしていく。

一方、医療分野関連の産業は、イノベーションという観点から高いポテンシャルを秘めているが、我が国の製薬・医療機器産業を眺めてみると、各メーカーは欧米に比べて、数も多く、小規模となっている。イノベーションに不可欠な研究開発費が巨額化してきている中では、我が国のように規模の小さな企業が乱立しているという状況は、欧米メーカーと競争していく上での弱点となっているのではないか。政府は、今後5年間を産業再編や事業再構築、起業や新規投資を進める「緊急構造改革期間」と位置付け、政策パッケージを策定することとしているが、医療品・医療機器メーカーにおかれても、国際競争力の強化に向け、産業再編に取り組むなど、民間側の努力もしっかりと行っていただく必要があると考えている。(略)

引用:第7回産業競争力会議議事録

第7回産業競争力会議資料アクセスはこちら(外部サイト)

また、GEメーカーの不祥事を踏まえた国民の後発医薬品に対する不安感に対し、厚生労働省医政局経済課の林俊宏課長から2021年3月にこのような発言も出ています。

林俊宏課長
林俊宏課長
後発品も8割を占めるという時代を迎え、我々もこれは完全に量から質の問題へ転換が必要だと考えている。業界再編についても真剣に考えるべき時期にきたと捉えている

これを受け、本格的に業界再編を国として推進していく可能性もメディアで指摘され始めました。

このような情勢を受け、製薬業界はこれまでも再編の歴史を繰り返してきましたが、もう一度歴史を振り返ってみたいと思います。

国内製薬会社の再編状況は?

それではまず、国内製薬企業の再編から見ていきましょう!

国内は、近年で最も大型案件だったのは、武田薬品工業のシャイアー買収でしょう。(2019年)

2000年~2010年は再編ラッシュで、中外製薬(2002年)・アステラス(2005年)・大日本住友(2005年)・第一三共(2007年)・田辺三菱(2007年)・協和キリン(2008年)MSD(2010年)などがありました。

その反動からか、2010年以降は分社化等はありますが、大きな再編案件は比較的落ち着いている状況です。

海外製薬会社の再編状況は?

次に海外製薬企業の再編状況を見ていきます。

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世界的に有名な企業の再編が何度も行われています。

特にファイザーはM&Aを積極的に行っている印象があり、アストラゼネカ買収断念(2014年)や節税目的と批判されたアラガン買収断念(2016年)など、実現していないものの、活発に動いた案件もあります。

日本のパートでも触れましたが、武田薬品工業のシャイアー買収はインパクトが大きかったです。(2019年)

他に最近の例では、ブリストル・マイヤーズ スクイブのセルジーン買収(2019年)や、アッヴィがアラガンを買収(2020年)したことが話題になりました。

余談ですが、日本国内のセルジーンMRさんは今回の買収案件に伴い、全員ブリストル・マイヤーズ スクイブに加わった訳ではありません。

買収に際して乾癬領域部門は事業売却されたため、その事業を買い取ったアムジェンに乾癬部門の人員は移籍となりました。

世界上位売上30社

国内外で合併や買収が行われている背景には、研究開発に多額の費用を要することからメガファーマでは一定の規模も大事な要素になってきます。

そこで、2019年度の世界売上上位30社を確認してみましょう。

日本では、武田薬品工業・アステラス製薬・第一三共・大塚HDの4社がランクインしています。

国内製薬企業数と医療用医薬品売上

ここからは国内市場に関するデータを見ていきます。

まず企業数ですが、2018年時点で国内の製薬企業数は299社でした。(出典:日本製薬工業協会 DATABOOK2021)

次に、内資系と外資系の医療用医薬品売上高を見てみましょう。

2017年度医療用医薬品売上

●内資系:265社 売上高7兆8363億7300万円

●外資系:33社 売上高1兆9620億9300万円

●合計:298社 売上高9兆7984億6600万円

引用:日本製薬工業協会DATA BOOK2021

内資系企業は、1社あたりに換算すると少なく見えますが、一般用医薬品を販売する会社も製薬企業数の母数に入っている点に注意が必要です。

2004年・2018年は大手企業を含む相当数の企業が集計対象から漏れ、実態から乖離していると推量されたため、転載していません。

【規模と数】国内医薬品売上高の上位集中度

国内市場の売上高上位集中度はどうでしょうか?

