ふるさと納税は、とてもお得な制度として認知され、利用者が年々増加中です。
利用者に恩恵の多い制度ですが、「寄附がちゃんとできているかを確認する方法」は見落としがちです。
そこでこの記事では、ふるさと納税の「確認方法」と「ふるさと納税の利用手順」を解説していきます。
今回の記事はこんな方にオススメです。
この記事の要約
●ワンストップ特例制度と確定申告では控除額の計算方法が異なる
●ワンストップ特例制度は「住民税」が控除される
●確定申告は「住民税の控除」と「所得税の還付」になる
●ふるさと納税は上限額を必ず事前に確認し、金額を超えないように注意する
●ポイント還元キャンペーンを活用してお得に利用する
●ワンストップ特例制度は無効にならないように注意する
【ふるさと納税の控除確認方法】ワンストップ特例制度
ワンストップ申請を行った方は、寄附をした翌年6月から1年間、「住民税の控除」が適用されます。
ちゃんと寄附額が控除されているか確認する方法は、毎年5~6月に届く「住民税決定通知書」の摘要欄に記載の税額さえわかれば計算できます!
- ふるさと納税が控除されているか確認する方法
- ①住民税決定通知書を準備する
②住民税決定通知書の左下(摘要)欄に記載の「市民税」「県民税」を足し算する
③「市民税+県民税=寄附金額-2,000円」になれば、全額控除されているのでOK。
ちなみに、都道府県・市区町村で「市民税」「県民税」の名称は異なります。
例)大阪府大阪市は「市民税」「府民税」という呼称です。
住民税決定通知書の(摘要)欄に、「寄附金税額控除額 〇〇円」と記載されている場合、この金額が「寄附額ー2,000円」となっていればOKです。
もし金額が一致しない場合は、自身のミスor事務的ミスの2つパターンが考えられます。
寄附金額が一致しない場合
①寄附額が多かった⇒控除上限を超えた金額を寄附していた。
②事務的ミス⇒役所の担当課へ直接問い合わせて確認しましょう。
①の場合は、次回から寄附額シュミレーションを慎重に行いましょう。
【ふるさと納税の控除確認方法】確定申告
確定申告を行うと、「所得税の還付」と「住民税の控除」が適用されます。
ちゃんと寄附額が控除されているか確認する方法は、毎年5月~6月に届く「住民税決定通知書」と、「昨年の確定申告書の控え」を用意すれば確認できます!
- ふるさと納税が控除されているか確認する方法
- ①「住民税決定通知書」と「確定申告書の控え」を準備する
②確定申告書の「課税される所得金額」に記載されている金額の所得税率を速算表で確認する
③(ふるさと納税寄附金額-2,000円)×所得税率×1.021(特別復興所得税)を計算する
④住民税決定通知書の左下(摘要)欄に記載の「市民税」と「県民税」を足し算する
⑤手順③と④の合計額が「寄附金額-2,000円」になればOK
所得税率は以下の速算表からご確認ください。
もし金額が一致しない場合は、自身のミスor事務的ミスの2つパターンが考えられます。
寄附金額が一致しない場合
もし一致しない場合は以下2つの可能性が考えられます。
①寄附額が多かった⇒控除上限を超えた金額を寄附していた。
②事務的ミス⇒税務署に直接問い合わせてみましょう。
確定申告をした場合、所得税と住民税のどちらに誤りがあるかを判断することは困難です。
まずは納税地の税務署へ相談するようにしましょう。
【制度の解説①】2,000円でお得な返礼品をGETできる
ふるさと納税は、「約2,000円の手数料で寄附額の約30%相当の返礼品をGETできる」お得な制度です。
自分の選んだ自治体に寄附(ふるさと納税)を行うと、寄附額のうち2,000円を越える部分については、所得税と住民税から原則として全額が控除されます。(控除=差し引くという意味)
そして、寄附先から寄附額の約30%に相当する返礼品を受け取れます。
2,000円の手出しはありますが、それ以上の価値ある返礼品を受け取れるのでめちゃくちゃお得ですよ!
