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【アンメットメディカルニーズ2021】新薬開発状況と国内製薬会社の主要海外売上製品まとめ

製薬協ガイド2021が2021年5月27日に公開され、「アンメットメディカルニーズ」「製薬会社の海外売上」が注目されています。

そこでこの記事では、医薬産業政策研究所の報告も参考にしながら要点を解説したいと思います。

筆者(メディ太)
筆者(メディ太)

長い記事になりますので、目次をクリックして確認したい領域へジャンプする機能をご利用ください。

この記事で分かること

●アンメットメディカルニーズの最新情報(製薬協ガイド2021)

●治療満足度・薬剤貢献度別にみた新薬の開発件数(60疾患)

●国内製薬企業の海外売上

●海外売上高上位9社の海外製品調査(企業別)

Contents

【最新版】アンメットメディカルニーズ2021

「アンメット・メディカル・ニーズ」は、いまだ有効な治療方法が確立されていない疾病に対する医薬品・医療への強い要望を意味しています。

筆者(メディ太)
筆者(メディ太)

右上に行くほど、「薬剤の貢献によって治療満足度が高い疾患」と推察されます。

一方で、左下に位置する疾患は「未だに決定的な治療薬が少なく、薬剤による貢献が期待されている領域」と言えます。

私は、治療満足度50%未満の領域の開発だけでなく、満足度の背景も考慮しながら潜在ニーズを把握することで貢献度の高い創薬につながるのではないかと考えています。

読者の方
読者の方
各疾患の新薬開発はどれくらい進んでいるの?
筆者(メディ太)
筆者(メディ太)

私も気になったので、調査した結果を次項でご紹介します。

【最新版】アンメットメディカルニーズに対する新薬開発パイプライン

こちらが2019年度の治療満足度・薬剤貢献度と、2020年8月末時点の60疾患の開発状況です。(上図)

該当する開発品目数284件、そのうち新規有効成分(NME)は122件(43%)でした。

開発品目の内訳
●薬剤貢献度50%以上かつ治療満足度50%以上⇒37疾患226品目(79.6%)

●薬剤貢献度50%未満かつ治療満足度50%以上⇒7疾患25品目(8.8%)

●薬剤貢献度50%以上かつ治療満足度50%未満⇒6疾患13品目(4.6%)

●薬剤貢献度50%未満かつ治療満足度50%未満⇒10疾患20品目(7.0%)

ちなみに、本調査に該当する60疾患とそれ以外の疾患で新有効成分開発数の推移をみると、近年は60疾患の中から毎年約15件の新薬が開発されています

  

【調査方法

●調査内容:「60疾患に関する医療ニーズ調査(第6回)」を元に、最新60疾患に対する開発パイプライン数を示すとともに、新たに60疾患に加わった8つの疾患(但し2つの新疾患は従来カバーしてきた疾患の分割)の中からいくつか選択した疾患について、既承認医薬品、開発品について調査した。

●集計対象:製薬会社20社の2020年8月末日時点における国内開発品目(フェーズ1~申請中)

●対象企業:アステラス製薬、アストラゼネカ、エーザイ、大塚製薬、小野薬品工業、グラクソ・スミスクライン、協和キリン、サノフィ、塩野義製薬、第一三共、大日本住友製薬、武田薬品工業、田辺三菱製薬、中外製薬、日本イーライリリー、日本ベーリンガー・インゲルハイム、ノバルティスファーマ、バイエル薬品、ファイザー、MSD

引用:政策研ニュース 「アンメット・メディカル・ニーズに対する医薬品の開発状況-2020年の動向-」
読者の方
読者の方
なるほど。
ちなみに、治療満足度が低くて、他社が開発していない領域はどこなの?
筆者(メディ太)
筆者(メディ太)

7つの疾患カテゴリーが該当します!

