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【医療制度】難病医療費助成制度のポイントを解説

皆さんは「難病」と言われてどのような疾患を思い浮かべますか?

現在、国の指定難病には361疾患が指定されています。

この指定難病を罹患している方は「難病医療費助成制度」を利用することで医療費自己負担を軽減することが可能です。

ただし、疾患によっては重症度によって「対象」と「対象外」に分かれる場合もあり、制度を正しく理解することが大切です。

また、MRは自社医薬品が指定難病に対する治療薬として適応を有する場合、制度に関する問い合わせを受けることが予想されるので、準備しておきましょう。

この記事はこんな方にオススメの記事です。

Aさん
Aさん
難病医療費助成制度のポイントを知りたい!

それでは、制度のポイントを1つずつ解説していきます!

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難病と指定難病の定義

そもそも難病は国が「難病法」という法律で定めています。

難病法では「難病」と「指定難病」の2つに大別されており、定義は以下の通りです。

難病

患者数等による限定は行わず、他の施策体系が樹立されていない疾病を幅広く対象とし、調査研究・患者支援を推進。

○発病の機構が明らかでない
○治療方法が確立していない
○希少な疾病である
○長期の療養を必要とする

引用:厚生労働省「難病対策の概要」より

指定難病

難病のうち、患者の置かれている状況からみて良質かつ適切な医療の確保を図る必要性が高いもので、以下の要件の全てを満たすものを、厚生科学審議会の意見を聴いて厚生労働大臣が指定する

○患者数が本邦において一定の人数(人口の0.1%程度)に達しないこと
○客観的な診断基準(又はそれに準ずるもの)が確立していること

引用:厚生労働省「難病対策の概要」より

イメージとしては「難病:広範な対象」「指定難病:難病の中から特定の疾患」となっており、社会的要望に応じて随時指定難病は追加されている状況です。(H26年「56疾患」→R2年「361疾患」)

疾患内容に関しては難病情報センターのホームページよりご確認ください。

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難病医療費助成制度とは?

指定難病を罹患している方の医療費負担軽減を目的とした制度です。

指定難病に該当していても一部疾患では軽度の症状であれば助成対象外となる場合もあるため、ご自身の疾患の扱いを必ず確認しましょう。

制度の対象となる方は、申請を行うことで1ヶ月あたりの治療にかかる医療費の自己負担上限額が設定され、上限を超える額は窓口負担がなくなります。(助成されます)

医療費の自己負担額

現行制度での医療費自己負担は年齢や収入に応じて1割~3割の負担に区分分けされています。

医療費の自己負担

【3割負担】

・6歳(義務教育就学後)~70歳未満

・70歳以上の現役並み所得者

※現役並み所得:標準報酬月額28万円以上

【2割負担】

・0歳~6歳(義務教育就学前)

・70歳~75歳未満かつ現役並み所得がない者

※2014年4月1日までに70歳になった人は特例措置で75歳になるまでは1割負担が継続される

【1割】

・75歳以上かつ現役並み所得がない者

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医療費助成制度における自己負担上限額(月)

本制度での自己負担上限額は下図の通りです。

ポイントとしては以下の4点です。

●所得に応じた区分がある

●2割の患者負担は発生する(後期高齢者など1割負担の方を除く)

●外来・入院の区別はない

●1ヶ月の合算(複数の指定医療機関でも合算可)

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出典:難病情報センター「指定難病患者への医療費助成制度のご案内」より

自己負担額の管理方法

自己負担の管理は、医療受給者証とともに交付される「自己負担上限額管理票」で管理されます。

理由は、自己負担上限月額が受診した複数の指定医療機関の定率負担割合の合算額に適用されるからです。

「自己負担上限額管理票」の提出を忘れて記載されていない場合、助成対象とならないため、必ず提出する必要があります。

1ヶ月での自己負担上限額管理票の管理

①各指定医療機関で、受診の都度、自己負担上限月額の範囲内で医療費の2割(又は1割)を徴収します。
②患者さんは、指定医療機関を受診の都度、徴収額を管理票に記入してもらいます。
③自己負担累積額が自己負担上限月額に達した場合は、その時の指定医療機関が確認し、その月に負担上限月額を超える費用徴収は行われない。

