投資の王道と言えば「株式投資」と「不動産投資」です。
年収の水準が高い製薬業界や医療従事者の方は不動産の営業マンから勧誘を受けた経験があるのではないでしょうか?
不動産投資は歴史が長く、レバレッジを効かせることができる有用な投資の1つです。
しかし金額が大きいことから、大きな損失を被るリスクもあるので注意が必要です。
こんな疑問をお持ちの方に「不動産投資」の基礎知識を解説します!
「FP1級」「不動産の書籍監修」「不動産投資家として10戸の物件を運用」など不動産投資に精通している渡邉さんに解説していただきます!
前回の記事では株式投資の基礎知識について書かせていただいたので、今回は不動産投資について解説します。
不動産投資の中でも特にやっている方が多い「ワンルームマンション投資」をピックアップしてみました!
ちょっとニッチなテーマなようにも思えますが、ワンルームマンションへの投資はMR、医師、薬剤師、看護師の方が運用していることが多いのが実情です。
この記事の要点
●不動産投資の利益は「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の2種類。
●不動産投資では、ローン返済以外にかかる「コスト」も重要
●サブリース契約はデメリットの面が上回ることが多いので非推奨
●不動産で利益を出すコツは「①割高な物件を避ける」「②値下がりしにくい物件を買う」「③金利が低いローンを借りる」
●既に購入済みの方が利益改善を図るなら「①コスト削減」「②ローン借り換え」「③家賃を上げて高値売却」の方法がおすすめ
●不動産投資は、物件を購入した時点で最終的な結果のほとんどが決まる。
不動産投資とは?
不動産投資というとハードルが高そうに感じますが、利益が得られる仕組みは意外とシンプルです。
- 不動産投資で得られる利益
- ①不動産を買って、誰かに貸して家賃をもらう=インカムゲイン
②買った不動産が値上がりしたタイミングで誰かに売る=キャピタルゲイン
シンプルに考えると、不動産投資はこの2種類の利益があります。
①のインカムゲインはかなり安定して得られますが、②のキャピタルゲインは市況に左右されることも多いという特徴があります。
日本の不動産価格はバブル期にピークをつけており、それ以降は安定しています。
最近は、キャピタルゲインを大きく狙うというよりは、家賃をしっかり得てインカムゲインで利益を取っていく戦略で投資をしている方が多くなっています。
ただし、「不動産」と一口に言っても、実は不動産投資の種類は多岐に渡るということをご存じでしょうか?
- ワンルームマンション
- 戸建て
- 一棟アパート
- 一棟マンション
- 駐車場
また、一つ一つの物件が大きな金額になるので、ローンを使って挑戦する人が多いのも特徴です。
「不動産投資はローンありきの投資だ!」と仰る投資家さんもいます。
仮に数百万円の小さいマンションの区分所有だったとしても、手元にある現金で買うというのはけっこうハードルが高いですよね。
そのため、以下の流れで不動産投資をしている方が多くなっています。
- 不動産投資をする時のお金の流れ
- ①ローンを借りて不動産を購入する
②購入した不動産を誰かに貸して、家賃でローンを返済する
ワンルームマンションへの投資事例
ここからは、ワンルームマンションへの投資を例に不動産投資の流れを見てみましょう。
購入したワンルームマンションを人に貸すことによって賃料を得るという仕組みの投資です。
投資物件の条件(仮想)
●2000万円の投資用ワンルームマンションを2000万円のローンを借りて購入
●家賃は月々8万円
この物件で得られる家賃では、下記金額が家賃収入として積み上がることになります。
- 1年間で96万円
- 10年間で960万円
- 30年間で2880万円
この家賃収入が利益の源泉になるわけです。
ただし、銀行でローンを借りているわけですから、月々の家賃でローンを返済していくということになります。
ローンのうち、金利を除いた部分は「元本の返済」になります。
コツコツとローンを返済していくことにより、「入居者の力も借りながら資産を積み上げることができるのがワンルームマンションへの投資」ということになります。
ちなみに最近の投資用ワンルームマンションに対してのローンの金利は2%前後であることが多くなっています。
2000万円のローンを金利2%で借りた場合は、月々の返済額が月々6.6万円程度になります。
つまり、「月々8万円の家賃を得ながら、月々6.6万円のローンを返済していく」といった流れでワンルームマンションへの投資は進んでいくことになります。
ただし、こうした不動産への投資はローンの返済だけでなく他にもコストがかかります。
- 不動産投資で考慮すべきコスト
- ●管理費
●修繕積立金
●集金代行費
●固定資産税
●火災保険料
●入居者募集の広告費
●空室になった際の修繕費
実際は他にも細かなコストが発生しますので、これらも加味して投資を判断していくことになります。