該当するデータを抽出したので次項で解説しますね。

治療満足度50%未満かつ・開発件数ゼロの領域

治療満足度が低く、他社が開発していない領域」として、7疾患が該当しました。

  • 精神疾患(血管性認知症)
  • 代謝疾患(糖尿病性神経障害)
  • 疼痛疾患(繊維筋疼痛)
  • 骨格筋疾患(サルコペニア)
  • 感染症(非結核性抗酸菌症)
  • 精神疾患(不安神経症)
  • 睡眠、覚醒障害(むずむず脚症候群)

※2019年度治療満足度50%未満かつ、20社での開発中品目数ゼロで抽出

筆者(メディ太)
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サルコペニア」「非結核性抗酸菌症」は、新しく60疾患に加わったものです。

糖尿病性神経障害・不安神経症・むずむず脚症候群は、2014年度調査と比較して治療満足度が改善していない点は興味深いです。(満足度が下がっている疾患もある)

次項からは、カテゴリー別に60疾患まとめていますので、興味のある疾患をご覧ください。

新たな治療法や治療薬の開発が急務と考えられる疾患

新たな治療法や治療薬の開発が急務と考えられる疾患の上位は、「中枢・神経系(27.0%)」「新生物(15.6%)」でした。

※2019年度に総合内科専門医を対象としたアンケート調査

中枢・神経系の疾患については、主に薬物治療に起因する「有効性」及び「副作用」の要因以外にも、問題意識が高いことが示されています。

新生物の治療においては、「有効性」に加えて「副作用」の改善も重要な課題であることが示唆されました。

【60疾患の満足度と開発件数まとめ①】感染症カテゴリ

感染症は2疾患ともに開発中品目数がゼロでした。

筆者(メディ太)
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非結核性抗酸菌症の治療満足度が低い要因として、本疾患は抗菌薬を主体に治療されますが、抗酸菌の増殖スピードは非常に遅いため「治療期間が
長くなること
」「多剤併用でも効果が十分でなく安全性に問題があること」が指摘されています。

抗MRSA薬は、薬剤が充実している現状も影響しているのかもしれませんね。

【60疾患の満足度と開発件数まとめ②】新生物カテゴリ

60疾患開発品目数における、がん疾患の開発品目数割合は非常に高く、割合は約50%(143/284)でした。

また、がん10種開発品目数における新規有効成分(NME)数の割合は31%(44/143)です。

筆者(メディ太)
筆者(メディ太)

開発品目の割合に対して新規有効成分の割合が低い数値の背景として、「1品目で適応拡大の開発を行う」ということが影響していると考察されています。

疾患別にみると、肺がんの開発品目数の多さに驚かされます。

肺がんは、分子標的薬登場から続々と新薬が登場し、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)も登場したことで、薬剤貢献度が飛躍的に向上している疾患の1つと言えます。

【60疾患の満足度と開発件数まとめ③】代謝疾患カテゴリ

糖尿病の満足度と貢献度の高さが際立っています。

さらにその中でも開発が進んでいることから、競争率の高さが伺えます。

筆者(メディ太)
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糖尿病の代表的な合併症に対する開発も進んでおり、今後も薬剤の貢献が期待される領域と言えそうですね。

【60疾患の満足度と開発件数まとめ④】精神疾患カテゴリ

精神疾患はアンメット・メディカル・ニーズが非常に多い疾患と言えます。

その最たる疾患がアルツハイマー病であり、数ある開発品が中止になった歴史からも開発難易度の高い疾患と言われていますが、成功すると非常に大きな貢献になります。

筆者(メディ太)
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たくさんのアルツハイマー病治療薬が開発に挑戦して断念しています。

近年ではエーザイのアデュカマブがFDAで条件付き承認を受けましたが、賛否両論もあって思うように市場浸透していないです。

他にも有力候補品がイーライリリーやエーザイの開発品にあります。

他にも、統合失調症やうつ病は現代社会の課題と捉える声もある疾患になりますので、薬剤が果たせる役割はまだまだありそうだと感じます。

【60疾患の満足度と開発件数まとめ⑤】神経疾患カテゴリ

神経疾患もまだまだ薬剤の貢献できる余地のある領域と言えます。

指定難病の多発性硬化症・パーキンソン病は疾患の特性上、薬剤の貢献で選択肢が拡大してきていますが満足度は上がりにくい疾患といえるのかもしれません。

筆者(メディ太)
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ALS/筋萎縮性側索硬化症は、60 疾患の中で治療満足度・薬剤貢献度がともに最も低い疾患でした。