イメージしていただきやすいように、流れをまとめてみました。
ふるさと納税のイメージ
(寄附上限額100,000円Ver.)
- 市町村に100,000円寄附する
- 寄附先から返礼品がもらえる(寄付額の30%前後相当)
- 確定申告すれば100,000円ー2,000円=98,000円分の税金が減額される。(所得税から還付され、住民税が減額される。)
- 結果的に約2,000円の手出しで30,000円相当の返礼品を貰えたので、実質28,000円分お得!!(実質利回り28%)
【制度の解説②】ふるさと納税で所得税・住民税が控除される仕組み
ふるさと納税には税金の控除方法が2パターンあります。
ふるさと納税の申告方法
●確定申告⇒所得税と住民税から控除
●ワンストップ特例制度⇒住民税から控除
※どちらを利用しても、控除される総額は同じです。
次の項目で所得税と住民税の部分をそれぞれ掘り下げて解説します!
住民税が控除される仕組み
ふるさと納税を行った場合、翌年度の住民税から控除されます。
- ワンストップ特例制度利用者⇒全て住民税から控除
- 確定申告利用者⇒一部が住民税から控除(残りは所得税還付)
住民税とは、「都道府県民税」と「市町村民税」を合わせた税金です。
毎年1月~12月の所得をもとに計算されて翌年の6月から納付が開始される仕組みになっています。
具体的な住民税の控除額の確認方法は以下の通りです。
住民税から控除される金額の確認方法
「市町村民税」+「都道府県民税」
※ふるさと納税を行った翌年の5~6月に届く「住民税決定通知書」の摘要欄に記載されています。
例)大阪府大阪市の人⇒「市民税」+「府民税」
住民税からの控除額は、「基本分」と「特例分」を合わせたもので計算されています。
住民税の「基本分」「特例分」の解説に興味のない人は、飛ばしてもOKです!
【基本分】
住民税からの控除 = (ふるさと納税額-2,000円)×10%
【特例分】
住民税からの控除= (ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10% – 所得税の税率)
※10%は基本分の税額控除
所得税が控除される仕組み
ふるさと納税を行って確定申告すると、その年の所得税から控除されます。
所得税とは、私たち個人が「1年間に得た所得に対して課税される税金」のことです。
確定申告を行って無事受理されると、還付金(戻ってくるお金)が振り込まれます。
確定申告で寄附した全額が還付金として戻ってくるわけではないので問題ないですよ。
残りは翌年の住民税から控除されます。
所得税から控除される金額の計算方法は以下の通りです。
所得税から控除される金額の計算方法
所得税からの控除 =(寄附金額-2,000円)×所得税率×1.021(特別復興所得税)
例えば、ふるさと納税を10万円寄附した所得税率20%のAさんで計算します。
Aさんの場合、(100,000-2,000)×20%=19600円の還付となります。
ふるさと納税のメリット
ふるさと納税は多くの人にとってメリットが大きい制度になりますので、活用をおすすめします!
ふるさと納税のメリット
①豪華な返礼品がもらえるのでお得
②ポイント還元と組みあわせることで更にお得
③故郷など、自分の好きな自治体へ寄附(納税)することができる
通常であれば算出された税金を納めるだけですが、ふるさと納税を利用することで「豪華な返礼品」+「各種ポイント」をGETできる恩恵は非常に大きなメリットです!
ふるさと納税のデメリット
ふるさと納税にはデメリットも存在しますので、ご紹介します。
ふるさと納税のデメリット
①実質的には税金の前払いになるため、一時的な支出額が増える
②制度利用に伴う手続きの手間が発生する
③年間で2,000円の手出し(自己負担)が必要になる
④控除される金額を超えて寄附すると超過分は自己負担になる
ふるさと納税は「税金の前払い」のイメージになるので、一時的に支出金額が大きくなります。
また、金銭的な負担として2,000円の自己負担は必ず発生します。
ただし実質2,000円以上の返礼品をGETできるのでここは大きな問題にならないですよ。
税金面で損することはありません。
上限額を超える金額を寄附しないように注意しておけばOKです。
控除額を超過すると損になるので、事前に「ふるさと納税サイト」で上限額シュミレーションを必ず行いましょう。
【ふるさと納税やり方①】控除上限額を確認する
所得に応じて「控除の上限額」が設定されているので、必ず自分の上限額を確認しましょう!