また、当然のことながら、入居者がずっと住んでくれる保証はありません。
「空室率」なども投資の際には考えておく必要もあるでしょう。
たしかに「サブリース」といった賃料を保証してくれるサービスも存在しています。
しかし、デメリットも多いのであまりお勧めはしません。
- サブリース契約のデメリット
- ●基本的には投資家側が損をする仕組みになっている
●契約の解除がしにくい
●売却時に足枷になる
ワンルームマンションへの投資で気をつけるべきこと
ワンルームマンションへの投資は、闇雲に行うと多くの方が損をします。
不動産投資で利益を出すために重要な要素は大きく3つにわけられます。
- 不動産投資で利益を出すポイント
- ①割高な物件を避ける
②値下がりしにくい物件を買う
③金利が低いローンを借りる
この3つはとても大切な要素になりますので、それぞれ掘り下げて解説します。
割高な物件を避ける
不動産投資に失敗するパターンで最も多い要素は「割高な物件に手を出してしまう」ということです。
市場の価格に対して割高に買うと、その時点で大きなビハインドを背負うことになります。
不動産投資で利益をあげる方法は「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」があることを最初にお伝えしました。
利益面から不動産投資を考えると「割高な価格で購入する=キャピタルロスをする」ということになってしまうのです。
※キャピタルロスとは、キャピタルゲインの反対の意味
つまり、「割高な物件を購入してしまった瞬間に大きな損失になる」ということです。
逆に市場の価格に近い価格で購入することができれば、その後の利益は生まれやすくなります。
ちなみに、この考え方はマイホームを購入する際にも持っていた方が良いです。
投資用ワンルームマンションであっても、マイホームであっても、購入後に売却しようとして実際に売れる価格が本当の価値であって、購入価格が価値ではありません。
「経済的に良い不動産を取得したい」という方は市場価格を意識してみるのが良いでしょう。
値下がりしにくい物件を買う
値下がりしにくい物件の要素は複数ありますが、中でも「エリア」と「築年数」が重要です。
銀行の評価でワンルームマンションの価格は決まってきますが、エリアや築年数によって銀行が融資を出してくれるかどうかが異なります。
不動産投資で利益を確定させるのは、最後に売却をしたタイミングになります。
手元で月々の手残りがプラスであろうがマイナスであろうが、最終的に売却したタイミングで全体の利益が確定することになるので、出口戦略は重要です。
出口でワンルームマンションを買ってくれる方も、基本的には銀行から融資を借りて買うことになりますので、銀行からの評価が出やすいエリアや築年数の物件を購入するのが大切になります。
例えば、東京の中心部はワンルーム投資で有利なことが多いですが、これは銀行評価が高いからというのが理由の一つです。
一方で、どんなに良さそうに見える物件であっても、銀行が評価をつけてくれない物件だと出口では苦戦することになりかねませんので、その点は注意したいところですね。
同じ2000万円で購入した物件でも、10年後に2000万円をキープしている場合もあれば、1500万円に値下がりしている場合もあります。
できるだけ値下がりしにくそうな物件を選択しましょう!
金利が低いローンを借りる
ローン金利は、不動産投資の利益を大きく左右する要素です。
例えば2000万円の物件を2000万円のローンを組んで購入したとしましょう。
このときに借りるローンが「金利1.5%」と「2.5%」では金利差は1%ですから、一見すると大きな差はないように思うかもしれません。
しかし、2000万円というローン額に対して金利はかかりますので、1%の金利の差はかなり大きな違いになります。
物件A | 物件B | |
ローン金額 | 2,000万円 | 2,000万円 |
金利 | 1.5% | 2.5% |
ローン期間 | 35年 | 35年 |
返済方法 | 元利均等返済 | 元利均等返済 |
毎月家賃収入 | 8万円 | 8万円 |
毎月返済額 | 6万1,236円 | 7万1,499円 |
総返済額 | 2,571万9,120円 | 3,002万9,580円 |
なんと、金利1%の差が月々の返済額では1万円以上の差となり、35年間で見ると430万円以上の差になってしまうわけです。
これはそのまま投資家としての最終的な利益の差になりますから、ワンルームへの投資を行う場合には、できるだけ低い金利のローンを借りることを意識しましょう。
むしろ高い金利でしか借りられない場合には、投資を止めることをお勧めします。
また、ワンルームへの投資の際に借りるローンは、多くの場合で「変動金利」なので、日本の金利の影響を受けることも合わせて知っておきたいところです。
すでに買っている方が収益を改善する戦略
ワンルームマンション投資の注意点を中心に解説しましたが、こんな疑問を感じている方がおられるのではないでしょうか。
大丈夫ですよ!
