全国転勤の企業に勤務している方は、転勤のタイミングで「単身赴任」の決断に頭を悩ますことが多いのではないでしょうか。
先にお伝えすると、単身赴任の判断には「これが正しい」という唯一の最適解はありません。
大切なことは、“キャリアプラン””パートナーの意向””子供の年齢や性格”など、個々の事情を家族と話し合い、メリットとデメリットを冷静に見極めて判断することです。
私は製薬会社のMRとして単身赴任を3年経験しています。
家族の事情で悩みに悩んで決断し、経験したからことお伝えできるリアルな経験談を正直にお伝えします。
筆者は結果的にデメリットの方が多いと感じていますが、できるだけメリットも含めてバランスよく解説します。
みなさんの決断の参考になれば嬉しいです。
この記事の要約
●単身赴任は、仕事・子供・持ち家・病気のタイミングで検討することが多い。
●単身赴任のデメリットは「家族との時間が激減する」「パートナーの負担が増加する」「生活支出と税金が増える」の3つ。
●単身赴任のメリットは「家族と過ごす時間が濃くなる」「自己投資や副業の時間が確保できる」の2つ。
●決断を下すことよりも、「家族にとって、良い決断だった」と後から振り返れるような行動をとることが大切。
単身赴任を検討する代表的な理由5選
単身赴任を検討するタイミングとして代表的な理由は次の5つです。
代表的な単身赴任の検討理由
①転勤の辞令⇒最も多い検討タイミング。
②子供の就学⇒小学生以降は心情的に転校させにくくなる。
③持ち家の購入⇒転勤の辞令が出た時点で単身となる確率が高い。
④パートナーの仕事の都合⇒共働き世帯で最近増えている。
⑤家族の病気・介護⇒親の病気や介護、妻や子の病気。
子供の年齢が大きくなるほど転校はしずらくなるので、小学校高学年以降は転校を控える人が多いです。
また、共働き世帯が増加しているので、パートナーの転勤時期に合わせて2人同時に同じ勤務地へ異動する調整は難しい現実があります。
ちなみに、上記5つの単身赴任理由は、単独だけではなく、複数該当することも多いです。
例えば私の場合、①+②の理由で単身赴任を決断しました。
同僚は「①+②+③」や「①+④」の理由で単身を決断している事例もあります。
【単身赴任はデメリットしかない?】実例3選と対処法
これから単身赴任を検討している方へ、筆者が5年経験した上で感じている「デメリット」と「対処法」をご紹介します。
- 単身赴任のデメリット
- ①家族との時間が激減する
②パートナーの負担が増加する
③生活支出と税金が増える
対処法は、デメリットを完全に解決できることではありませんが、マイナスの部分を軽減する効果がある方法を記載しました。
デメリット①家族との時間が減少する
普段の何気ない会話の機会が減少し、夫婦関係・親子関係の希薄化が生じやすくなります。
特に、幼稚園や小学生の子供は親とのコミュニケーションで成長したり学ぶ機会を持つことも多いので、人格形成や教育上の懸念があります。
日曜の夜など、単身先へ戻らないといけない日に、子供から「寂しい」と号泣されたら何とも言えない罪悪感や胸が張り裂けそうな心境になります。
「何のために仕事をしているんだろう?」
「今の生活は間違っているのではないか?」
こんな自問自答をする瞬間が必ず訪れるのは、自分にとっても家族にとっても辛い瞬間です。
対処法
●単身先から朝と夜にテレビ電話でコミュニケーションをとる
●休日に自宅へ戻った日は、公園・外出などアクティブに家族と過ごす
1週間の仕事を終えて自宅へ移動することで疲労感はありますが、気持ちを切り替えて可能な限り家族とアクティブに楽しい時間を過ごせるように努めましょう。
単身先から久しぶりに自宅へ帰ってきて「疲れた~」と、ダラダラ過ごすのは厳禁です。
気持ちはわかりますが、家族からすると「久々に帰ってきて、どういうつもり?」と反感を買ってしまいます。
私の場合は、妻や子供から出かけたい場所や気になるイベントを平日のテレビ電話で聞きながら、週末の帰省した時の予定を事前に設定しておくことが多いです。
