皆さんは、ハイパフォーマンスなマネージャーにはどんな能力や考え方が必要だと思いますか?
会社で役職が上がっていくと、自分1人の仕事から徐々に組織のパフォーマンスを上げることが求められるようになってきます。
そんな時に、こんな悩みが出てきませんか?
マネジメントで悩んでいる方は、HIGH OUTPUT MANAGEMENT(ハイアウトプットマネジメント)という書籍をご存知でしょうか。
マネジメントに対して非常に多くの発見・行動すべきヒントを得ることができる書籍で、きっとみなさんにも役立つ内容だと思いましたので要約記事を作成しました。
著者はインテルの元CEO、スタンフォード大学経営大学院で24年間指導したアンドリュー・S・グローブ氏です。
インテルCEO時代に本著を執筆し、経営者としての本音と経験が語り尽くされています。
マーク・ザッカーバーグ氏など有名な経営者にも影響を与えている世界的名著になりますので、ぜひ最後までご覧いただけると嬉しいです。
この書籍で語られていること
①マネジメントに対する成果志向性
②アウトプットはチームによって追求される
③メンバー1人1人から最高の業績遂行活動を導き出すことができた時に、チームが最も機能して業績を高めることになる。
【マネジメント能力】管理職のアウトプットとは?
「マネージャーのアウトプットは、その監督下または影響下にある組織のアウトプットである」
この書籍で著者が最も伝えたいマネジメントに対する重要な考え方です。
書籍中にこのフレーズは何度も登場するので、ここだけは覚えていただいた方が良いと思います。
マネージャーのアウトプット
自組織の成果+自分の影響力が及ぶ隣接諸組織の成果=マネージャーのアウトプット
このような疑問を抱いた方がおられるかもしれません。
この質問に対してこのように解説されています。
それはアウトプットではなく活動である。指示やアドバイスは、アウトプットを上げるためにマネージャーが成すべきことである。
マネージャーは指示するだけならアウトプットではなく、部下や仲間が創出するアウトプットで測定しなければならないということが熱く語られています。
マネージャーというものはアウトプットに影響を与えるために、一連のいろいろな活動に従事するものだという点を理解することが大切である。
私の質問に答えたミドルマネージャーが言ったように、マネージャーは意見を持ち、判断しなければならない、命令を与えなければならない、経営資源を割り当てなければならない、間違いを発見しなければならないし・・・・・・そのほかにもやるべきことはたくさんある。
すべてがアウトプットの達成に必要である。だが、アウトプットとそれら活動とは決して同一のものではない。
引用:HIGH OUTPUT MANAGEMENT
マネジメント業務をうまく運営するために必要な指標
効率的に高いアウトプットを生む組織運営をするためには、目標に対して焦点を絞った指標(インディケーター)を設定する必要があります。
そこで、良い指標を設定するヒントを2つご紹介します。
良い指標を設定するヒント
①アウトプットが測定できるものを設定する。(活動だけを見るものではない)
②物理的な計算ができるものを設定する。
特に①に関して営業で例えて考えてみましょう。
適切なインディケーターは「注文の獲得」「受注の獲得」を軸に測定することが重要で、「何回訪問したか?」などの活動だけで設定して語るべきではありません。
もし、「何回訪問したか?」という軸だけで設定してしまった場合、本来は最小限の訪問で受注を獲得した方が効率的であるにも関わらず、訪問すること自体が目的に置き換わってしまうからです。
【会議の役割】ミーティングはマネージャーが仕事を遂行する手段
マネージャーの仕事の大部分は、情報やノウハウなどの物事を処理する望ましい方法を影響下にあるグループに伝えることになります。
このような点から、「ミーティングはマネージャーが仕事を遂行する手段そのものにほかならない」と考えることが適切です。
「無駄な会議」と揶揄されたり、経営学の書籍でも否定されることの多いミーティングです。
しかし、ミーティングの当否と戦うのではなく「実施した時間を可能な限り能率的に使えているか?」を意識しましょう。
ミーティングの役割
ミーティングには主に2つの基本的な役割があり、事前準備として趣旨を明確にすることが重要です。
①プロセス中心⇒知識の共有・情報交換
②ミッション中心⇒意思決定をする
ミーティング中は、開催した目的を達成できるように討議を軌道に乗せ、メンバーが問題に対峙してその後の対応につながるような立ち振る舞いをすることがマネージャーには求められます。
そして、ミーティングの拘束時間以上の価値を参加者全員が持ち帰れるように調整することが大切です。
【マネジメント 意味】メンバーから最高の業績を引き出すことが重要!