さらに、「治療が行えているとはいえない(50.4%)」「効く薬がない(54.2%)」という回答割合が最も高かったです。

ALS/筋萎縮性側索硬化症は、未だ有効な薬剤がないことが理由として挙げられており、新たな治療法や治療薬のニーズが非常に高い疾患と言えます。

【60疾患の満足度と開発件数まとめ⑥】疼痛疾患カテゴリ

該当する2つの疾患で開発状況がはっきりと分かれています。

筆者(メディ太)
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線維筋痛症は未だに原因がよくわかっておらず、明確な原因療法や根治療法がない状況にあるため、治療薬が待ち望まれている疾患の1つと言えます。

【60疾患の満足度と開発件数まとめ⑦】睡眠・覚醒障害カテゴリ

現状では複数の治療薬が臨床応用されている領域です。

しかし、QOLが著しく低下する疾患であるため、薬剤の貢献する余地はまだあります。

筆者(メディ太)
筆者(メディ太)

満足度は前回調査より低下していることから、潜在ニーズがありそうですね。

【60疾患の満足度と開発件数まとめ⑧】緑内障カテゴリ

治療満足度が2014年よりも約10%低下している点は気になりますね。

筆者(メディ太)
筆者(メディ太)

開発品目数ゼロとなっていますが、本調査の製薬会社に参天製薬などの眼疾患の企業が入っていないことが背景にあると推察しています。

実際に参天製薬のホームページを確認すると、緑内障は開発中の情報がありましたので、今後も新たな薬剤が登場する可能性はあると思います。

【60疾患の満足度と開発件数まとめ⑨】循環器疾患カテゴリ

薬剤貢献度・治療満足度の上位常連の高血圧症をはじめ、比較的満足度の高い疾患が多いです。

治療薬に加え、カテーテルなどの治療も向上しているで、治療水準がとてもよくなっている領域の1つだと思います。

筆者(メディ太)
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対象患者数も多いので、製薬会社の開発競争が激しいカテゴリーですね。

【60疾患の満足度と開発件数まとめ⑩】呼吸器疾患カテゴリ

COPD/慢性閉塞性肺疾患の治療満足度向上は注目すべき点で、さらに開発品目も複数出ているためさらなる向上が期待できそうです。

筆者(メディ太)
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特発性肺線維症は、薬剤貢献度・治療満足度ともに低いです。

新薬が登場しているものの、未充足ニーズの高い疾患と言えます。

特に、「急性増悪に対応できない場合がある」と指摘されています。

【60疾患の満足度と開発件数まとめ⑪】消化器疾患カテゴリ

6疾患のうち、開発有無が3疾患ずつはっきりと分かれています。

治療満足度が50%未満の疾患はありませんでしたが、治療満足度が2014年から大きく改善していない疾患も存在します

筆者(メディ太)
筆者(メディ太)

特に慢性便秘症は医療ニーズが潜在している可能性があります

本調査では、当疾患に関して「治療の有効性」や「薬剤の安全性」に対するさらなる改善要望の意見が大部分を占めていました。

【60疾患の満足度と開発件数まとめ⑫】皮膚疾カテゴリ

アトピー性皮膚炎の開発は非常に激戦であることが伺える結果ですね。

今回の調査ではアルツハイマーと同じ開発中品目数で、悪性腫瘍を除くと1疾患あたりの開発数は上位にあります。

筆者(メディ太)
筆者(メディ太)

皮膚疾患は患者さん自身が視覚的に見えるということが、薬剤の効果を判断しやすいので貢献度や満足度向上につながりやすい側面があると感じています。

【60疾患の満足度と開発件数まとめ⑬】筋骨格疾患カテゴリ

新しく追加されたサルコペニアに対しては、調査対象を広げても開発品目はゼロとなっています。

エビデンスレベルの高い治療法や予防法が確立されているわけではないことからニーズはありそうです。

筆者(メディ太)
筆者(メディ太)