確認方法は、ふるさと納税サイトに用意されているシュミレーションを活用すればOKです!
「源泉徴収票」または「確定申告書の控え」を用意して、以下のサイトで試算してみてください。
還付・控除の上限額は、ふるさと納税を行う年(1月1日~12月31日)の所得金額で計算されます。
例えば、2022年にふるさと納税を行う場合、2022年1月~12月分の給与収入(年収)から限度額を算出します。
きっちりと上限まで使い切りたい方は、12月の年末調整が完了した後の所得金額でシュミレーションすれば、精度が高くなりますよ。
ちなみに私は、以下の流れで実施しています。
筆者の上限確認方法
①源泉徴収票をもとに2~3サイトで詳細シュミレーションを行う
②上限の目安を見極める
③2月~11月までの期間中に、上限枠より少なめの寄附額で利用する
④12月下旬の年末調整後結果を基に再度シュミレーションを行う
⑤今年の正確な収入に応じて算出された、残りの枠を使い切る
【ふるさと納税やり方②】ふるさと納税の寄附先を選ぶ
寄附上限額を確認できたら、枠内で自治体に寄附をしましょう!
1月1日~12月31日の対象期間中に入金が完了(決済完了)していればOKです。
もし12月末に申し込む場合は、クレジットカード決済を選択しましょう。
郵便振替などは時間を要するので、入金が年内に完了しないリスクもあります。
少しでもお得に利用したい方は、「楽天ポイント」「paypay」が、ポイント還元キャンペーンを行っていますよ。
私は「楽天ふるさと納税」を利用しています!
理由は、楽天スーパーセールやお買い物マラソン開催時に利用すると、ポイント還元が大きいからです。
こちらでは、楽天ふるさと納税を利用する方向けにお得な返礼品情報をご紹介しています。
【ふるさと納税やり方③】申告方法を選択する
ふるさと納税は「ワンストップ特例制度」「確定申告」の2種類から申告方法を選択できます。
どちらを選択しても、税金の控除額は同じなのでご安心ください。
- ワンストップ特例制度⇒住民税から控除
- 確定申告⇒所得税と住民税から控除
私は、確定申告で申請する方法がおすすめです。
理由は、ワンストップ特例制度に「自治体へ書類の手続きが必要」「医療費控除など他で確定申告する場合は無効になる」という注意点があるからです。
確定申告と聞くとハードルが高そうに感じますが、ネットで見本を見ながらすぐに手続きができるので思ったよりも簡単ですよ。
ワンストップ特例制度の仕組みと注意点
ワンストップ特例制度は、確定申告を行わずにふるさと納税の寄附金控除を受けられる仕組みです。
以下の条件を両方満たす場合利用可能です。
ワンストップ特例制度の利用者条件
①1年間の寄附先が5自治体以内であること
②確定申告や住民税申告をする必要のない給与所得者等であること
※①と②のどちらも満たす人のみ利用可能です。
寄附申し込みをする際の注意点
①寄附先の自治体は6軒未満にする必要がある。
②寄附を行った翌年の1/10迄に申請書を自治体に必着で提出しないと「無効」になる
③他の控除をするために確定申告を行うと、ワンストップ特例制度が「無効」になる
ワンストップ特例制度を利用し、医療費控除などで確定申告を行った場合は、「ワンストップ特例制度が無効になる」ということを必ず覚えておきましょう!
【ふるさと納税やり方④】書類を提出する
寄附後の手続きは、「ワンストップ特例制度」と「確定申告」で異なります。
それぞれのパターンに分けてご紹介します。
【ワンストップ特例制度の利用者】申請書を自治体に提出する
申し込みをした後に、寄附を行った自治体へ「ワンストップ特例制度の利用申請書」を提出しましょう!
