少子高齢化で「年金問題」は毎年話題に出ていますが、GPIFという機関が管理・運用していることをご存知でしょうか。
「運用」と聞くと、年金が減る心配をする方がおられますが、長期投資を前提にできる限り低リスクで運用されています。
個人投資家の私たちも学ぶべき点が多いので、今回はGPIFの最新データを中心にご紹介します。
これから投資を開始する方にもイメージしていただきやすいように、長期・分散投資の意義も触れていますので、是非ご覧ください。
●GPIFは「資産」「地域」「時間」等を分散投資している
●ポートフォリオは「外国株式」「外国債券」「国内株式」「国内債券」を各25%ずつ
●株式の比率が徐々に増加している
●個人投資家もGPIFと類似のポートフォリオで運用可能
この記事はこんな方にオススメです。
GPIFとは?
正式名称は「年金積立金管理運用独立行政法人」です。
略称としてGPIF(Government Pension Investment Fund)と呼ばれています。
運用資産額が約191兆6,000億円(2021年第1四半期末時点)で、世界最大規模の年金運用機関として知られています。
公的年金制度における世代間扶養の考え方の中で、少子高齢化の進む現状では現役世代の負担が大きくなりすぎることが問題視されています。
そこで、一定の積立金を保有しつつ年金財政上必要な運用利回りを確保し、年金事業の安定運営を目指して管理・運用を行っているのがGPIFです。
GPIFはどんな運用方針なのか?
「資産」「地域」「時間」等を分散して投資することを基本としています。
長い投資期間を活かして、安定的・効率的に収益を獲得し、年金給付に必要な流動性を確保することに重点を置いています。
最新のポートフォリオ
2020年4月1日からの5カ年は「外国株式」「外国債券」「国内株式」「国内債券」の構成割合を25%ずつに変更しています。
実際に運用している構成割合は以下の通りです。
外国株と国内債券が少し高めの構成割合ですが、目標とする範囲内で運用されていますね。
引用:GPIF「2021年度の運用状況」
ポートフォリオの変遷
ちなみに、GPIFのポートフォリオ比率は少しずつ変化してきています。
特筆すべきは、「国内株」「外国株」の比率が徐々に増加している点です。
様々な議論をした上で、リスクのバランスを加味して現在の25%ずつという比率に辿り着いている点は参考にしてもよいと思います。
GPIFの運用成績
最新のデータでは、市場運用開始以降「収益率+3.70%(年率)」「収益額+100兆3,182億円(累積)」という状況です。
単年で見るとマイナスの年はありますが、長期運用の視点で見ると大きくプラスになっているという点は、個人投資家の私たちにも重要なポイントですね。
また、年率換算で3%台に収まっているということも、長期投資のデータ通りで再現性があります。
過去の大きなイベントは以下の通りです。
●2008年リーマンショック
●2012年第二次安倍内閣
●2020年コロナショック
引用:GPIF「2021年度の運用状況」
収益額を確認して興味深いな~と感じるのが、キャピタルゲインとインカムゲインの推移です。
累積収益額85兆3,011億円のうち、利子・配当収入が約41%でした。
堅実に積み上がっていくインカムゲインの魅力を感じさせてくれる推移だと、個人的には感じています。
引用:GPIF「2021年度の運用状況」
長期・分散投資のおさらい
GPIFのサイトでは、長期・分散投資の知識整理に重要な情報を分かりやすく解説してくれています。
そこで、ポイントを引用しながらご紹介します。
長期的な運用
株式や債券の運用によって得られる収益は、短期間ではプラスやマイナスに大きく振れる可能性があります。
しかし、長期的に見ると世界の経済活動などに資金を提供する対価として、元手を増やすことができています。
過去の事例として、2000年12月末に100万円を投資し、19年末まで運用すると、リーマンショックを経験した後でも全ての資産でプラスになっていることが示されています。
【2000年12月末に100万円を投資した場合の資産価額の推移】
卵を一つのかごに盛るな
投資の世界で非常に有名な言葉です。
性質や値動きの異なる複数の資産に分散して運用することの大切さを述べています。
私たち個人投資家も、この考え方は意識する必要があります。
資産の分散
最近は株高が続いているので「外国株を持っておけば良い」という雰囲気がありますが、年によってリターンの大きい資産は変動しています。
どれだけ精通した方でも常に翌年の最もリターンが得られる資産を当て続けることは困難です。
そこで、100点は狙えなくても平均以上を目指す方法として「資産の分散」があります。
リスク・リターン
投資でのリスクとして「利益のブレ幅の大きさ」があります。
基本的にブレ幅の大きさは「株式>債券」になります。
リスクの大きな資産は高いリターンが得られると言われており、リスクとリターンはトレードオフの関係にあります。
最近の事例でイメージしやすいのは「FX」「暗号通貨」だと思います。
GPIFと類似のポートフォリオは可能?
GPIFと似たポートフォリオで運用することは可能ですよ。
年金の運用と個人投資家の資産形成では背景が異なるので、個人にとって最適解のポートフォリオかどうかは賛否分かれると思います。
まず、GPIFのベンチマークしている指数はこちらです。
GPIFのベンチマーク指数
●国内株式:TOPIX(配当込み)
●外国株式:MSCI ACWI(除く日本、円ベース)
●国内債券:NOMURA-BPI「除くABS」
●FTSE世界国債インデックス(除く日本、円ベース)
直近のベンチマーク指数の推移は以下の通りです。(頑張れ日本株!)
引用:GPIF「2021年度の運用状況」
4資産均等型の投資信託
上記指数で運用し、手数料も比較的良心的な投資信託はこちらです。
●ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型):運用管理費用「年率0.154%」
利益の保証をするものではなく、銘柄の推奨を意図したものでもありません。(筆者は保有していません)投資は自己責任でお願い致します。
まとめ
今回はGPIFの運用方針や投資成績に関してまとめてみました。
債券に関しては、歴史的低金利政策の反動で金利上昇に伴うリスクを嫌って敬遠する方もいると思いますが、分散投資はとても大事な考え方です。
●GPIFは「資産」「地域」「時間」等を分散投資している
●ポートフォリオは「外国株式」「外国債券」「国内株式」「国内債券」を各25%ずつ
●株式の比率が徐々に増加している
●個人投資家もGPIFと類似のポートフォリオで運用可能
GPIFの運用方針を参考にしながら、ご自身のポートフォリオを考えてみるのもよいかもしれませんね。
家計見直しや資産運用をこれから考えていきたい方は、こちらの書籍がオススメですよ。
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