「投資」という言葉を耳にすると、皆さんは最初にどんなことを思い浮かべますか?
他にも企業の設備投資など、実は投資は私たちの身の回りで頻繁に行われています。
これだけ身近な投資ですが、じっくりと意味を考える機会は少ないと思いませんか?
そこでこの記事では、広義での「投資」に関する考え方を解説していきたいと思います。
この内容は、書籍「投資家みたいに生きろ(著者:藤野英人さん)」を参考に作成しています。
この記事で分かること
●投資とは、エネルギーを投入して未来からお返しをいただく行為です。
●投資のエネルギーを分解すると、5つの要素の掛け算になります。
●主体性を持ち、時間とお金の使い方に自覚的になり、人生の決断をする力を持ちつつ、運の存在とうまく付き合うことが大切です。
●未来からのお返しとして、特に「目に見えない資産」「利他心」が大事です。
投資って何だ??
投資とは、エネルギーを投入して未来からお返しをいただく行為です。
こう思った方もおられるのではないでしょうか。
「投資=お金でお金を生む」と考えがちですが、以下の場合はイメージと一致しますか?
●企業の設備投資
●自分への自己投資
●子供への教育投資
●新入社員への教育投資
●会社への株式投資
これらが広義での投資と考えた場合、お金だけではなく、時間・情熱・愛情などの「エネルギー」を過去に投入したことによって成り立っていると言えるのではないでしょうか。
どれも確実な成果が保証されている訳ではありませんが、未来に期待して損するリスクをとってくれたことで、私たちの身の回りにあるモノやサービスが誕生しています。
投資は未来を切り開くために必要なのであって、「お金を得る」ことは複数ある投資のリターンの1つにすぎないということを覚えておきましょう。
覚えておきたい「投資」の考え方
未来の社会は、私たちが今、エネルギーを投入していかないと切り開いていくことができない。
未来を切り開く「エネルギー」の中身
投資のエネルギーを分解して考えると、5つの要素の掛け算であることが見えてきます。
つまり、主体性を持ち、時間とお金の使い方に自覚的になり、人生の決断をする力を持ちつつ、運の存在とうまく付き合うことです。
こう思った方も大丈夫です!
1つずつ要素を解説していきますね。
エネルギーの要素①:主体性(やりたいこと)
自分がいろいろな言い訳でやっていなかった人生の目標や目的は何か?を考えてみましょう。
「自分は何をすべきか」「何をやりたいのか」を考え、見つめ直すには主体性が必要になります。
このように戸惑った方は、こんな思考トレーニングを行ってみてはいかがでしょうか?
主体性を見つけ出すトレーニング
「もし、10億円をもらえることになったら、何をしますか?できるだけ具体的に、どれだけけのお金がかかるか計算しながら書き出してみましょう。」
※「貯金する」はNGです。
これは、著者の藤野さんがよく使われているトレーニングです。
・・。
・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・。
いいかがでしたか?
などなど、色んな妄想が膨らみますね。
10億円という、生活の為に働くことから解放される金額を手にした時に出てくる「本音」が、自分はどうしたいのか?という問いかけになります。
本音が出るタイミング
人は、お金を使う時に「本音」が出る。
自分が買いたいものは、自分の「本音」に基づく。
私たちは普段、「お金を稼ぎたい」「お金を増やしたい」と考えることもありますが、10億円を手にすると、やりたいことを実行するための「思い」や、それに集まってくる「仲間」を思い浮かべます。
このように「誰と何をしようかな?」と考える思いが、主体性であり、投資家の持つ思考の第一歩です。
エネルギーの要素②:時間(平等に与えられたもの)
時間は誰にとっても「平等で有限」で、時間は必ずしも効率性が重要ではないと投資家は考えます。
世の中は「効率」「時短」を重要視しますが、目先で損をしているように思われても、回り回ってリターンが得られる可能性が信じられる場合は、堂々と「時間」を割くべきです。
ただし、明らかな「ムダ」は削る必要がありますのでご注意ください。
やり方を変える、道具を変える、しくみ化する等で、もっとうまくいく方法があるなら変えるべきです。
書籍 7つの習慣では、こんなエピソードが紹介されていますよ。
木を倒そうとして、ノコギリを引いているキコリがいた。
何時間も作業をしているので、「ノコギリの刃がボロボロですよ。少し休んで刃を研いだほうが、仕事が早く片付くのでは?」と声をかけた。
するとキコリは、「刃を研いでいる暇なんてない。切るだけで精一杯だ」と言い返した
引用:7つの習慣
このように、明らかに無思考なせいで非効率なことをしているのであれば、効率化をするための時間の使い方も取り入れるべきなので、誤解しないようにしましょう。
時間の「質」を考え、時間の価値を高めるために「刃を研ぐ」ことを意識することが大切です。
例としてこんなケースが該当します。
刃を研ぐ行為
●人と会って、そこでした入手できない情報を得る
