家計見直し

転勤族必見!賃貸の原状回復に重要な民法とガイドライン

みなさんのお住まいは「持ち家」or「賃貸」のどちらでしょうか?

製薬会社に勤務されている方の場合、「会社の家賃補助制度」や「持ち家+単身赴任中」など、賃貸にお住いの方が比較的多いかもしれません。

会社の家賃補助制度を利用している方は

読者の方
読者の方
敷金・礼金は会社が支払うから、家のことは何も考えなくて大丈夫~

このように考えて、家のことは無関心な方が意外と多いです。

しかし、賃貸でのトラブルは「入居・退去」以外に、「入居中の修繕」でも発生します。

最低限の知識がないと、必要以上に費用請求・費用負担をさせられて損をするケースが横行しています。

そこで今回は、MRの私が経験した「修繕」や「交渉」をする上で役に立った知識と事例をご紹介したいと思います。

基本的には、賃貸物件で入居者の過失がない修理は、貸し主負担。

退去時に「全て元通り」or「新品の状態に復元」して返却する必要はない。

●貸し主や不動産会社との交渉は、「ガイドライン」「民法」の要点だけ知っておけばOK

この記事はこんな方にオススメです。

読者の方
読者の方
賃貸に住んでいます

読者の方
読者の方
家のことは管理している不動産会社に言われるままです・・。

読者の方
読者の方
賃貸で済んでいる家の修理はどうしたらいいのかわからない・・。

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重要知識①「国土交通省ガイドライン」

全国の賃貸物件で発生する契約トラブルを踏まえ、国土交通省から「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が出ています。

このガイドラインの知識は特に入居前の契約や、退去時の費用の交渉で役立ちます!

これをしっかり読み込むだけで格段に交渉力がUPし、損をする可能性は大きく減少します

主なポイントは以下の4つです。

ガイドラインのポイント

①「原状回復の定義」

②「通常の使用」

③「経過年数の考慮」

④「施工単位」

原状回復の定義

退去時に物件の原状回復を求められます。

しかし、「原状回復≠住む前の状態に戻すこと」であり、入居前の状態に戻す必要や来た時よりも美しくする必要はありません。

普通に生活していて発生する損傷の修繕費用は、家賃に含まれていると解釈されています。

例:フローリングの日常生活で無意識につく微細な傷など

ただし、明らかに借りた方の故意・過失等で壊してしまった場合は入居者(賃借人)が修理する必要があります

余談ですが、意図せずうっかり物を落として生じた傷や、幼い子供が目を離した隙に壁に落書きした場合は、火災保険で修繕可能です。(保険の契約条件で不可になることもあり)

通常の使用

通常の使用は「一般常識の範囲内で使用して起こる範囲内」ということです。

ただ、この点の解釈は線引きが難しいので、ガイドラインに具体的な事例が記載されています。

入居者(賃借人)に原状回復の義務があるのは以下の2パターンです。

入居者(賃借人)が明らかに悪い使い方をして発生した損傷

●通常の使用範囲内で発生した損傷でも、その後の入居者(賃借人)の管理が悪く、「損傷が発生」or「損傷が拡大」した場合

明らかに一般常識外の使用方法は避け、通常の範囲内で生じた損傷があれば不動産仲介業者に連絡しながら適切に使用していればトラブルは回避できることがほとんどです。

経過年数の考慮

入居者(賃借人)が退去する際に、「原状回復の義務がある毀損部分」を修理する時は、基本的に全ての修理費用を負担する必要はありません。

建物や設備の経過年数を考慮して、年数が長いほど入居者(賃借人)の負担割合を減少させるのが本来の考え方です。

よくある事例

壁紙に傷をつけて火災保険を使用しておらず自費で修繕が必要な場合、住んだ期間が2年・4年・6年では費用が異なります。

ガイドラインでは壁紙は6年で実質価値はなくなるため、6年以上住んだ賃貸の壁紙修理費用は支払う必要がないという解釈になります。

施工単位

原状回復は毀損部分の復旧なので、最低限度の施工単位を基本としています。

つまり、少しの部分しか損傷していないのに、全部分の修理費をこちらが負担する必要はないということです。

少しの傷だけなのに全体の修理費を請求された場合はボッタクリの可能性もあるため、すぐにサインせずちゃんと内訳(明細)を事前に確認しましょう

重要知識②「民法」

2017 年5月に成立した「民法の一部を改正する法律」が2020年4月1日から施行され、賃貸借契約に関するルールが見直しになりました。(約120年ぶりの改正)

入居後~退去まで活用できる重要な知識になります!