マネージャーの最も重要なタスクは、部下から最高の業績を引き出すことです。
高いアウトプットの妨げとなるものに対し、マネージャーがその問題に取り組む方法として「訓練」と「動機づけ」の2つがあります。
特に「動機づけ」に関しては、マネージャーが1からやる気を起こさせることはできませんが、もともとやる気のある人が活躍できる環境をつくることは可能です。
その理由として、モチベーション自体は人間の内部から発するものであり、他人がコントロールできる範疇にないからです。
モチベーションに対する考え方として「マズローの理論」が有名ですね。
【マネジメントスキル】部下のタスク習熟度に応じてスタイルを使い分けよう
マネジメントスタイルは、メンバーのタスク習熟度に応じて最適な組み合わせを変える必要があります。
例えば、「具体的な指示を出す」「本人に任せて途中確認のみ行う」など、部下の仕事に対する習熟度に応じて対応を個々に使い分けるというイメージです。
こう思った方向けに、「効果的なマネジメントスタイルの特徴」をご紹介します。
【効果的マネジメント・スタイルの特徴】
部下のタスク習熟度【低】⇒明確な構造(仕組み)、タスク志向ー”何を””いつ””どうして”を示す
部下のタスク習熟度【中】⇒個人志向ー双方向通行的コミュニケーション、支持、お互いの判断力を重視する
部下のタスク習熟度【高】⇒マネージャーの関与を最小限にー目標を設定し、モニターする
(効果的なマネジメント・スタイルを決定する基本的変動要因は、部下のタスク習熟度である)
引用:HIGH OUTPUT MANAGEMENT
それぞれのマネジメントスタイル間で価値の高低を比較しないようにしましょう。
コミュニケーションスタイルで重要なのは、「何が良くて、何が悪いか」ではなく「何が最も効果的か?」という基準で考えることです。
【ピーターの法則】マネジメント能力のない上司が生まれる理由と対処方法
昇格させた社員が十分な価値を生み出せない場合、適切に降格させて本人が能力を発揮できる環境に戻すことが必要です。
また、降格に至る過程では本人が責任を負うのではなく、昇格させた上司の責任という考え方が大切です。
こう思われたかもしれません。
確かに降格は本人にとって辛いことですが、無能なリーダーが生まれる組織構造上の原因を指摘したことで有名な「ピーターの法則」をご存知でしょうか?
ピーターの法則とは?
特定の仕事で成果をあげた人が昇進した場合、昇進後も有能とは限らない。
成果⇒昇進を繰り返し、いつか能力の限界を迎えてそれ以上評価されない役職に留まることで、その役職では「無能な上司」になってしまう。
このように、能力の限界を迎えた上司が量産されることで組織は機能不全に陥りやすくなります。
【ピーターの法則を前提とした組織の状態】
①優秀な人が昇進を続けて能力の限界に達した時に、その立場では無能になる
②能力の限界を迎えて無能化した人が今の地位にとどまることで、組織が無能な人ばかりになる
③まだ能力の限界に達していない、成長している人によって組織は機能する
ピーターの法則は人事評価や人事機能が適切に働いていない組織で起こりやすいとされています。
だからこそ、能力の限界を迎えてしまったマネージャーは、適切に降格させて有能な状態に戻してあげることが大事ということになります。
マネジメント能力が高い人の特徴
本書で述べられている要素を参考に、高いレベルのアウトプットを実現しているマネージャー像をまとめてみました。
ハイパフォーマンスなマネージャー像
●自分が影響を与える組織のアウトプットを最優先に考える。
●メンバーから最高の業績を引き出すことに注力する。
●目標に対してメンバーが最適な活動をすることにつながる指標を設定する。
●ミーティングで必要な情報を伝え、拘束時間以上の価値を参加者全員が持ち帰れるようにする。
●メンバーのタスク習熟度に対して最も効果的なマネジメントスタイルを使い分ける。
まとめ
本日は、世界の著名な経営者も読んでいることで有名なHIGH OUTPUT MANAGEMENTの要点を解説しました。
●マネージャーのアウトプットは、その監督下または影響下にある組織のアウトプットである
●効率的に高いアウトプットを生む組織運営をするためには、目標に対して焦点を絞った指標を設定することが重要
●ミーティングの拘束時間以上の価値を参加者全員が持ち帰れるように調整することが大切
●マネージャーの最も重要なタスクは部下から最高の業績を引き出すこと
●マネージャーが問題に取り組む方法として「訓練」と「動機づけ」の2つが重要
●メンバーのタスク習熟度に対して最も効果的なマネジメントスタイルを使い分ける。
●ピーターの法則を理解し、組織のためには必要に応じて降格も辞さないが、その責任は任命した上司にある
現在マネジメントをする立場にある方や、これからマネジメントを学んでいきたい方にピッタリの書籍だと思います。
本日も最後までご覧いただきありがとうございました!
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