毎年12月~1月になると、年末調整計算結果や源泉徴収票が手元に届きます。
皆さんは毎回内容を確認していますか?
用語が馴染みにくいとは思いますが、源泉徴収票には1年間の収入や税金の情報が簡潔にまとめられており、資産形成などお金について考えるために必須の要素が網羅されています。
そこで今回は、源泉徴収票の「絶対に知っておくべき4項目」に加えて、応用例として「貯蓄率の計算方法」をご紹介します。
●源泉徴収票は「支払金額」「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額」の4つが大事です!
●課税給与所得金額を意識しましょう!
●住民税も源泉徴収票でざっくり計算可能です!
●貯蓄率を試算し、家計状況を把握しましょう!
この内容は、こんな方にオススメです。
【源泉徴収票とは?】給与所得と納税の情報が網羅されている書類!
まず源泉徴収票の全体像からご紹介します。
「源泉徴収」とは、会社が従業員の税金を給料から天引きして国に支払ってくれるシステムです。
そして「源泉徴収票」は、1年間に支払った内容がまとめられた書類です。
もう少し詳しく説明すると、1年間に支払われた「給与」や実際に支払った「所得税」が記載されています。
ですので、「住民税」は記載されていません。
特徴 | |
所得税 | 1年間稼いだ所得に対して、 国に払う税金のこと (税率は5~45%) |
住民税 | 自分が住んでいる 都道府県&市区町村に払う税金のこと (税率は所得に対して原則一律10%) |
年末になると、所得税の内訳をまとめた下図の用紙が1人ずつ届きます。

こう思われるかもしれません。
項目の多さには理由があり、「所得税」は収入から個人の事情に応じて「控除」という色々なものを差し引いた後に残った所得に対して税率計算する仕組みになっているからです。
各項目でちゃんと解説しますのでご安心ください!
今の時点では、源泉徴収票は1年間の収入と税金をまとめた書類で、税金の内訳も詳細に書かれているということをご理解いただければOKです。
所得税の計算方法
●会社員:給与ー給与所得控除ー所得控除=課税所得
●フリーランス:売上ー経費ー所得控除=課税所得
※課税所得×税率=所得税
【源泉徴収票見方】ここだけは要チェック!最も重要な4項目
源泉徴収票について「ここだけは絶対に知っておくべき」最も大事な4項目を解説します。
その4項目とは、「①支払金額」「②給与所得控除後の金額」「③所得控除の額の合計額」「④源泉徴収税額」です。
源泉徴収票の用紙には下図の赤枠部分に記載されています。

こう思った方もご安心ください!それぞれ解説していきます。
【源泉徴収票】①支払金額とは年収のこと!
支払金額とは、一般的によく使われる「年収」のことです。
ここでの年収とは、1年間に支払われた給与明細に記載されている支給額(給料・残業代・ボーナス・手当など)が記載されています。
給与として支払われた総額のことで、税金などは全て引かれる前の状態です。
このように聞かれたら、この「支払金額」を回答しているイメージでOKです。
合コンなどで調子よく「年収は○○くらい」と言っている人を疑わしく感じた時は
このように言ってみると、正確な情報が把握できますよ。(色々なものを失う可能性はありますが・・。笑)
人は年収をごまかす時はありますが、源泉徴収票は嘘をつかないということですね!
【源泉徴収票】②給与所得控除後の金額とは所得のこと!
支払金額から「会社員の経費に相当する額」を差し引いた金額です。
「会社員の経費に相当する額」=「給与所得控除」
会社員は、個人事業主のように「経費」を自由に使えません。その代わりに、収入金額(年収)に応じて一定金額を「実質的な経費」のようなイメージで差し引いてもらえる(控除)のが「給与所得控除」です。
【給与所得控除後の金額を計算する方法】
支払金額ー給与所得控除額=給与所得控除後の金額
令和2年以降の給与所得控除額は、以下の図で計算されます。


