製薬&雑学

【最新版】 販売情報提供活動ガイドライン違反事例まとめ!製薬会社の注意点

近年、MRの情報提供内容に対する監視が強化されています。

厚生労働省では「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」を策定し、医療用医薬品の販売情報提供活動監視事業を行っています。

※旧名称は「医療用医薬品の広告活動監視モニター事業」です。

悪質な事例に対しては「課徴金制度の導入」によって処罰されることになったため、製薬会社はこのように何度も言われているのではないでしょうか?

コンプライアンス担当者
コンプライアンス担当者
ルールの順守を徹底してください!

注意はしていても、うっかり余計な一言が報告対象になってしまうこともあります。

そこでこの記事では、最新の「販売情報提供活動監視事業 報告書」からポイントをまとめて紹介し、特にMRが注意すべき活動をご紹介していきます。

この記事はこんな方向けです。

MR
MR
最近はどんな違反事例が多いの?
MR
MR
特にモニターの方が注視している違反事例の傾向ってあるの?

本記事の引用元資料を確認したい方は以下をご覧ください。

厚生労働省「販売情報提供活動監視事業」リンク

2020年度報告書のポイント

2020年度報告書のポイントは以下の5点です。

  • 今年度は、コロナ禍で年間を通して販売情報提供活動が例年と比較して少なかった(対面減少、Web増加)
  • Webによる情報提供では、学術や上司が同席するケースが増えたことでMR1名での不適切な情報提供を防ぐことにつながった。
  • 製薬企業が医療機関への情報提供に対して過度に慎重になりすぎたことで、質問に対してタイムリーに情報を得ることができなくなってきたので困っているという意見が出ている。
  • 依然として「エビデンスのない説明を行った」「有効性のみを強調した」という事例がみられる。
  • オンライン等による情報提供が増加しているため、引き続き不適切事例がないか注視する

過去よりも違反事例は減少しましたが、「面談数減少」や「複数名同席」で違反を起こす環境が減ったことが影響していると考察されていました。

また、医療者の求める情報がタイムリーに得られなくなってきている部分は、製薬企業に対して改善要望が届きそうな雰囲気を感じます。

 

情報提供に過度に慎重になっている企業、担当者が増えたという意見も挙げられた。

医療関係者からの質問に対し、後日、回答書を送るといった対応が増え、医療関係者が必要としている情報がタイムリーに入手できなくなっている、必要な情報が提供されなくなっている、といった新たな問題が生じており、本事業ではこの点について憂慮している。

引用:医療用医薬品の販売情報提供活動監視事業
製薬会社
製薬会社
課徴金制度まで導入されたら慎重にせざるを得ないですよ。
MR
MR
違反を誘導するような引っかけ質問が出ることもあるので、どうしても慎重になってしまいますよね。

製薬会社側はこういう心理もあると思いますので、この点はバランスが難しいところですね。

疑義報告が行われた延べ医薬品数と違反疑いの結果

この事業では「モニター報告」と「一般報告」の2種類で調査が行われています。

モニター報告では、8ヶ月間で21件の疑義報告が行われています。

令和2年度(2020年度)は調査開始後、最も少ない報告数でした。

一般報告は令和元年度(2019年度)より開始しています。

令和2年度(2020年度)は7件の報告となっており、モニター制度と比較すると数が少ないことから「一般報告の周知と啓蒙が必要」と報告書では言及されています。

違反が疑われた項目の年度別集計

違反が疑われた項目を年度別に集計してみました。

「エビデンスのない説明を行った」「有効性のみを強調した」の2項目が上位となっています。

モニターの方は今後もこの点を注視すると思われますので、私たちMRは不適切な事例に該当しない情報提供を心がける必要がありますね。

データ加工は、各社が資料作成時に注意して作成していることに加えて、MRが個別にPPTで発表せずに資料を改変できない仕組みへと変化しているため、違反事例は今後も少ないと思います。

