「ふるさと納税」を皆さんは活用していますか?
とってもお得な制度として市民権を得ていますので「既に利用しているよ~!」という方は多いかもしれません。
しかし、制度の細かな注意点や寄附をした後の確認方法をついつい忘れがちになります。
そこで今回は、ふるさと納税に必要な知識を「申し込み手順~寄附後の確認方法」の順番にまとめてご紹介したいと思います。
今回の記事はこんな方にオススメです。
【ふるさと納税 仕組み】どのような制度になっているのか?
ふるさと納税は約2,000円の手数料で寄附総額の約30%相当の返礼品をGETできる、お得な制度です。
もう少し具体的にご説明すると、自分の選んだ自治体に寄附(ふるさと納税)を行った場合に、寄附額のうち2,000円を越える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度です。(控除=差し引くという意味)
そして、寄附先から寄附総額の約30%相当を返礼品として受け取れます。
イメージしていただきやすいように、流れをまとめてみました。
ふるさと納税のざっくりイメージ
(寄附上限額100,000円Ver.)
- 市町村に100,000円寄附する
- 寄附先から返礼品がもらえる(寄付額の30%前後相当)
- 確定申告すれば100,000円ー2,000円=98,000円分の税金が減額される。(所得税から還付され、住民税が減額される。)
- 結果的に約2,000円の手出しで30,000円相当の返礼品を貰えたので、実質28,000円分お得!!(実質利回り28%)
【ふるさと納税メリット】ほとんどの人は利用すべき制度!
ふるさと納税は多くの人にとってメリットが大きい制度になりますので、活用をおすすめします!
ふるさと納税のメリット
①豪華な返礼品がもらえるのでお得
②ポイント還元と組みあわせることで更にお得
③故郷など、自分の好きな自治体へ寄附(納税)することができる
通常であれば算出された税金を納めるだけですが、ふるさと納税を利用することで「豪華な返礼品」+「各種ポイント」をGETできる恩恵は非常に大きなメリットです!
【ふるさと納税デメリット】手続きの手間はかかってしまう
ふるさと納税にはデメリットも存在しますので、ご紹介します。
ふるさと納税のデメリット
①実質的には税金の前払いになるため、一時的な支出額が増える
②制度利用に伴う手続きの手間が発生する
③年間で2,000円の手出し(自己負担)が必要になる
④控除される金額を超えて寄附すると超過分は自己負担になる
ふるさと納税は「税金の前払い」のイメージになるので、一時的に支出金額が大きくなります。(税金面で損することはないのでご安心ください)
また、金銭的な負担として2,000円の自己負担は必ず発生します。
ただし実質2,000円以上の返礼品をGETできるのでここは大きな問題にならないですよ。
控除額を超過すると損になるので、事前に「ふるさと納税サイト」で上限額シュミレーションを必ず行いましょう。
【ふるさと納税控除額】所得税・住民税が控除される仕組み
ふるさと納税には税金の控除方法が2パターンあります。
ふるさと納税の申告方法
●確定申告⇒所得税と住民税から控除
●ワンストップ特例制度⇒住民税から控除
※どちらを利用しても、控除される総額は同じです。
このようなご意見もあるかと思いますので、もう少し補足説明しますね。
ふるさと納税の控除に関する全体像はこちらです。
※控除とは「差し引く」という意味です。