そういった方のために、「購入後に収益を改善できる戦略」をいくつか挙げてみたいと思います。
購入後に収益を改善できる戦略は以下の3つが代表的です。
- コストの削減
- ローンの借り換え
- 家賃を上げて高値売却
それぞれポイントを解説します。
コストの削減
ワンルームマンションへの投資では様々なコストがかかることをご紹介しました。
コストのうち次の3つは工夫次第で削減可能です。
- 集金代行費
- 入居者募集の広告費
- 空室になった際の修繕費
特に、集金代行などは現在の管理会社さんよりも安いところがないか探してみるのも良いでしょう。
ローンの借り換え
金利はワンルームマンション投資における大きな要素です。
もし、現在投資をしていて金利が高いと感じた方は「ローンの借り換え」を検討してみると良いでしょう。(目安は2.2%以上)
最近では、投資用のローンの借り換えを積極的にやっている金融機関や試算をしてくれるサイトなども出てきています。
借り換え試算サイトはINVASEなどがあります。
例えば、INVASEのサイト経由で借り換えをしていただき、月々の返済額を2.6万円減らして、総返済額を約224万円下げることができた事例などもありました。
家賃を上げて高値売却
不動産投資で最終的な利益を確定できるのは「売却時」です。
家賃を1,000円でも高く貸すことで、売却時の価格は大きく変わります。
例えば、家賃を1,000円上げると年間の家賃額は12,000円UPとなります。
利回り5%で売却できる投資用のワンルームであれば、それだけで売却価格を24万円も上げることができる可能性もあります。(12,000円÷5%=240,000円)
家賃を上げると「空室期間が長くなる」「入居期間が短くなる」といったデメリットもあります。
しかし、売却を戦略的に行う際には検討しておきたい点となります。
目的に合った不動産を買うために
不動産投資は、物件を購入した時点で最終的な結果のほとんどが決まります。
繰り返しになりますが、不動産投資で得られる利益は次の2点です。
- 家賃(インカムゲイン)
- 売買差益(キャピタルゲイン)
家賃相場や売却時の相場はある程度決まっていますので、「どんな物件を購入したか?」で最終的な利益は大まかに計算できるのです。
ワンルームマンションは、ローンの返済を行っていくと、ほとんど手元にはお金が残らない投資であり、最終的に売却したタイミングで手元に現金が生まれる投資です。
不動産投資で毎月の家賃収入をGETして日々の生活が豊かになると思ってました・・。
そのようなイメージでワンルームマンションへの投資を行うと、「イメージとは違っていた」と後悔することになるかもしれませんね。
不動産投資は非常に奥が深く、目的に応じてお勧めできる投資対象となる物件も全く異なってきます。
例えば、次のような選択肢です。
- 【目的別】不動産投資の対象物件
- ●手間をかけずに時間をかけて資産を増やしたい⇒ワンルームマンション投資
●手元の現金を使って月々の家賃が手元に入ってくる仕組みを持ちたい⇒戸建て投資
●ローンをたくさん引いて所有する不動産の規模を大きく拡大していきたい⇒一棟アパートor一棟マンション投資
わたし自身は区分のワンルームマンションを、2012年と2014年に1戸ずつ購入し、2019年と2020年に売却しました。
2021年からは投資用の戸建てを今までに10戸購入して運用しています。
戸建ての投資は少額で始めることができて、すぐに手元に家賃が残っていくことが気に入っています。
ワンルームマンションは販売会社が非常に多く、営業マンの採用にも積極的なので情報に触れる機会が多くなります。
しかし、もしかすると目的次第では「他の不動産投資の方が自分に合っている」ということが多いのではないかと思います。
最初に良い物件を選ぶことが、不動産投資で成功する上では必要不可欠です。
不動産投資にこれから取り組んでいきたい方は、事前に情報収集を十分行い、自分に合った形で不動産投資を始めてみましょう!