医療関係者
医療関係者
文字ばかりのスライドで、何を伝えたいスライドなのか全くわからないけどね。

はい。ご指摘はごもっともだと思います・・・。

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違反が疑われた事例の情報入手方法

最新の報告書ではオンラインでの違反事例が報告されています。

従来の調査では「直接対面」が多かったのですが、コロナ禍でWebが増加したことによる時代の変化を感じますね。

Webでは、相手の環境が全てわからないので、細心の注意を払って情報提供する必要があります。

【モニター報告】

【一般報告】

一般報告では「口頭説明」が複数挙がっています。

口頭説明が挙がりやすい要因をMR目線で考えると、主に以下の3つがあるのではないかと推察します。

●口頭で伝えることで証拠が残りにくいという心理になりやすい

●有用なデータや印刷物自体が規制で制限されて使えないため、口頭説明になる

●顧客から質問を受けた時に「知りません」「規制で言えません」と伝えることが難しく、知識を基に口頭で答えるため

しかし報告書を見る限り、モニター側は「口頭説明は違反事例が出やすい」と認識しているので、MRも安易に口頭なら大丈夫と考えないようにした方が良いと思います。

実際に報告されたガイドライン違反事例

報告書に記載されている、実際の違反事例をチェックしていきましょう。

【未承認の効能効果や用法用量を示した事例

MRの不適切な説明だけでなく、MSさんの事例も出ています。

注射剤でのみ認められる適応について、内用薬でも適応があると説明した事例。(Web面談)
【抗精神病薬】
注射剤のみ適応を有する疾患の患者に対する導入方法について医療者が質問したところ、注射剤が有する適応は内用薬でも適応が認められるという口頭説明があった。
未承認の効能を示し、購入を促した事例(対面)
【抗インフルエンザ薬】
「適応拡大について承認がなされる見込みだが、本剤の在庫は置かなくてよいか?」と、未承認の効能効果について説明をされ、購入を促された。
※医薬品卸の営業担当者による説明の違反事例です。
添付文書に記載されている処方のための条件を守らなくても問題ないと説明した事例(対面)
【アルコール依存症治療薬】
添付文書に記載されている処方のための条件について、企業の情報提供窓口に問い合わせ、医師、看護師等が研修を受講する必要がある旨の情報提供を受けた。しかし、「医師さえ研修を受けていれば他の職種が研修を受けていなくても処方している例はある」といった説明を口頭で行い、処方のための条件を無視しても問題ないと受け取れる説明をした。

データやグラフの恣意的な抜粋・加工・強調・見せ方等を行った事例

作図は企業の認識面が要因かもしれませんね。

他剤との併用があるのに、併用していないと受け取れる図表の加工を行った試験デザインを示した事例(対面)
【抗リウマチ薬】
審査報告書に記載された臨床試験では、本剤と他剤の投与に切り替えて試験をしているにもかかわらず、インタビューフォームや総合製品情報概要などに用いている試験デザインを示した図表では、他剤の投与に関する記載がなく、本剤単剤への切り替えの場合の試験結果と誤解を招くような図表となっている。

エビデンスのない説明や信頼性に欠ける/不正確な情報に基づく説明を行った事例

MRは医療者が審査報告書までチェックして整合性を確認することを前提に情報提供内容を考えた方がよさそうですね。

エビデンスなく、他剤との同時投与により当該他剤の吸収阻害がされると説明した事例 (Web面談)
【パーキンソン病治療薬】
本剤と他剤を投与するタイミングについて質問したところ、特に質問していないにもかかわらず、同時投与により当該他剤の吸収阻害がされると説明を受けた。
審査報告書等には、当該他剤の吸収阻害について記載は特になかった。
エビデンスなく、他剤よりも優れていると説明した事例 (Web面談)
【抗リウマチ薬】
既存の同種同効薬との違いについて質問したところ、臨床上の効果を比較した臨床試験が行われていないにもかかわらず、「選択性が高く、既存の同効薬より優れている」という説明を行った。
RMP に重要な潜在的リスクとして挙げられているにもかかわらず、有害事象は認められず臨床的に問題ないと説明した事例(メール・電話)
【鉄欠乏性貧血治療剤】
本剤に関する、ある疾患に関するリスクについて質問したところ、RMP の重要な潜在的リスクとして挙げられている疾患であったにもかかわらず、有害事象は認められないことから、臨床的に問題ないと説明を受けた。
他剤は粘着力が強く剥がすときに痛いため、本剤の方が優れていると説明した事例(対面)
【がん疼痛治療薬】
他剤の方が粘着力が強く剥がすときに痛いため自社製品の方が優れている、とエビデンスなく説明した。
引用元が示されていないデータをまとめた説明資材を用いた事例(Web面談)
【透析液】
院内の製品説明会にて、インタビューフォームや審査報告書、製品概要等にも掲載がなく、引用元が示されていないデータを使いながら、有効性に関する説明(透析前後での電解質濃度が従来製剤と比較して変化した旨の説明)が行われたが、本剤承認のもととなった従来製品との有効性・安全性評価には触れられなかった。

【誇大な表現を用いた事例

統計に詳しい医師に対してこの説明をすれば炎上するだけなので、違反事例関係なくこの説明はやめたほうがよいと感じました。

2 剤の有効性を比較することが不適切な試験の結果を用いて、類薬と同等の有効性があると説明した事例(Web面談)
【抗精神病薬】
本剤と類薬との有効性の違いに関して質問したところ、説明資料の下部には「本剤投与群と類薬投与群との比較を示したものではない」旨の注意書きが記載されているにもかかわらず、本剤投与群と類薬投与群の各群とプラセボ群に対する、優越性について検証した試験の結果をもとに、本剤と類薬の有効性が同等であるという説明を行った。
有効性に関する主要評価項目は中央判定を優先する試験計画にもかかわらず、中央判定と異なる担当医師の評価も併せて MR が説明した事例(対面)
【抗がん剤】
有効性に関する主要評価項目について、中央判定と担当医師の評価が分かれた場合には、中央判定を優先するという試験計画であったにもかかわらず、製品説明会において、「中央判定では有意差がみられなかったものの、担当医師による判定では有意差が認められた」と担当医師の評価も併せて説明した。

