先日、会社の後輩から「保険のことで教えて欲しい」とこんな相談を受けました。
質問の内容から「これはダメなやつっぽい」と思った方は鋭いです。笑
実際にこの保険は貯蓄性のある保険で、正直後輩の生活状況には不要な内容でした。
そこは無事解決したので良しとして、私が興味深いなと思ったのは保険セールスの方の話法でした。
一見するとメリットに感じる話でも、冷静に考えると「そうでもない」と気付く内容なので、知っておくだけで役立つ知識として、4つご紹介します。
こんな方にオススメです。
この記事で分かること
●預金との比較で偏った情報を鵜呑みにしない
●元本割れの実質的な資金拘束期間のデメリットも把握する
●強制貯蓄機能は自己管理次第でクリアできる
●生命保険料控除はオマケ
●保険は、「発生頻度は少ないが、発生した時の損害が大きいリスクに対して備える」
●現金・投資・保険の3つを自分の精神的に落ち着くバランスで組み合わせて検討する
長期的な預金との比較
この説明に対して、2つの注意すべき事項があります。
①預金とのリスクが異なる
現金はいつ引き出しても元本割れにはなりませんが、貯蓄性のある保険は元本割れ期間が一定期間継続します。
ですので、そもそも条件やリスクが異なるため、比較するべきではありません。
②20年、30年後の返礼率で預金よりお得
将来の返戻金を保険料総額で割って算出した「返礼率」を用いて、20年後~30年後には110%以上になるので預金より有利という説明です。
確かに現金で保有するより若干のお得感を感じますが、「保険会社の破綻するリスク」「インフレで貨幣価値が低下するリスク」は残ります。
後者のインフレリスクに関しては、教育費のインフレが有名ですね。
この点で考えると、保険も現金もインフレ対応していませんのでジュニアNISAなど別の方法と組み合わせてリスクヘッジを検討する必要があります。
計画的な資金準備
個人年金保険や学資保険の説明で使われることのあるセリフです。
しかし、この手の商品の中には途中解約すると元本割れするものがあり、実質的には資金拘束期間が長くなります。
この資金拘束期間には特に注意が必要だと思います。
ご自分の人生設計はこれまで計画的かつ順調に予定通り進んできたでしょうか?そして、今後も予定通り進むでしょうか?
この問いを自身に投げかけて、もし「自信がないなぁ」と感じる方であれば、実質的な資金拘束期間のある保険は不向きかもしれません。
強制貯蓄機能
これは確かに一理あると思います。
しかし別の見方をすれば、貯蓄用口座を開設して給与から自動引き落とし設定を行い、キャッシュカードや通帳を自身の実家に保管するなど、すぐにお金を引き出せない環境にすれば似たような状況は不可能ではありません。
余談ですが、そもそもこの記事をご覧いただいている皆様は、そもそもリテラシーや家計に関する関心が高い方なので、ここは大きな問題にはならないと思いますよ。
生命保険料控除が受けられる
そもそも生命保険料控除という言葉が聞きなれないかもしれないので、ご紹介します。
生命保険料を支払った場合に適用される控除で、サラリーマンの方は年末調整で名前を見たことがあるかもしれません。
区分によって下図の通りとなっています。(2012年1月1日以降の契約にかかる控除額)
税制面での恩恵はありがたいですが、ここを目的に保険に加入するのは手段と目的が異なっていますのでご注意ください。
イメージとしては、ポイント還元の位置づけで考えてみてはいかがでしょうか?
ポイント還元があるからといって、本来不要なものを購入するのは本末転倒なのと同じです。
必要な保険に加入し、結果的に控除が使えたという流れが自然だと思います。
保険の必要性を考える大原則
保険は、「発生頻度は少ないが、発生した時の損害が大きいリスクに対して備える」という考え方が基本です。
もう少しくだけた表現にすると、「めったに起きないけれど、一度起こると大損害で個人では背負いきれないリスクを保険で補う」ということです。
保険の話になると「これは保険!」「これは貯蓄!」「これはNISA!」など、0か100かの極端な論調になる方がたまにおられます。
悪質な保険商品は回避しながら、現金・投資・保険の3つを自分の精神的に落ち着くバランスで組み合わせながら、リスクとリターンのバランスを考えると良いと私は思います。
特にインフレに関しては、国の2%物価上昇目標や子供の教育資金は起こる前提で備えておくとよいでしょう。
まとめ
今回は、貯蓄型保険の商品で遭遇するセールストークに関してご紹介しました。
「保険=悪」ではありませんので、自分にとって本当に必要な保険に加入しましょう。
どんなに良い医薬品でも、添付文書通りの用量未満であれば期待された効果が得られず、過量投与であれば副作用や効果が強く出過ぎるリスクがあるのと似ていると思います。
●預金との比較で偏った情報を鵜呑みにしない
●元本割れの実質的な資金拘束期間のデメリットも把握する
●強制貯蓄機能は自己管理次第でクリアできる
●生命保険料控除はオマケ
●保険は、「発生頻度は少ないが、発生した時の損害が大きいリスクに対して備える」
●現金・投資・保険の3つを自分の精神的に落ち着くバランスで組み合わせて検討する
保険を検討する際に参考になれば嬉しいです!
本日も最後までご覧いただきありがとうございました。
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