ふるさと納税を利用した際に「所得税」が控除される仕組み
所得税とは、私たち個人が1年間に得た所得に対して課税される税金のことです。
ふるさと納税を行い、確定申告で寄附金控除の手続きをすると、その年の所得税から控除される仕組みになっています。
ですので、確定申告資料作成時に還付金(戻ってくるお金)が算出され、申告した後しばらくすると、申告時に記載した振込口座へ還付金が振り込まれます。
確定申告資料を作成し、最後の還付金額(戻ってくるお金)を確認した時に、寄附金総額と比較してこう思った方はおられませんか?
大丈夫です!寄附総額が還付される訳ではありませんので間違ってないですよ!
所得税から控除される金額の計算方法は以下の通りです。
所得税から控除される金額の計算方法
所得税からの控除 =(寄附金額-2,000円)×所得税率×1.021(特別復興所得税)
例えば、ふるさと納税を10万円寄附した所得税率20%のAさんで計算します。
Aさんの場合、(100,000-2,000)×20%=19600円の還付となります。
ふるさと納税を利用した際に「住民税」が控除される仕組み
住民税とは、都道府県民税と市町村民税を合わせた税金で、毎年1月~12月の所得をもとに計算されて翌年の6月から納付が開始される仕組みになっています。
ふるさと納税を行った場合、翌年度の住民税から控除されていきます。
具体的な住民税の控除額の確認方法は以下の通りです。
住民税から控除される金額の確認方法
「市町村民税」+「都道府県民税」
※ふるさと納税を行った翌年の5~6月に届く「住民税決定通知書」の摘要欄に記載されています。
例)大阪府大阪市の人⇒「市民税」+「府民税」
住民税からの控除額は、「基本分」と「特例分」を合わせたもので計算されています。
ここは参考程度の流し読みでOKです。
【基本分】
住民税からの控除 = (ふるさと納税額-2,000円)×10%
【特例分】
住民税からの控除= (ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10% – 所得税の税率)
※10%は基本分の税額控除
では、次から実際にふるさと納税の手順をご紹介します。
【ふるさと納税手続き①】控除上限額を確認する
個々の所得に応じて控除上限額が設定されているので、必ず実施前に自分の上限額を確認しましょう!
確認方法は、ふるさと納税サイトに用意されているシュミレーションを活用すればOKです!(記事下部にリンクを用意しました。)
還付・控除の上限額は、ふるさと納税を行う年(1月1日~12月31日)の所得金額で計算されます。
例えば、2020年にふるさと納税を行う場合、2020年1月~12月分の給与収入(年収)から限度額を算出します。
上限額を確認する際のポイントは以下の通りです。
チェックポイント
●「源泉徴収票」または「確定申告書の控え」を用意する⇒収入の正確な把握に必要
●ふるさと納税サイトの「詳細シュミレーション」を利用する⇒上限の試算に便利
ちなみに私は、以下の流れで実施しています。
私の方法
①源泉徴収票をもとに2~3サイトで詳細シュミレーションを行う
②上限の目安を見極める
③2月~11月までの期間中に、上限枠が余る程度で利用する
④12月下旬の年末調整後結果を基に再度シュミレーションを行う
⑤今年の正確な収入に応じて算出された、残りの枠を使い切る
寄附上限額のシュミレーションにおすすめのサイト
オススメのサイトは以下の4つです!
●楽天ふるさと納税:詳細版シュミレーター
●ふるさとチョイス:控除上限額シュミレーション
●さとふる:控除上限額(限度額)シュミレーション
●ふるなび:控除上限額シュミレーション

【ふるさと納税手続き②】ふるさと納税を申し込む
寄附上限額を確認できたら早速応援する自治体を検討し、寄附をしましょう!
1月1日~12月31日の対象期間中に入金が完了(決済完了)していればOKです。
もし12月末に申し込む場合は、クレジットカード決済を選択しましょう。(郵便振替などは、時間がかかるので支払いが年内に間に合わないリスクがあります。)
個人的にサイトのオススメは、楽天ふるさと納税です!
理由は、楽天スーパーセール等のイベント開催時に申し込むことで、ポイント還元の恩恵も享受できるため、Wでお得になるからです!
【通常のふるさと納税サイト】
100,000円寄附=30,000円相当の商品GET(2,000円支出)
【楽天ふるさと納税サイト】
100,000円寄附=30,000円相当の商品+楽天ポイントGET(2,000円支出)
※私の場合、ふるさと納税だけで楽天ポイントを15,000~20,000ポイントGETしています。
こう思った方は、当サイトの別記事ではとってもお得なおすすめ返礼品情報をご紹介していますのでご覧ください。
確定申告とワンストップ特例制度はどちらが便利?
ふるさと納税は「①確定申告をする」「②ワンストップ特例制度を利用する」の2種類から申告方法を選択できます。
個人的には、確定申告で申請する方法がおすすめです。(ワンストップ特例制度は利用しない)
理由は、ワンストップ特例制度には「①自治体に書類の手続きが必要」「②医療費控除など他で確定申告する場合は無効になる」などの注意点もあるからです。
確定申告と聞くとハードルが高そうに感じますが、ネットで見本を見ながらすぐに手続きができるので思ったよりも簡単ですよ。
こう思った方向けに、ワンストップ特例制度の方法と注意点に関してご紹介します。
ワンストップ特例の仕組みと注意点
この制度は、確定申告を行わずにふるさと納税の寄附金控除を受けられる仕組みです。
以下の条件を両方満たす場合利用可能です。
ワンストップ特例制度の利用者条件
①1年間の寄附先が5自治体以内であること
②確定申告や住民税申告をする必要のない給与所得者等であること
※①と②のどちらも満たす人のみ利用可能です。
寄附申し込みをする際の注意点
ワンストップ特例制度は以下のデメリットに注意しましょう。
●寄附先の自治体は6軒未満にする必要がある。
●寄附を行った翌年の1/10迄に申請書を自治体に必着で提出しないと「無効」になる
●他の控除をするために確定申告を行うと、ワンストップ特例制度が「無効」になる