他社製品の誹謗及びそれに類する説明を行った事例

各企業のコンプライアンス研修で出てくる事例に近いです。

他剤を具体的に挙げ、本剤との比較を行った事例(Web面談)
【抗菌薬】
スライド資料上では成分名のみの表記で具体的な製品名は記載していないが、口頭での説明では成分名ではなく、他社の製品名を何度も具体的に挙げ、本剤との比較を行った。

有効性のみを強調した事例(副作用を含む安全性等の情報提供が不十分な場合も含む)

安全性やデメリットを伝えることで信頼にもつながることを意識したいですね。

他剤との比較データなく、国内臨床試験で副作用が認められなかった点を強調し、他剤と比べ安全と説明した事例(Web面談)
【腎性貧血治療薬】
他剤と安全性を比較したデータはないにもかかわらず、「本剤は添付文書にも記載の通り、国内臨床試験にて副作用が認められていないため、他剤と比べて安全な薬剤である」旨の説明をした。国内臨床試験で副作用が認められなかったことを強調して伝えることで、他剤に比べ本剤が安全だと説明した。
試験結果に基づく定量的な差異を示すデータ等がないにもかかわらず、薬理作用のみを根拠として他剤との優位性を説明した事例(Web面談)
【腎性貧血治療薬】
他剤(A剤)との比較を示したスライドを基に、本剤が別の他の同種同効薬(B剤)と比較して Hb 上昇が緩やかだと説明した。しかし、B剤に関する説明の根拠となる定量的な数値を示すデータはなく、薬理作用の違いのみによってB剤との比較をした説明を行った。
臨床試験において有害事象が認められないため、安全性が高いと説明した事例(対面)
【DMD 治療薬】
臨床試験において有害事象が認められなかったことのみを理由に、安全性が高い薬剤であるという説明が行われた。
有意差が認められた副次評価項目のみを説明し、主要評価項目については説明を行わなかった事例(Web面談)
【眼科用 VEGF 阻害剤】
オンライン面談における情報提供において、主要評価項目についてはスライド資料も準備せず、有意差が認められた副次評価項目のみについて説明を受けた。口頭の説明においても主要評価項目については必要な説明は行われなかった。

【利益相反に関する事項を明示しなかった事例

演者の先生との事前打ち合わせが必要な案件ですね。

メーカー主催の Web セミナーにて、発表者が COI の開示をしなかった事例
メーカー主催の Web セミナーにて、いずれの発表者も COI 開示を行わなかった。発表者によれば、メーカーから COI 開示に関して求められなかったため、COI の表示を行わなかったとのことであった。

その他の事例(不適切な営業手法含む)】

これは典型的な事例ですね。前回の報告書にも同じ事例が出ていました。

承認後1年以内につき長期処方が不可な医薬品を、倍量処方により長期処方が可能と説明した事例(対面)
【不眠症治療薬】
新医薬品上市後の処方日数制限への対応として、「用法用量で認められた 1 日の上限量の半分の量を 2 錠 14 日分処方することで、実質的に 28 日分の処方ができる」という倍量処方に関する提案を医師に対して行った。
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過去の調査から製薬会社(MR)が特に注意すべき点

私を含め、MRの方は特に「口頭説明」「不適切資料」に注意しましょう。

報告書で「注意すべき点」と記載されているということは、モニターの医療関係者も意識的にチェックしようとする心理が働きやすくなる可能性があります。

MR による口頭説明

「承認範囲外の効能効果や用法用量をほのめかす説明をしない」

「エビデンスがない説明や、効能効果・安全性等を誇大に見せる説明をしない」

プロモーション資料

「信頼性に欠けるデータの資料を使わない」

「引用文献の図表を加工した資料を使わない」

「事実誤認の恐れのある構成・表現を用いた資料を使わない」

医師の意見は?

日経メディカルオンラインが2019年に会員医師4039名に、本調査に関する意見を調べた結果が公表されています。

当時の結果では、約50%が報告する可能性があるものの、残りの50%は関心がないとの結果でした。

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まとめ

本日は、販売情報提供活動監視事業に関してまとめてみました。

私が入社してから年々業界ルールも変化し、特にこの数年間の環境変化は非常に大きいと感じています。

このような環境下ですが、まだまだできることは残されていますので、可能な手段を最大限活用し、MR業務を行っていきましょう。

本日も最後までご覧いただきありがとうございました!

関連記事を下記に添付しますので、是非ご覧ください。

MR数の変遷や内訳など、細心の情報をまとめています。

MRが生き残るために必要な3つの選択肢と考え方についてご紹介しています。

国内の主要な製薬企業が海外でどんな製品を展開しているかをまとめました。

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