今回は、特に賃貸契約で入居者が知っておくべき民法を6つご紹介します。

引用:法務省「民法新旧対照条文」、「賃貸借契約パンフレット

【入居中のルール】

①賃貸人による修繕等(第606条)

②賃借物の修繕に関する要件の見直し(607条の2)

③賃借人による償還請求(608条)

④賃貸物の一部滅失等に因る賃料の減額等の見直し(611条)

【退去時のルール】

⑤賃借人の現状回復義務及び収去義務等の明確化(621条)

⑥敷金に関するルールの明確化(622条の2)

それぞれの項目について内容をご紹介します。

賃貸人による修繕等(第606条)

賃貸物件の貸し主には物件の修繕義務があり、基本的に費用負担も貸し主負担となります。

入居者が支払う家賃には通常使用に伴う損耗の費用も含まれているので、修繕を依頼して拒否された場合は、民法606条を根拠に交渉可能です。

民法第六百六条

一、賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。

二、賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。

賃借物の修繕に関する要件の見直し(607条の2)

賃貸物件の修繕が必要になった場合、「貸し主に連絡した」or「伝えたのに対応してくれない」or「災害の修復等で急ぐ時」に入居者の判断で修繕をしても、貸し主から責任を追及されることはないことが明確になりました。

ちなみに、入居者に明らかな過失がない場合は、修理費用もすぐに貸し主へ請求することが可能です。

民法第六百七条の二

賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。

一、賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。

二、急迫の事情があるとき。

イメージはこんな感じです。

入居者
入居者
備え付け設備となっているエアコンが壊れたので修理して欲しいです

貸し主
貸し主
あーそうですか~。少し待ってくださいね。(先延ばししてやろう)

・・・しばらく音沙汰なし

入居者
入居者
修繕を通知したのに全く対応がないので、改正後の民法607条の2に該当する案件と判断し、こちらで修繕します。当然、修繕費用は後日請求します。

貸し主
貸し主
えっ!?あ・・はい。わ、わかりました。

改正前の民法には,どのような場合に賃借人(入居者)が自分で修繕をすることができるのかを定めた規定はありませんでした。

賃借人による償還請求(608条)

本来、貸し主が負担するべき費用を私たち入居者が支払った場合、直ちに入居者が貸し主へ請求できるということが定められています。

イメージとしては、修繕を依頼しても貸し主がなかなか対応しない場合に、こちらで修繕した後に請求する根拠として利用できます。(607条の2+608条)

民法第六百八条

一、賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。

二、賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第196条第2項の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

賃貸物の一部滅失等に因る賃料の減額等の見直し(611条)

賃貸物件の一部に不具合が生じた場合、割合に応じて家賃の減額が「当然」になりました。

イメージとしては、賃貸物件で支払う家賃はもともと提供されている設備に対して設定しているものなので、一部損耗などで利用可能な設備が不十分な場合、相応の家賃に減額するのが当たり前という解釈になります。

減額の目安は、国土交通省の「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集」に記載されていますので、ご参考ください。

不具合が生じて家賃減額した後、設備が復旧した場合は家賃が元に戻ると思います。

民法第六百十一条

一、賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。

二、賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。

改正前の民法には,「滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を請求することができる」という弱い表現でしたので、交渉次第では減額に応じてもらえないケースもありました。

賃借人の現状回復義務及び収去義務等の明確化(621条)

入居者は、

「賃借物を受け取った後に生じた損傷について原状回復義務を負うこと」

「通常損耗や経年変化については原状回復義務を負わないこと」

この文言が明記されましたので、費用負担を何でも入居者に請求してくる業者に注意しましょう!

民法第六百二十一条

賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない 。

通常損耗・経年変化の解釈を巡ってトラブルになるケースは多いです。

そこで、一例として法務省の冊子に記載されている内容をご紹介します。

改正前の民法には,原状回復義務及び収去義務等の文言が明確ではありませんでした。

敷金に関するルールの明確化(622条の2)

敷金の定義が以下のように定められました。

「いかなる名目によるかを問わず,賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で,賃借人が賃貸人に交付する金銭」

その上で、判例に従い敷金返還のルールを明確化しています。

●賃貸借契約が終了して賃借物が返還された時点で敷金返還債務が生じること

●その額は受領した敷金の額からそれまでに生じた金銭債務の額を控除した残額であること

第六百二十二条の二


賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
一、賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
二、賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。

改正前の民法には,敷金の定義や敷金返還請求権の発生時期についての規定はありませんでした。

ガイドライン、民法の活用方法

法的拘束力は「民法>ガイドライン」です。

ただし、ガイドラインも過去の判例の判断基準とされているため、指針として重要な位置づけです。

それぞれの活用イメージは以下の通りです。

●入居前の賃貸借契約締結時:ガイドラインを基に契約内容を交渉

●入居後の対応:民法と賃貸契約書を基に交渉

既に賃貸借契約を締結されている方は、一応、現在の契約書が有効なものと考えられますので、契約内容に沿った取扱いが原則になります。

しかし、契約書の条文があいまいな場合や、契約締結時に何らかの問題があるような場合は、このガイドラインを参考にしながら話し合いの余地があります。

引用:国土交通省ホームページ

賃貸物件選定時の注意点

候補物件が出てきた際には、事前に契約書を必ず確認しましょう。

不動産業者や物件によっては、

「○○の修繕は借主が負担する」

「○○保険の加入を必須とする」

「特約:○○を賃借人が負担する」

などの、入居者に不利な条件を契約書や特約に記載してくる場合があります。

読者の方
読者の方
そんな悪徳業者は稀でしょ~。

こう思われるかもしれませんが、入居者の知識が乏しいことを逆手にとってくる業者は少数ではありません。

実際に私の例では、身内が賃貸を探している時に契約を手伝ったところ、最初に提示してきた書面がまさにボッタクリ条件込みの契約書でしたので、ガイドラインの記載等を基に交渉すると、掌を返したような真っ当な契約書を提示してきました。