特に、ワンストップ特例制度を利用している方が医療費控除などの確定申告を行う場合は要注意です!!
こんな事態が発生します。
ワンストップ特例制度を利用している年度に株式投資関連や医療費控除で確定申告を行う場合は、「ワンストップ特例制度が無効になる」ということを覚えておきましょう。
【ふるさと納税手続き③】ワンストップ特例制度の使用者は自治体に申請書を提出する
ワンストップ特例制度を利用する方と、確定申告をする方で手続きが異なります。
【ワンストップ特例制度の利用者】申請書を自治体に提出する
寄附した自治体にワンストップ特例制度の利用申請書を提出する必要があります!
締切日は寄附した翌年1月10日必着です。
もし上記期限までに申請していないと、ワンストップ特例制度が利用できずに「無効」となります。
特に、12月の年末にふるさと納税を行った方は、書類の手続きがバタバタすることになるのでご注意ください。

【確定申告をする人】特にやることなし
寄附~確定申告までの期間は必要な手続きがありません。
寄附後、下記のような封筒が市町村から届きますので、確定申告用に保管しておきましょう。

中身は「寄附金受領証明書」という書類が同封されており、確定申告時に使用する書類になります。
こんな経験をしてしまった方はおられませんか?
でも、令和3年分の申告からは大丈夫です!
ふるさと納税(寄附金控除)の申告手続が簡素化
寄附ごとの「寄附金の受領書」に代えて、特定事業者が発行する年間寄附額を記載した「寄附金控除に関する証明書」を添付する方法でもOKになりました!
つまり、「寄附金受領証明書」を紛失しても、特定事業者(ふるさと納税サイト業者)が発行している証明書が使えるようになったのでセーフということです。
国税庁が指定した特定事業者は以下の通りです。