デメリット②パートナーの負担が増加する
単身赴任になると、家事・育児が1人(ワンオペ育児)になることでパートナーに多大な負担がかかります。
さらに、病気やケガなど家族に突発的なアクシデントが発生した時に、すぐ対応できないのは不安要素です。
単身赴任は数年単位で継続するので、1人にかかる高負荷が続くと多大なストレスでパートナーとの関係性が悪化しやすくなります。
対処法
●休日は可能な限り自宅へ帰り、パートナーの休息時間を確保する
●家電を購入して、家事の負担をできるだけ軽減する
パートナーの負担軽減策は最重要課題です。
単身先から帰宅した時は、家事育児を率先してやりながら、パートナーが何もせずに済む時間を確保することが必要です。
そうですよね。
だからこそ、家電を揃えることは重要です。
お互いの負担を軽減するためにも、家事の作業を効率化する家電をフル活用しましょう。
実際に私が単身赴任になってから愛用している家電は以下4つです。
- 洗濯乾燥機:洗濯物を干す&取り込む時間を短縮。
- 食洗器:食器を洗う時間の短縮。
- ロボット掃除機の購入:掃除の時間を短縮。
- 調理家電/器具の購入:食事を作る時間の短縮。
家電の出費や電気代が気になるかもしれませんが、自分の時間を増やしたりストレスを軽減できるので利用する価値が十分にあります。
デメリット③生活支出と税金が増える
単身赴任をすることで、家計全体としては生活支出が増加します。
生活費に関しては、多くの企業で「単身赴任手当」が支給されるので多少は負担額が軽減されます。
しかし、手当額のみで生活支出増加分を全て賄うことは困難ですので、実質は手出しが必要です。
さらに「単身赴任手当」は給与として支給されるので”見かけ上の収入UP“になり、課税所得が高くなり納税額が増える可能性もあります。(もともとの年収と手当額次第)
納税額以外にも、「児童手当」は所得に応じて支給額の上限が設定されていますので、要注意です。
では、実際の単身赴任の生活費を細かくみていきましょう。
生活費を項目別に分解すると、以下が挙げられます。
- 食費
- 住居費
- 光熱費
- 水道費
- 交通
- 通信費
アート引越センターが行った調査によると、単身赴任者の生活費は平均金額は16万7,000円という結果が出ています。
中央値は12~14万円未満となっていますので、少なくとも10万円は必要と考えておくべきです。
生活費を効果的に安くしたいなら「火災保険料」「自動車保険料」「電気代」「通信費」といった固定費は節約がしやすい項目です。
また、単身先の住居は賃貸料の安い物件を探すことも重要です。
対処法
●固定費を見直して安くする(火災保険・自動車保険・電気代・通信費)
●単身先の住居は安価な家賃を選ぶ
私は、単身先の賃貸マンションを「ネット回線無料」「家賃が安い」の2つの条件で選びました。
また、火災保険・自動車保険・電力会社は自分で契約先を選んでコスト削減を行っています。
- 火災保険→楽天損保(単身先賃貸マンション)
- 自動車保険→保険スクエアbang!でネット保険会社のプランを比較見積もり
- 電力会社→エネチェンジで電力会社のプランを比較見積もり
筆者の具体的な家計改善項目を知りたい方はこちらをご覧下さい。
【単身赴任のメリット】よかった実例2選
単身赴任を5年経験して感じているメリットは次の2つです。
- 単身赴任のメリット
- ①家族と過ごす時間が濃くなる
②自己投資や副業の時間が確保できる
デメリットしかないと思いがちですが、何事にもデメリットがあればメリットもありますよ。
メリット①家族と過ごす時間が濃くなる
単身赴任によって家族との時間が減少することで、一緒に過ごせる時は有意義な時間にしようという感覚が強くなります。
離れて生活してみることで、ありがたさを再認識することができます。
パートナーや子供への”感謝”と”愛情”は深まりました。