個人的には、そのような契約書を作成してくる業者・物件は、修繕等でも揉める可能性があるため、契約しない方が無難だと思います。

交渉のコツ:記録を残す

業者との交渉は、必ず記録を残しましょう。

特に、不動産会社との連絡は電話を利用したくなりますが、「言った言わない」のトラブルに発展しやすいので注意が必要です。

もし先方から電話できても、最後にこのように伝えましょう。

入居者
入居者
今電話で話した内容を記録に残したいので、この後すぐに同様の内容をメールしてください。

記録のポイントは以下の通りです。

●入居時:部屋の状態を写真で記録に残す。

●不動産会社との連絡・交渉:メールで連絡する。

●退去時:部屋の状態を写真で記録に残す。

交渉のコツ:真摯に対応する

ガイドラインや民法を振りかざしてクレーマーにならないように注意しましょう。

交渉のコツは、オーナーさんにとってもメリットも考慮して相談をすることです。

相手と良好な関係を築きつつ、常識の範囲内でガイドラインや民法を基に交渉する姿勢が大切だと思います。

私も、改正後の民法に準じて家賃交渉を行い減額に至りましたが、交渉の段階で貸し主への御礼の気持ちも同時に伝え、建設的な話し合いをしています。

~家賃減額交渉メール例~

○○様

いつも○○に入居させていただきありがとうございます。

今回は、設備不具合に伴う賃料減額に関して連絡しました。

<内容>

現在、○○の一部使用不能が生じており、2020年4月改正の民法611条に則り、相当額の賃料減額が妥当と認識しています。

<設備状況>

○○の一部使用不能(当方の過失によるものではない。)

<希望額>

○○の一部使用不能により、○○円の支出が発生しているため、同額の賃料減額が妥当と考えています。

※国土交通省「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集」を参考に、○○円が妥当と考えていますでも可

尚、当物件に関して非常に満足しており、今後も引き続き入居を継続したいと考えています。

今後も良好お付合いをしていきたいと思いますので、対応をよろしくお願いします。

おまけ知識:火災保険の選択

賃貸住宅では、火災保険加入を義務付けしている場合がありますが、これは不当ではありません

むしろ火災保険は加入する必要性の高い保険です。

しかし、火災保険会社や保険の種類を指定し、変更不可を要求される場合は要注意です。

基本的にどの保険会社・プランを選択するかは賃借人(入居者)の権利になります。

不動産業者が勧める保険は割高な可能性が高いので、自分で保険会社を検索する方がお得です。

具体的な金額は保障プラン次第ですが、少なくとも年1万円以上だと「ん?」と思った方がいいかもしれません。

火災保険に関しては以下の記事で解説していますのでよければご覧ください。

おまけ知識:24時間対応サポートは必要?

火災保険とは別に、入居時に不動産業者が加入当然のように24時間サポートを提案された経験はありませんか?

基本的に不要ですので断りましょう。

契約書に加入を義務付けしている場合は要注意です。

もし、契約書へ義務の記載がなくても、

読者の方
読者の方
断りにくい性格なんですよね・・。

読者の方
読者の方
念のためサポートには入っておきたいけど、高いのは嫌。

このように考えている方は、楽天損保などの火災保険に無料オプションで24時間サポートが付与されている商品を選択するのもありです。

そうすれば、わざわざ別途高い費用を払って個別契約する必要もなく、不動産業者にも合理的な理由を基に個別契約を断ることができます。

まとめ

今回は、賃貸住宅の入居前・入居時・退去時のそれぞれで役立つ知識として国土交通省ガイドライン、民法を中心にご紹介しました。

基本的には、賃貸物件で入居者の過失がない修理は、貸し主負担。

退去時に「全て元通り」or「新品の状態に復元」して返却する必要はない。

●貸し主や不動産会社との交渉は、「ガイドライン」「民法」の要点だけ知っておけばOK

住居の費用は、1回で数千円~数万円程度変わってくるため、無知で損をするのは非常に勿体ないです。

知識さえあれば回避できる出費を減らし、家計管理や投資に回す資金にしていきましょう。

賃貸関連のトラブル対処事例をもっと詳しく知りたい方は賃貸トラブルたすけ隊さんのブログが非常に分かりやすいのでオススメです。

本日も最後まで読んでいただきありがとうございました!

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