●書籍を読んで、先人の知恵をインプットすることに時間をかける
明らかなムダを削る一方で、少しでも成長を期待できるものには長期的に時間をかける思考を養っていきたいですね。
このように感じた方のために、「時間=投資リソース」の考え方として、具体的を2つご紹介します。
株式投資
株式投資で重要なことは、「①時間が経つほど価値が上昇するものに投資する」「②複利×時間の力」「③準備の重要性」の3つです。
①時間が経つほど価値が上昇するものに投資する
これは、投資信託・ETF・個別株など、どれでも共通です。
金融庁の資料では、長期分散投資であっても短期では元本割れリスクがありますが、長期になるほどリターンの幅は収斂(しゅうれん)していくことが示されています。
つまり、「時間を味方につける」という考え方が株式投資の根底には流れています。
このような背景から、長期的に右肩上がりを続けるS&P500という米国株の指数に連動する投資信託やETFを少なくとも15年以上保有しようと考える人が多いのです。
ちなみに個別株も同様で、株価は収益に収斂していくため長期的に着々と利益を積み上げていく企業への投資が重要になります。
②複利×時間の力
複利で「時間」を味方につけると、長期的にはとてつもなく大きな恩恵を得ることができます。
複利とは、得られた利息も元本に組み入れて利息がつく仕組みです。
利息が利息を生んで雪だるま式に増加していくので、「複利は人類最大の発明」という言葉もありますね。
複利
(元本+利息)×金利=複利
例)100万円の元本で年5%の金利を複利運用=1年目は5万円増加し、その後は年々利息が増加
例として、単利と複利の差を示した図でご紹介します。
特にご注目いただきたいのは、時間が経過する度に青の複利の傾きが大きくなっている点です。
時間を味方につけるのと、つけないのでは、大きな違いがあることをイメージしていただると思います。
③準備の重要性
投資先の選定や投資の学習にも多くの「時間」を投じます。
この投資先選定や学習を効率優先で「○○さんが良いと言ってたから」と安易に考えて投資すると、本質が見えずに結果的には失敗する可能性があります。
1万時間の法則
人間は、1万時間をかければどんなことでも「かなりのレベル」に達するという法則があります。
この法則を前提にすると、スキル習得に「時間」は確保すべき重要なリソースと言えるでしょう。
皆さんに質問させてください。「1万時間をかけて手にしたスキルとしてどんなものがありますか?」
このように、それぞれ思い浮かぶスキルがあると思います。
もし、すぐに思い浮かぶものがなくても安心してください!「仕事」がありますよ。
1日労働時間8時間×年間労働日数230日=年間1,840時間となり、6年以上現在の職務を経験されている方は「かなりのレベル」に達したと考えられます。
新入社員として仕事を覚え、地に足をつけて自分の裁量で冷静に判断できるようになった年代と考えれば、納得感があるのではないでしょうか。
では、皆さんに2つ目の質問です。「今の仕事に対して未来への不安はありますか?」
もし「不安」に感じているなら、1つの仕事(スキル)に頼らずにリスクヘッジとして全く別のスキルを身につけることを考える方が良いと思います。
スキルは掛け合わせによって希少性が生まれ、「○○さんしかできない」という存在になるほど市場価値は高まるからです。
このように思った方は、長期的に時間を味方につけて、コツコツ今から自己投資を開始しましょう。
365日、1日5時間の時間を費やしても1万時間達成には約6年の期間が必要になります。
あらためて計算すると、このように感じますよね。苦笑
だからこそ、「時間=投資リソース」と考えてダラダラと浪費しない、投資家思考が必要になります。
エネルギーの要素③:お金(過去・未来の缶詰)
お金は、経済学上の定義で言うと「交換手段」「価値の保存」「価値の尺度」の3つの機能があるとされます。
しかしここでは、「過去の缶詰」と「未来の缶詰」として考えてみたいと思います。
過去の缶詰
その人が過去におこなってきた努力や働いた報酬・時間・遺産など、過去の結果が詰まっている。
未来の缶詰
自分のために使うのではなく、使い方次第で他の人を幸せにすることもできる。
お金に対する思いを過去と未来のどちらに比重を置くか次第で捉え方は変化します。
未来に向けた「可能性」「選択肢」「自由」のためにお金を必要とし、使うと考えるとこれまでのお金に対するイメージとは違った側面が見えてくるのではないでしょうか。
ここで皆さんに質問です。
Q「昨日、1日で使ったお金の金額と内容を答えられますか?」
もし、覚えていない方は消費活動に無自覚な状態と言えると思います。
「お金を使う」という行為を未来に向けるには、日頃から意識的にお金を使う必要があります。
「どんな目的で買ったか?」「買った時はどんな気持ちだったか?」という未来への期待や希望を意識してみましょう。
株式投資で例えるなら、「なんとなく投資する」という行為が存在しないのと同じです。(もししている方は要注意ですよ)
こんなご意見をいただきそうなので、オススメの方法をご紹介します。