【源泉徴収票】③所得控除の額の合計額とは控除のこと!
「給与所得控除」以外に、支払金額から差し引くことが可能な項目(控除)の合計額です。
例えば、「基礎控除」「配偶者控除」「配偶者特別控除」などです。
正確な内訳を見たい場合、年末調整計算結果の所得控除欄を確認していただければ把握できます。
「毎月の給与計算で控除されてきた金額」+「年末調整で申請した内容」が反映されています。

サラリーマンは個人事業主のように「経費」が使えないので、控除をいかに有効活用するかで納税額が変わってきます。
保険・医療費・ふるさと納税・iDeCoなどは多くの方が申告対象になる「生活に関連する控除」の項目になりますので、有効活用しましょう。
【源泉徴収票】④源泉徴収税額とは所得税のこと!
1年間の「所得税合計額」が記載されています。
計算式は、以下の方法で算出されています。
【所得税を計算する方法】
課税給与所得金額×税率-控除額
これを見て、
こう思われた方がいるかもしれませんので、補足解説します。
所得税は、支払金額(年収)に対して計算されません。(ココが勘違いしている方の多い部分です。)
所得税は、支払金額(年収)から、控除可能な金額を全て差し引いた後に残った「課税給与所得金額」に対して計算されます。
つまり、私たちが所得税を考える際に重要なのは「課税給与所得金額」であり、年収ではないということです。
もっと言うと、いかに「控除」を増やすか?が大事ということです。
【課税給与所得金額を計算する方法】
支払金額(年収)ー給与所得控除ー所得控除=課税給与所得金額
「年収」と「課税所得」を誤解する方は意外と多いので、ご注意くださいね!

源泉徴収票から住民税を計算する方法
源泉徴収票には「住民税」が記載されていません。(あくまで所得税の計算になるため)
正確な住民税額は「住民税決定通知書」を確認するのがベストです!
しかし、意外と多いのがこんなケースです。
住民税の概算であれば源泉徴収票の数字から計算できます。
以下の式で計算してみてください。
【源泉徴収票から住民税を計算する方法】
(給与所得控除後の金額ー所得控除の額の合計額)×0.1

源泉徴収票で手取り収入の金額を計算する方法
実は、源泉徴収票には「手取り金額」が記載されていません。
もし把握したい方は、源泉徴収票に記載の金額と、住民税の情報があれば確認できます。
【手取り金額を計算する方法】
支払金額ー源泉徴収税額ー社会保険料等の金額ー住民税

【源泉徴収票の使い方】貯蓄率の計算に応用する方法
せっかく源泉徴収票の見方をマスターしたので、家計管理の中でも重要な「貯蓄率」の計算に応用してみましょう!
貯蓄率とは、手取り額からどれくらいの金額を「貯蓄or投資」に回すお金にできているか?という数字です。
【貯蓄率を計算する方法】
①年間貯蓄額を集計する
②住民税の概算を計算→(給与所得控除後の金額ー所得控除の額の合計額)×0.1
③手取り額を計算→支払金額ー源泉徴収税額ー社会保険料等の金額ー住民税
④年間貯蓄率÷手取り金額×100=貯蓄率
超独断と偏見で、貯蓄率のランクを作成してみました。
●50%以上:超人家計(神です)
●40%以上:超優良家計
●30%以上:優良家計←筆者はココです。
●20%以上:目指せ優良家計!
●10%以上:見直し項目を検討しましょう!
●0%以上:家計管理を開始しましょう!
こう思った方は、家計の見直しにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
参考までに筆者が行った家計改善のステップを全て公開していますので、よろしければご覧ください。
まとめ
今回は源泉徴収票のポイントと、所得税の仕組みや家計管理も含めてご紹介しました。
●源泉徴収票は「支払金額」「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額」の4つが大事です!
●課税給与所得金額を意識しましょう!
●住民税も源泉徴収票でざっくり計算可能です!
●貯蓄率を試算し、家計状況を把握しましょう!
いきなり書類を渡されると、用語や数字が難解で苦手意識を持ちやすいですが、家計管理にとても大事な情報が載っていますので、是非確認してみましょう。
本日も最後まで読んでいただきありがとうございました!
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