他の投資でも最初の選択がその後の成果を左右するのは同じですが、不動産は一度買ったら売却に時間もコストもかかります。
最初の一歩目で良い物件を取得することを強く意識していただければと思います。
今回は不動産投資で失敗しないために、押さえたいポイントについてご紹介させていただきました。
逆に言えばこれらの点を押さえておけば、不動産投資は高確率で成功させることができる投資でもあります。
ぜひ参考にしてみていただけると幸いです。
読者の方からの質問回答
この記事に対して読者の方からいただいた質問に回答します!
今回は3つの質問をいただきました。
【質問1】節税メリットの考え方は?
不動産営業マンから「赤字でも節税できるのでメリットが大きい」と説明を受けたのですが本当でしょうか?
赤字覚悟でも節税メリットが上回るのかどうかを教えてください
不動産投資で節税ができるのは「年収が高い一部の方」と考えてください。
不動産の営業マンも理解していないことが多いのですが、一見節税できたように見える所得税の還付や住民税の減少分は、不動産の売却時にあらためて税金を支払うことになります。
一応年収650万円以上くらいあれば、節税効果はゼロとは言えなくもないですが、微々たるものです。
基本的には「節税」という甘い言葉に惑わされず、純粋に利益がでるような物件を買いましょう。
【質問2】不動産投資で要注意のワードは?
他に不動産投資で営業マンから言われて要注意のワードがあれば教えて欲しいです。
はい、合っています。
割高な物件を正当化している業者が使う言葉のフルコースですね。
もっと危ないのは「住民票を移すと金利の安いローンが借りられます」などでしょうか。
なんちゃってスキームと呼ばれたりしますが、自分が住むことを前提とする住宅ローンを投資用の不動産で利用するのは、金融機関との契約に違反することになるので”一括返済を求められる””金利が大幅に引き上げられる”という可能性があります。
絶対に避けましょう。
【質問3】コスト削減方法の具体的な手順は?
私は実際に不動産を保有しているので早速試してみたいと思ったのですが、具体的にどのような手順で進めていくとよいのでしょうか?
①サブリースを組んでいるようでしたら、賃貸管理を安くやってくれる会社を探してから、サブリースの解除を申し込みましょう。
サブリースの契約書の内容を良く読み込んでからが良いです。
②次に、ローンの借り換えを仮審査してみて、通りそうでしたらコストと利息の削減の金額のバランスを見て実行に移すか判断しましょう。
③早く売却したいようでしたら、入居者の入替のタイミングですこしでも高い家賃で貸せるように管理会社と相談してください。
一つ一つの手順に、ある程度の経験や知見がいるので、メディ太さん経由でご連絡いただければサポートできる部分もあるかと思います。
渡邉さん質問にも丁寧に回答していただきありがとうございました!
もし個別に渡邉さんへ不動産投資案件の相談を行いたい場合は、メディ太のTwitterにDM等でご連絡いただければ、いつでも渡邉さんを紹介しますね。
まとめ
今回の記事では、株式投資に関して次の5つをご紹介しました。
この記事のまとめ
●不動産投資の利益は「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の2種類。
●不動産投資では、ローン返済以外にかかる「コスト」も重要
●サブリース契約はデメリットの面が上回ることが多いので非推奨
●不動産で利益を出すコツは「①割高な物件を避ける」「②値下がりしにくい物件を買う」「③金利が低いローンを借りる」
●既に購入済みの方が利益改善を図るなら「①コスト削減」「②ローン借り換え」「③家賃を上げて高値売却」の方法がおすすめ
●不動産投資は、物件を購入した時点で最終的な結果のほとんどが決まる。
次回も引き続き不動産投資をテーマに書かせていただきたいと思います。
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渡邉さんありがとうございました!
今回も読者の方からの質問を受付中です!
メディ太のTwitterにDM等でご連絡いただければ、後日この記事内で渡邉さんから回答させていただきます。
最後までご覧いただきありがとうざいました!
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