「消費=応援」と考えて、お金を使うようにしてみましょう。
産地・お店・ブランドなど、何でも良いので応援と考えるだけでお金を使う行為に「力」を持ち始めますよ。
エネルギーの要素④:決断(成功体験の積み重ね)
決断とは、無限の可能性の中から1つの選択肢に絞り、残りの可能性を捨てることです。
こんな悩みをお持ちの方もおられるかもしれません。
しかし、意外と気付かないのが「決断しない」という決断をして責任やリスクを回避していることです。
もし決断力がないとご自分で悩まれて上記に類似の体験があるなら、ちゃんと決断を下すことはできているので大丈夫ですよ。
チャレンジをする時に、「何を捨てるのか」「何を手放すことになるのか」をセットで考えるように心がけてみるのがオススメですよ。
この点で悩んでいるなら、最後は「好き嫌い」で判断して「好き」な方を選ぶと良いと思います。
エネルギーの要素⑤:運(謙虚な気持ち)
良かった時こそ「運が良かった」と謙虚に考えることが大切です。
うまくいっている時は、すべてが自分の実力なのではなく、さまざまな要素が絡み合っていることがほとんどだからです。
また、運の要素をあらかじめ考えていると、
このような失望感を抱かずに、失敗してもリカバリーが利くのでオススメです。
未来からのお返し
ここまで5つのエネルギーの要素をご紹介してきましたが、最後に「未来からのお返し」には何があるかをご紹介します。
まずは、下図をご覧ください。
このように、未来からのお返しにには3つの要素がありますので解説します。
目に見える資産(お金・プロダクト)
人・企業に投資を行うことで「お金」や「プロダクト」として返ってくることです。
1番イメージしやすいのは、自分の労働力の対価として受け取る「給与」ですね。
目に見えるものばかかりを追い求めると、人生は空虚なものになります。
豊かな人生を送るためには、お金を得る・家を買う・車を買う・食事をするといった目に見える資産以外の点にも着目する必要があります。
目に見えない資産(スキル・健康・人間関係)
自己投資によって得られたスキル、日々の運動や食生活によって保たれる健康、心から信頼できる友人や同僚との人間関係のことです。
人生100年時代に突入し、1社で働き続ける時代ではなくなりつつある環境下では、個人が戦略的に生きていかなければ生き残れない時代になります。
そのような意味でも、「目に見えない資産」にフォーカスして投資することが重要だと思います。
このように感じた方は、他人とは違い経歴・自分にしかできない能力や特技を思い浮かべてみるといいかもしれません。
他には、交友関係(人脈の広さ)や、みなさん自身の「評判」も該当します。
現金は人にとられる可能性はありますが、知識は人に奪われることはありませんので、そのような資産を自分の中に溜め込んでいきましょう。
明るい未来(利他の気持ち)
自分さえよければいいという思考を排除することです。
自分と社会との一体感をイメージし、世のため・人のための観点を持てるようになると良いですね。
日本人で利他の心を説く著名な方は、稲盛和夫さんや本多静六さんが有名です。
海外では、ビル・ゲイツさんをはじめ大富豪の方が多額の寄附をするのはこの考え方が根底にあるのだと思います。
こう思うかもしれません。
しかし別の考え方をすると、利他の心を持っていたからこそ巨万の富を得ることができたとも言えます。
保有資産の大小問わず、自分にできる範囲で利他心を持ち続ける人でありたいなと私は思います。
藤野さんの運用する投資信託に興味のある方
藤野さんがファンドマネージャーを務める「ひふみ投信」に興味のある方は下記リンクからHPをチェックしてみましょう。
日本の中でも数少ない、投資価値のあるアクティブファンドです。
口座を解説したり、保有することで藤野さんのセミナー等にも参加することができ、有益な投資情報を学べますよ。
まとめ
今回は、投資の「要素」と「未来からのお返し」を解説しました。
この投資の考え方を持ちながら、「孤独を埋めるだけの浪費を減らす」ように心がけていけると良いです。
●投資とは、エネルギーを投入して未来からお返しをいただく行為です。
●投資のエネルギーを分解すると、5つの要素の掛け算になります。
●主体性を持ち、時間とお金の使い方に自覚的になり、人生の決断をする力を持ちつつ、運の存在とうまく付き合うことが大切です。
●未来からのお返しとして、特に「目に見えない資産」「利他心」が大事です。
投資というと、汚いイメージを持っていた方は、この記事を通じて少しでも違う目線で最高するきっかけになれば嬉しいです。
未来に向けて自分のペースで前を向いていきましょう!
本日も最後までご覧いただきありがとうございました!
書籍「投資家みたいに生きろ」の中から、リスクを取るための考え方を深堀りした記事です。
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株式投資における、藤野さんの考え方をまとめた記事です。投資家必見の内容です!
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