上位30社で全体の約80%を占め、残り283社で約20%を占めるという、パレートの法則が形成されていることが分かります。

尚、このデータは医薬品全体の売上高なので、医療用のみではないことから前項と集計企業数の母数が異なる点に注意が必要ですが、全体感を捉える意味では的を捉えていると思います。

産業競争力会議で菅官房長官が触れた「数が多く、規模が小さい」はこのような国内データからも的外れではないことが読み取れますね。

2004年・2018年は大手企業を含む相当数の企業が集計対象から漏れ、実態から乖離していると推量されたため、転載していません。

【品目】薬効分類別の医薬品生産額(日本)

国内市場は、薬効分類別にみるとどんな製剤が生産されているかを見てみましょう。

製薬業界は在庫回転率(棚卸回転率)は他産業と比較して良くない(長い)ので、生産=売上とは必ずしも言い切れませんが、トレンドを見る上での参考にはなると思います。

1兆円を超える生産額は、腫瘍用薬とその他の代謝性医薬品の2つでした。

2019年度医薬品生産額(日本)

●総生産額:9兆4859億8800万円

●医療用医薬品総生産額:8兆6628億2200万円

●医療用医薬品1位:腫瘍用薬 1兆1617億3100万円(13.4%)

●医療用医薬品2位:その他の代謝性医薬品 1兆1120億5100万円(12.8%)

●医療用医薬品3位:循環器官用薬 9841億4400万円(11.4%)

●医療用医薬品4位:中枢神経系用約 9830億7100万円(11.3%)

引用:日本製薬工業協会DATA BOOK2021

特に腫瘍用薬は輸入品の比率が92.4%と圧倒的で、外資系企業の力の強さを感じます。

ちなみに、過去は循環器官用薬が長らくTOPでしたが、腫瘍用薬が1位なのは時代の流れを感じるなと思う方もいるのではないでしょうか。

【競争力①】研究開発費の国内と米国企業比較

続いて、競争力について確認していきます。

製薬企業の競争力は「どれだけ画期的な薬剤を世に出せるか?」が大きいと思います。

日米欧製薬企業の費用構成割合

日米欧から代表的な8社を抽出し、営業利益率・研究開発費率・その他販管費率・原価率の推移をみてみましょう。

日本企業は、営業利益率の低さとその他販管費の多さが特徴的です。

その他販管費は人件費も含まれますので、国内で早期退職が続く背景にはグローバル視点でコスト是正の流れにあるのかもしれません。

日米研究開発費比較

次に、日米の長期研究開発費トレンドを比較してみます。

一目瞭然で1社当たりの研究開発費は米国に軍配が上がります。

売上に占める研究開発費率は米国企業の方がやや高いですが、同程度の水準です。

しかし、そもそもの売上額が米国企業は圧倒的に多いため、投資できる資金力に大きな差が生じています。

【日本】

●1社当たり研究開発費(10社平均):1633億(2019年)

●研究開発費率(対売上高):17.3%

【米国】

●1社当たり研究開発費(7~10社平均):7449億(2019年)

●研究開発費率(対売上高):18.2%

※簡易的に1ドル=100円で計算。

国内大手製薬企業の研究開発費(金額)

国内企業の研究開発費を個別にチェックしていきましょう。

武田薬品工業の4923億8100万円が最大で、アステラス製薬、大塚HDが続きます。

研究開発費1000億円以上の企業(2019年)