サルコペニアは、適応症を有する承認薬がなく、治療法も「運動療法」or「栄養療法」しかないことが原因で満足度と薬剤貢献度が低いです。

【60疾患の満足度と開発件数まとめ⑭】免疫疾患カテゴリ

指定難病の2つの疾患は共に開発品もあり、更なる医薬品の貢献が期待される領域です。

SLE/全身性エリテマトーデスは前回調査からの治療満足度向上が大きく向上し、開発品目も複数登場しているので、期待が高まります。

筆者(メディ太)
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全身性強皮症は「対症療法しかなく、根本治療を行える治療薬がない」という状況が満足度の低い原因です。

【60疾患の満足度と開発件数まとめ⑮】腎尿路生殖器疾患カテゴリ

CKD/慢性腎臓病の開発品目の多さが顕著ですね。

高齢化が進む中で、慢性疾患としてニーズの残る疾患に各社が注力している様子が垣間見えます。

筆者(メディ太)
筆者(メディ太)

治療満足度の改善余地のある疾患が並んでおり、高齢化に伴う疾患も複数あるため今後開発が進む可能性もあるかもしれないと思います。

世界の医薬品市場シェア推移と日本市場の成長鈍化

ここからは、国内製薬企業が海外市場に参入している背景と主要製品を解説します。

世界と日本の医薬品市場シェアを確認していきましょう。

2000年~2019年の20年間で世界の医薬品市場は約3倍を超える規模に成長しました。

  • 2000年:3,577億ドル
  • 2019年:12,624億ドル

そのような中、日本市場の成長は鈍化し、世界シェアは約半分に低下したことで2013年以降は第3位の市場規模となっています。

中国の台頭で日本のシェアは7.0%へと低下していますが、国内医療用医薬品市場規模は約10兆円と横ばいで推移しており「日本が他国の伸びについていけていない」という状況になっています。

年平均成長率2014-2019
中国+6.7%
米国+4.3%
欧州5ヵ国+4.0%
日本-0.2%

このような背景から、国内製薬企業が持続的に成長するためには「海外市場で売上を伸ばす必要性が高まった20年」と言えるのではないでしょうか。

そこで浮かぶのがこんな疑問です。

読者の方
読者の方
主要な製薬会社の海外売上はどれくらい変化したの?

そこで、医薬産業政策研究所の報告からデータをご紹介します。

【国内主要製薬会社 一覧】売上&海外売上比率の推移

海外売上高比率は59.4%に上昇し、14社を個別にみると2011年度よりも2019年度の海外売上高及び連結売上高対海外売上高比が大きいのは14社中13社でした。

※国内製薬14社の2011年度~2019年度の連結売上高合計と海外売上高比率推移をご覧ください。(図3)

今後も国内市場は低成長が予想されるため、海外売上比率伸長を目指すトレンドは継続するでしょう。

このデータで私が注目したのは、国内と海外の売上比率が「海外は伸長」「国内は横ばい(やや低下)」になっているというトレンドです。

これは、日本国内市場だけでビジネス展開をすることは事業継続性の観点でリスクになるため、グローバル展開が必須であることを企業自らが数字で示していると感じます。

ちなみに、2019年度の世界大手企業でみた売上上位30社は以下の通りです。

【国内主要製薬会社 一覧】海外売上が上位の製品特性まとめ

本調査では、さらに海外売上高上位9社の海外製品に対して、「対象疾患」「技術(モダリティ)」「開発地域」「開発及び販売方法」「創出起源」が調査されています。

 

【調査方法

●調査対象とした企業:アステラス製薬、エーザイ、大塚ホールディングス(大塚HD)、協和キリン、塩野義製薬、第一三共、大日本住友製薬、武田薬品工業、中外製薬の海外売上高上位9社

●データソース:各社ホームページ上で公表している2020年3月期決算報告資料(決算短信、決算短信補足資料、DATABOOK、FACT シート等)、および2021年3月期第2四半期決算報告資料を用いた。ただし、大塚 HD、協和キリン、中外製薬については決算月が12月であるため2019年12月期決算報告資料および2020年12月期第3四半期決算報告資料に記載の情報を用いた。