確定申告をしようとする際に紛失トラブルが回避できるのは大きなメリットですね!
【ふるさと納税手続き④】該当者のみ確定申告を行う
寄附金控除を受けるためには、原則として、寄附をした翌年の3月15日までに、住所地等の所轄の税務署へ確定申告を行う必要があります。
確定申告を行う際には、寄附をした自治体が発行する寄附の証明書・受領書や、専用振込用紙の払込控(受領書)が必要となります。
電子申告や、国税庁ホームページ内の確定申告書等作成コーナーで作成し、印刷して提出の可能です。
また、市町村によっては税務署が無料で確定申告のサポートも実施していますので、誰にでも実施可能ですよ!
ワンストップ特例制度を利用している方は原則不要です。
【ふるさと納税手続き⑤】控除額が正しく計算されているか答え合わせ
「確定申告」or「ワンストップ特例制度」で控除が正しく行われているか確認する方法をご紹介します。
ふるさと納税でワンストップ特例制度を利用した方の控除額確認方法
毎年5月~6月に届く「住民税決定通知書」をまずは手元にご準備ください!
住民税決定通知書の左下にある(摘要)と記載の欄に、以下の記載があると思います。
寄附金税額控除 市民税 ○○円 県民税 ○○円
ここまで準備ができれば、以下の2ステップで計算が完了します。
①住民税決定通知書に記載の「市民税+県民税」を計算
②「①の金額=寄附金額-2,000円」になれば、全額控除されているのでOKです。
もし一致しない場合は以下の可能性が考えられます。
●事務的ミス⇒役所の担当課へ直接問い合わせて確認しましょう。
●寄附額が多すぎた⇒控除上限を超えた金額を寄附していたことになります。(次回から上限を再度細かく確認しましょう。)
ふるさと納税で確定申告した方の控除額確認方法
毎年5月~6月に届く「住民税決定通知書」をまずは手元にご準備ください!
住民税決定通知書の左下にある(摘要)と記載の欄に、以下の記載があると思います。
寄附金税額控除 市民税 ○○円 県民税 ○○円
ここまで準備ができれば、以下の3ステップで計算が完了します。
①住民税決定通知書に記載の「市民税+県民税」を計算
②(ふるさと納税寄附金額-2,000円)×所得税率×1.021(特別復興所得税)を計算
③最後に「①+②の金額=寄附金額-2,000円」になればOKです。
もし一致しない場合は以下の可能性が考えられます。
●事務的ミス⇒役所の担当課、税務署へ直接問い合わせて確認しましょう。
●寄附額が多すぎた⇒控除上限を超えた金額を寄附していたことになります。(次回から上限を再度細かく確認しましょう。)
【おまけ】間違えやすい税金用語の解説
控除上限額を入力する際に、間違えやすい用語をご紹介します。
既に知っている方・興味がない方は、読み飛ばしていただいて大丈夫です!
給与収入・支払金額・総収入金額とは?
源泉徴収票の「支払金額」という部分に該当する数字です。
いわゆる「年収」のことで、源泉徴収前の給与・賞与を全て合計した額面の金額です。
用語はサイトによって3つの表現で使い分けされていますが、意味は一緒です。
こんな質問をされて、皆さんが答えている金額がこれです。
給与所得・給与所得控除後の金額とは?
源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」という部分が該当する数字です。
先ほどの、「給与収入・支払金額・総収入金額」から、経費とみなされているものを給与所得控除として差し引いた後の金額です。
●給与収入ー給与所得控除=給与所得(給与所得控除後の金額)
サラリーマンは経費を使える余地が少ないので、年収に応じて課税対象から差し引いてくれる金額があらかじめ定められています。
※控除できる金額は所得税法で定められています。

所得控除額の合計額とは?
源泉徴収票の「所得控除の額の合計額」という部分が該当する数字です。
所得控除とは、
こんな感じで、所得の中から個々の事情に応じて課税額を控除(引き下げ)してもらった金額の合計です。
代表的な控除では「配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、医療費控除」などがあり、この控除額合計が所得控除の額の合計額です。
課税所得とは?
所得税の課税対象となる個人所得のことです。
●給与所得-各種所得控除=課税所得
私たちの所得税は、この課税所得の金額に応じて納税額が大きく変化します。
ポイントは「所得控除」を増加させることで課税対象額が減るということです。つまり、使える控除を正しく活用していくことで、私たちの手元に残るお金が増えるということです。
所得税とは?
源泉徴収票の「源泉徴収税額」という部分が該当する数字です。(厳密に言うと、源泉徴収税額=所得税+復興特別所得税です。)
所得税を簡単に説明すると、個人の所得に対してかかる税金です。
●課税所得×税率=所得税
税率は、累進課税と呼ばれる、高所得者ほど高い税率が課される仕組みになっています。
MR(製薬会社)の方は税率20%の方が多いと思います。

まとめ
今回は、ふるさと納税に関する基礎知識と注意点をご紹介しました。
今回ご紹介した中で、特に大事な点は以下3つです。
●上限額を必ず事前に確認しましょう!
●ワンストップ特例制度の注意点を把握しましょう!
●ポイント還元効果を活用できるサイトも上手く活用しましょう!
最後までご覧いただきありがとうございました!
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