へ締切日は寄附した翌年1月10日必着です。
期限までに申請していないと、ワンストップ特例制度が利用できずに「無効」となります。
特に、12月の年末にふるさと納税を行った方は、書類の手続きがバタバタすることになるのでご注意ください。
【確定申告をする人】寄附した翌年の確定申告期間内に申告する
寄附した翌年の期間内に「確定申告」を行いましょう!
寄附金控除を受けるためには、原則として、寄附をした翌年の3月15日までに、住所地等の所轄の税務署へ確定申告を行う必要があります。
ちなみに、確定申告期間までは、他に必要な手続きはありません。
ふるさと納税を利用すると、自治体から「寄附金受領証明書」という書類が送付されるので保管しておきましょう。
令和3年分からは、特定事業者(ふるさと納税サイト)が発行する証明書で申告してOKなので、心配しなくでも大丈夫ですよ。
ふるさと納税(寄附金控除)の申告手続が簡素化
寄附ごとの「寄附金の受領書」に代えて、特定事業者が発行する年間寄附額を記載した「寄附金控除に関する証明書」を添付する方法でもOK!
国税庁が指定した特定事業者は以下の通りです。
確定申告をしようとする際に紛失トラブルが回避できるのは大きなメリットですね!
【おまけ】間違えやすい税金用語の解説
控除上限額を入力する際に、間違えやすい用語をご紹介します。
既に知っている方・興味がない方は、読み飛ばしていただいて大丈夫です!
給与収入・支払金額・総収入金額とは?
源泉徴収票の「支払金額」という部分に該当する数字です。
いわゆる「年収」のことで、源泉徴収前の給与・賞与を全て合計した額面の金額です。
用語はサイトによって3つの表現で使い分けされていますが、意味は一緒です。
こんな質問をされて、皆さんが答えている金額がこれです。
給与所得・給与所得控除後の金額とは?
源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」という部分が該当する数字です。
先ほどの、「給与収入・支払金額・総収入金額」から、経費とみなされているものを給与所得控除として差し引いた後の金額です。
●給与収入ー給与所得控除=給与所得(給与所得控除後の金額)
サラリーマンは経費を使える余地が少ないので、年収に応じて課税対象から差し引いてくれる金額があらかじめ定められています。
※控除できる金額は所得税法で定められています。
所得控除額の合計額とは?
源泉徴収票の「所得控除の額の合計額」という部分が該当する数字です。
所得控除とは、
こんな感じで、所得の中から個々の事情に応じて課税額を控除(引き下げ)してもらった金額の合計です。
代表的な控除では「配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、医療費控除」などがあり、この控除額合計が所得控除の額の合計額です。
課税所得とは?
所得税の課税対象となる個人所得のことです。
●給与所得-各種所得控除=課税所得
私たちの所得税は、この課税所得の金額に応じて納税額が大きく変化します。
ポイントは「所得控除」を増加させることで課税対象額が減るということです。つまり、使える控除を正しく活用していくことで、私たちの手元に残るお金が増えるということです。
所得税とは?
源泉徴収票の「源泉徴収税額」という部分が該当する数字です。(厳密に言うと、源泉徴収税額=所得税+復興特別所得税です。)
所得税を簡単に説明すると、個人の所得に対してかかる税金です。
●課税所得×税率=所得税
税率は、累進課税と呼ばれる、高所得者ほど高い税率が課される仕組みになっています。
MR(製薬会社)の方は税率20%の方が多いと思います。
まとめ
今回は、ふるさと納税に関する基礎知識と注意点をご紹介しました。
今回ご紹介した中で、特に大事な点は以下3つです。
この記事のまとめ
●ワンストップ特例制度と確定申告では控除額の計算方法が異なる
●ワンストップ特例制度は「住民税」が控除される
●確定申告は「住民税の控除」と「所得税の還付」になる
●ふるさと納税は上限額を必ず事前に確認し、金額を超えないように注意する
●ポイント還元キャンペーンを活用してお得に利用する
●ワンストップ特例制度は無効にならないように注意する
最後までご覧いただきありがとうございました!
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