●武田薬品工業:4923億8100万円

●アステラス製薬:2242億2600万円

●大塚HD:2157億8900万円

●第一三共:1974億6500万円

●エーザイ:1401億1600万円

●大日本住友製薬:1151億1200万円

国内大手製薬企業の研究開発費(対売上比)

次に、国内企業の研究開発費を対売上比で企業別に見てみましょう。

先ほどの10社平均値では17.3%でしたが、対売上比20%を超える未来への投資を行っている会社は5社でした。

この比率が高ければ良いというものではありませんが、製薬会社というビジネス特性上、研究開発にどの程度投資しているか?(どの程度投資することができているのか?)という指標は、企業を見極める上で重要だと思います。

研究開発費対売上比20%以上の企業(2019年)

●大日本住友製薬:23.8%

●小野薬品工業:22.8%

●田辺三菱製薬:20.9%

●第一三共:20.1%

●エーザイ:20.1%

海外大手製薬企業の研究開発費(金額)

ここからは、海外企業の研究開発費を個別にチェックしていきましょう。

便宜上、1ドル=100円、1ユーロ=120円、1ポンド=140円、1スイスフラン=110円、1デンマーククローネ=17円で計算します。

メディ太
メディ太
為替の簡易計算が正しいかは分かりません!デンマーククローネは初めて聞いた!笑

日本は武田薬品工業の約4924億円が最大でしたが、海外は1兆円超えの企業もあります。

研究開発費4000億円以上の企業(2019年)

●ロシュ:1兆4051億4000万円

●J&J:1兆1355億0000万円

●メルク(USA):9872億0000万円

●ノバルティス:9402億0000万円

●ギリアド:9106億0000万円

●ファイザー:8650億0000万円

●サノフィ:7221億6000万円

●バイエル:6410億4000万円

●アッヴィ:6407億0000万円

●グラクソスミスクライン:6395億2000万円

●ブルストルマイヤーズスクイブ:6148億0000万円

●アストラゼネカ:6059億0000万円

●イーライリリー:5595億0000万円

●アムジェン:4116億0000万円

特にロシュは研究開発費のTOPが定位置で、1兆円超えの研究開発費企業の常連になっています。

グローバルでみると、国内製薬企業との格差を感じますね。

海外大手製薬企業の研究開発費(対売上比)

海外企業の研究開発費を対売上比で企業別に見てみましょう。

メディ太
メディ太
よ、よ、40%!?!?

ギリアドの対売上比でみた研究開発費は驚愕の40.6%でした。

様々な事情があったにせよ、この数値はすごいと思います。

研究開発費対売上比20%以上の企業(2019年)

●ギリアド:40.6%

●イーライリリー:25.1%

●アストラゼネカ:24.8%

●ブルストルマイヤーズスクイブ:23.5%

●メルク(USA):21.1%

●ロシュ:20.8%

【競争力②】日本における企業別医薬品関連特許公開件数

最後に、特許の件数で見ていきます。

読者
読者
何だ~。研究開発費が多くても成果が出ないと意味ないよね

こんな疑問を持たれた方もいると思います。

そこで、日本における医薬品関連の特許公開件数データを企業別にチェックしてみましょう。

国内企業

国内企業の件数を2013年~19年まで調査しています。

武田薬品工業の43件、興和36件、第一三共28件が上位3つの企業でした。

海外企業

国内企業の件数を2013年~19年まで調査しています。

ノバルティスの45件、サノフィ35件、ファイザー33件が上位3企業でした。

まとめ

今回は「国際競争力」「規模と数」を中心に、データを交えながら解説しました。

現状の国内企業は、規模で海外大手製薬企業に完敗していますので、戦略としては得意領域・新規性の高い製剤で海外市場に勝負している状況です。

しかし、武田薬品工業が国内では先陣を切って世界で戦える規模となるM&Aを行ったように、今後は他の国内企業も海外戦うための再編が始まるかもしれません。

本日も最後まで読んでいただいてありがとうございました!

データ引用元:日本製薬工業協会DATA BOOK202アクセス先(外部リンク)

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