●薬剤一般名、対象疾患領域、モダリティ、販売地域、上市年、創出起源等の追加情報:明日の新薬(株式会社テクノミック)、Cortellis Competitive Intelligence(クラリベイト・アナリティクス)及び各社プレスリリース、ATC分類は明日の新薬、KEGG DRUG Database6)を用いた。

●調査項目:製商品名(一般名/代表的な商品名)、主な対象疾患領域(ATC 分類)、モダリティ、主販売地域、海外売上額(2019年度実績および2020年度予想)、海外上市年、創出起源(オリジン)及び海外開発企業、フェーズⅢ以降の開発品とその開発ステージ(ステージ更新情報については2020年12月末日までのプレスリリース情報等を反映)。

●抽出品目数:各社2019年度の海外売上製商品を売上高の大きい順に選択した。海外売上高が大きい企業については品目数を多めに選択し、最低でも医薬品事業売上の5割以上となるまでピックアップ。

引用:政策研ニュース 「国内主要製薬企業の海外売上高上位製商品の特徴」

では、この調査結果について、各企業別の結果と著者のコメントを引用してご紹介します。

私からの個別企業に対する見解やコメントは客観性に欠ける部分が出るとよくないので、ここは引用のみとさせていただきますのでご了承ください。

アステラス製薬の海外売上製品一覧

  

アステラス製薬の2019年度の海外売上上位製品は順に、イクスタンジ、プログラフ、ベタニス、Lexiscan、ハルナール、ファンガード、そしてベシケアと続いている。

2020年度の売上予想額は、抗腫瘍薬であるイクスタンジが大きく売り上げを伸ばす予想値となっている一方で、特許切れによる独占販売期間が切れたプログラフ、ハルナール、ファンガード、ベシケアは徐々にその海外売上額を減らしている。

イクスタンジ及びLexiscanは導入品であるが、主に低分子の自社オリジン医薬品を自社で海外開発し、自社販売網を通じて販売していることが特徴。

引用:政策研ニュース 「国内主要製薬企業の海外売上高上位製商品の特徴」

武田薬品工業の海外売上製品一覧

 

2019年度の海外売上高上位製品は、炎症性腸疾患薬のエンティビオ、血液分画製剤のガンマガード、精神疾患薬のビバンセ、トリンテリックス、血友病薬のアドベイト、抗腫瘍薬のベルケイド、ニンラーロ、リュープリン、遺伝性血管性浮腫治療薬である Takhzyro、などである。

トリンテックスはルンドベックから導入後、米国での開発権を得た製品であり、リュープリンは自社オリジンのペプチド製剤であるが、それ以外の製品は海外企業の買収によって加わったものとなっており、疾患領域及びモダリティも多種多様である。

引用:政策研ニュース 「国内主要製薬企業の海外売上高上位製商品の特徴」

エーザイの海外売上製品一覧

 

2019年度の海外売上上位製品は抗腫瘍薬であるレンビマ、ハラヴェンを筆頭に、精神神経疾患治療薬のイノベロン、メチコバール、アリセプト、フィコンパが続いている。

2020年度はレンビマの売上高がさらに増加すると予想されている。

すでに特許が切れているアリセプトの主販売領域が欧米から中国を含めたアジア、ラテンアメリカへとシフトしている。

レンビマの販売額の増加だけでなく、レンビマに関するマイルストン、一時金収入を含むライセンス収入及び医薬品原料などに係る事業も海外売上高に大きく貢献している。

がん疾患及び中枢神経系疾患を柱とした自社オリジンの低分子医薬品を自社販売網を通じて海外展開している。

引用:政策研ニュース 「国内主要製薬企業の海外売上高上位製商品の特徴」

中外製薬の海外売上製品一覧

 