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出典:難病情報センター「指定難病患者への医療費助成制度のご案内」より

特例措置①:「軽症高額」に該当する場合

指定難病に罹患していても、症状の程度が疾病ごとの重症度分類等に該当しない軽症者は助成制度を受けることができません。

しかし、そのような軽症者のため助成対象外と判定される方でも、高額な医療を継続することが必要な場合は、医療費助成の対象となる制度です。

「高額な医療を継続することが必要」とは、医療費総額が33,330円(医療費自己負担割合が3割の場合、自己負担10,000円/月)を超える月が、軽症高額の申請月から12ヵ月前までの期間に3回以上ある場合です。

尚、診断から12ヵ月以上経過していない場合は、発症を認定された月から申請月までの総医療費が33,330円を超える月が3回以上ある場合となります。
※「33,330円」には入院時食事(生活)療養の標準負担額は含みません。

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引用:難病情報センター「指定難病患者への医療費助成制度のご案内」より

特例措置②:「高額かつ長期」の認定

高額な医療が長期的に継続する方は、軽減された負担上限額が設定されています。(一般所得・上位所得)

対象となるのは、指定難病についての特定医療の月ごとの医療費総額が5万円を超える月が、申請月から12ヵ月前までの期間に6回/年以上ある場合です。(2割負担の場合、医療費の自己負担が1万円を超える月が年間6回以上ある場合が該当します)

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引用:難病情報センター「指定難病患者への医療費助成制度のご案内」より

申請~医療費受給者証交付までの流れ

申請は対象患者さんが必要書類を用意して、都道府県・指定都市の窓口に申請します。

申請後、都道府県・指定都市による審査が行われ、認定された場合は医療受給者証を交付されます。(申請から医療受給者証が交付まで約3か月程度)

尚、有効期限は1年間で、そこからは期限内に更新手続きが必要です。

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引用:難病情報センター「指定難病患者への医療費助成制度のご案内」より

申請に必要な書類

申請時に準備する書類は下図をご覧ください。

特に診断書は、助成対象となる重症度に合致するかどうか判断される資料になります。

非常に重要な点として、都道府県・指定都市から指定を受けた指定医に限り、特定医療費支給認定の申請に必要な診断書を作成することができます。

つまり、どの医師が書いた診断書でも受理される訳ではありません。

指定医に関しては以下の2つに大別されます。

指定医の定義

【難病指定医】

新規申請及び更新申請に必要な診断書の作成が可能

【協力難病指定医】

更新申請に必要な書類のみ作成が可能

【指定医の検索方法】

難病情報センターの「難病指定医一覧」で検索可能です。

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助成制度を利用できる医療機関

指定難病の医療費の給付を受けることができるのは、原則として指定医療機関で行われた医療に限られます。

申請の際に利用を希望する医療機関名を記載することができ、指定した医療機関以外で発生した医療費は一部例外を除き助成対象となりませんので注意しましょう。(病院・クリニック・薬局・訪問看護ステーションなど)

指定医療機関とは、都道府県・指定都市から指定を受けた病院・診療所、薬局、訪問看護ステーションです。

検索方法は、難病情報センターホームページの「難病指定医療機関」で確認可能です。

引用:難病情報センター「指定難病患者への医療費助成制度のご案内」より

まとめ


今回は難病医療費助成制度に関してポイントを解説しました。

指定難病は都度対象疾患が追加されますので、1度ダメでも定期的に制度内容を確認しましょう。

また、MRの方は自社製品の効能効果が指定難病に該当していると、患者さんの負担額も変わってきますので、医療関係者に情報提供するために必ず把握しておきたい知識です。

この記事が少しでも皆さんの役に立てると嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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