不思議なもので、「当たり前ではなくなった時に、ありがたさを認識する」ということが家族間の関係性でも発生します。
そういう意味では、離れて過ごす寂しさや負担感というデメリットはある一方で、家族の大切さを強く認識できることはメリットと考えてもよいでしょう。
メリット②自己投資や副業の時間が確保できる
1人で過ごす余暇の時間を「自己投資」や「副業」に使いやすくなります。
平日の朝や夜の時間帯など、1日平均4~5時間はフリーの時間が発生します。
私は「どうせ単身赴任をするなら徹底的に有意義な機会に変えてみよう」と考え、自己投資・副業ブログ・家計設計の見直しに時間を費やしました。
5時~9時、19時~22時の1日平均7時間を作業時間に充てています。
1日4~5時間あれば、自己投資で学んだり、副業に取り組める時間として有効活用できますよ。
筆者は30代ですが、じっくりと1人で将来について考えたり、自己投資や副業を経験することで、結果的には人生にも良いサイクルが循環し始めました。
私が行った自己投資の中で特によかったのは英語の「スタディサプリ」です。
超有名な英語講師の関 正生先生が解説する講義動画がとにかくわかりやすいです!
私は今まで500点を超えたことが1度もありませんでしたが、スタディサプリで1年勉強して600点台になりました。
実践的な英語の表現をエピソードも交えて紹介されるので記憶に残りやすく、TOEICで満点を何度もとっている関先生ならではのTOEIC対策講座も役立ちますよ。
副業は、以下記事で”会社員におすすめの副業”をテーマに解説しています。
決断が「正解だった」と思えるように行動することが大切
単身赴任は個々の事情でどうしても避けられないケースがあります。
「単身赴任」と「家族帯同転居」の決断によってその後の人生が大きく変わると思いがちですが、実は“決断後にどんな行動をしたか?”が重要です。
つまり、「単身赴任」と「家族帯同転居」の決断という2択は、良い未来と悪い未来の入口に過ぎないということです。
- 決断した後の4つの未来
- ①単身赴任を選択してよかったと思える未来
②単身赴任を選択しなければよかったと後悔する未来
③家族帯同転居を選択してよかったと思える未来
④家族帯同転居を選択しなければよかったと後悔する未来
どの決断を下したとしても、「家族にとって、よい決断だった」と後から振り返れるような行動を起こすことが大切なのです。
「あの時は決断に迷ったけど、〇〇ができたので結果的には家族にとって良かった」と言えるように、努力しましょう。
この考え方は、単身赴任中の私も日々意識しています。
最初は単身赴任をネガティブに考えていましたが、機会として捉え直し、「家族と共通の趣味でつながる」「副業で月10万稼ぐ」等を実現してきました。
有名な言葉だと「ケガの功名」のイメージです。
決断した時点では「良い未来」と「悪い未来」のどちらも可能性があり、自分の行動次第でどの決断を下したとしても良い未来を切り開くことができると前向きに考えてみましょう。
まとめ
今回は、筆者自身の単身赴任経験からデメリットとメリットをご紹介しました。
この記事のまとめ
●単身赴任は、仕事・子供・持ち家・病気のタイミングで検討することが多い。
●単身赴任のデメリットは「家族との時間が激減する」「パートナーの負担が増加する」「生活支出と税金が増える」の3つ。
●単身赴任のメリットは「家族と過ごす時間が濃くなる」「自己投資や副業の時間が確保できる」の2つ。
●決断を下すことよりも、「家族にとって、良い決断だった」と後から振り返れるような行動をとることが大切。
時間の使い方と行動次第では、どちらを決断したとしても有意義な人生の期間として過ごすことができます。
みなさんの決断に少しでも参考になれば嬉しいです。
最後までご覧いただきありがとうございました!
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