2019年度の海外売上高上位製商品は、自己免疫疾患治療薬のアクテムラ、抗腫瘍薬のアレセンサであり、主に親会社であるRocheへの輸出による収入である。それ以外に海外売上高に大きく寄与したものとしてはロイヤルティ等収入及びその他の営業収益であり、この中には血友病薬のヘムライブラに関するマイルストン収入等が含まれている。

2020年度はヘムライブラの輸出額が拡大するとともにロイヤルティ等収入の増加が予想されており、海外売上高の大幅な増加が見込まれている。

アレセンサは自社オリジンの低分子医薬品であるが、アクテムラ、ヘムライブラは自社オリジンの抗体医薬品である。

引用:政策研ニュース 「国内主要製薬企業の海外売上高上位製商品の特徴」

大塚HDの海外売上製品一覧

 

2019年度の海外売上上位製品は大塚製薬のエビリファイメンテナを含めたエビリファイ関連製品、精神疾患治療薬のレキサルティ、希少疾病の常染色体優性多発性嚢胞腎への追加効能を持つサムスカ、ジンアークと大鵬薬品の抗腫瘍薬であるロンサーフが続いている。

2020年度はジンアークの売上高の伸長が予想されている。

いずれの製品も自社オリジンの低分子医薬品であり、海外自社開発を経て欧米を中心に自社販売展開している。

引用:政策研ニュース 「国内主要製薬企業の海外売上高上位製商品の特徴」

大日本住友の海外売上製品一覧

 

2019年度の海外売上高上位製品は精神疾患治療薬のラツーダ、COPD 薬のブロバナ、抗生剤のメロペン、抗てんかん薬のアプティオムと続き、2020年度も同様の売上高が予想されている。

自社オリジンの自社開発品ラツーダを北米に拠点を持つ子会社Sunovionが販売し、メロペンは中国、他で自社販売している。

製品はいずれも低分子医薬品となっている。

引用:政策研ニュース 「国内主要製薬企業の海外売上高上位製商品の特徴」

塩野義製薬の海外売上製品一覧

 

2019年度の主な海外売上高はHIVフランチャイズ製品であるテビケイ、トリーメク、ジャルカ、ドウベイトの導出に関連するものと、代謝疾患薬のクレストールの導出関連収入である。

2020年度は、クレストールに関しては特許切れに伴い売上高は減少するが、HIVフランチャイズ製品については前年と同程度の売上高が予想されている。

引用:政策研ニュース 「国内主要製薬企業の海外売上高上位製商品の特徴」

第一三共の海外売上製品一覧

 

2019年度の海外売上高上位製品は高血圧薬のオルメテック、抗凝固薬のリクシアナ、抗貧血薬のインジェクタファー及びヴェノファーと続いている。

海外子会社のアメリカン・リージェントの製品以外は自社オリジンかつ自社開発品の低分子医薬品である。

2020年度は自社オリジンで AstraZeneca との共同開発している抗体・薬物複合体(ADC)医薬品であるエンハーツが海外売上高に大きく寄与すると予想されている。

引用:政策研ニュース 「国内主要製薬企業の海外売上高上位製商品の特徴」

協和キリンの海外売上製品一覧

 

2019年度の海外売上上位製品は骨疾患治療薬のクリースビータ、子会社の製品であるアブストラル、抗腫瘍薬のポテリジオ、導出品であるファセンラと続いている。

2020年度はファセンラの売上高の大幅な増加が予想されている。

ProStrakan社(現Kyowa Kirin)の開発製品であったアブストラルを除く製品は自社オリジンの抗体医薬品であり、海外の自社販売網を通して販売を行っている。

一方自社オリジンの抗体医薬品のファセンラについてはAstraZenecaへ導出しロイヤルティ収入を得る形となっている。

引用:政策研ニュース 「国内主要製薬企業の海外売上高上位製商品の特徴」

まとめ

今回は、製薬協ガイド2021の中から私が気になった「アンメットメディカルニーズ」「製薬会社の海外売上」について調べてみました。

新たな薬剤を通じた患者さんへの貢献と、国内製薬企業の海外展開の状況を把握する一助になれば嬉しいです。

ボリュームの多い内容になりましたが、最後までご覧いただき本当にありがとうございました。

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