NISA(ニーサ)制度をご存知でしょうか?
ある調査では、NISA制度を「聞いたことがある」も含めた認知率は80%前後という結果で、かなり浸透してきています。
とは言っても、
このように感じる方がおられるかもしれません。
そこで今回は、NISA制度の要点と利用状況についてご紹介したいと思います。
この記事はこんな方にオススメです。
今回ご紹介するデータデータ元は金融庁の「NISA・ジュニアNISA利用状況調査」から引用し、時系列データに集計してみました。
NISA制度のおさらい
NISA(ニーサ)は2014年1月にスタートした、個人投資家のための税制優遇制度です。(非課税制度)
上場株式・株式投資信託等の配当・譲渡で得た利益は、通常なら20.315%の課税対象となりますが、NISAの非課税投資枠内で発生した利益は非課税対象となります。
NISAには以下の3つがあります。
NISA
●一般NISA(20歳以上対象)
●つみたてNISA(20歳以上対象)
●ジュニアNISA(20歳未満対象)
それぞれの制度について、ポイントを振り返っていきましょう!
一般NISA・つみたてNISA
20歳以上が対象となる「一般NISA」と「つみたてNISA」の違いからご紹介します。
「一般NISA」と「つみたてNISA」は1人につきどちらか1つしか利用することができません。
もし1年の中でどちらか一方の非課税枠を少しでも利用した場合は、非課税投資額に余剰があっても乗り換え不可となります。(翌年から変更可能)
一般NISA | つみたてNISA | |
年齢 | 20歳以上 | 20歳以上 |
投資上限額 | ~2023年:年間120万円 2024年~:年間122万円 | 年間40万円 |
非課税期間 | 5年間 | 20年間 |
非課税投資額 | 最大600~610万円 | 最大800万円 |
口座開設可能期間 (2024年新NISA制度) | 2028年 | 2042年 |
ちなみに、一般NISAの非課税期間は通常5年間ですが、保有している有価証券を翌年のNISA枠に移し、非課税期間を最大10年まで延長する「ロールオーバー」という方法も選択肢としては可能です。(つみたてNISAにはありません)
ロールオーバー可能な金額に上限はなく、時価が120万円を超過している場合も、そのすべてを翌年の非課税投資枠に移すことができます。
ジュニアNISA
子供名義で運用するNISAです。お子さんの「長期的な将来資金」「学費(幼少の場合18歳前後の学費に合わせて15年の運用期間をとれる)」を目的としてメリットが大きい制度です。
日本国内に居住する未成年者であれば口座開設可能(親が代理開設OK)ですが、2024年に制度廃止が決定しているので実施を検討している方は早めに動き出した方が良いと思います。
制度廃止と聞いてこのように思った方がおられませんか?
実は、ジュニアNISAに関しては「制度廃止が決定したことで、利用する価値が高まった」珍しい制度です。笑
ジュニアNISAのルール
【目的】ご両親などが子供名義で運用し、教育資金等として利用することを想定し、非課税で運用できる制度
【払い出し規定】口座名義人である子供が、その年の3月31日に時点で18歳を満たしている年の前年12月31日までは原則として払い出すことができない。
この制度でネックだったのが、18歳までの払い出し制限による資金拘束でした。(払い出し規定)
しかし、2024年に制度が廃止されることによって18歳を待たずに払い出し可能な状況となり、懸念点が払しょくされたという背景があります。
ジュニアNISAの概要は以下の通りです。
ジュニアNISA | |
年齢 | 0~19歳まで |
投資上限額 | 年間80万円(2023年まで) |
非課税期間 | 5年間 |
非課税投資額 | 最大240万円(2021年開始の場合) |
ジュニアNISA口座での株式投資信託の買付けは2023年12月31日までとされており、各年において買付けた株式投資信託の非課税期間は最長5年間です。
2024年から2028年までの各年に設定されるロールオーバー専用の非課税枠として、「継続管理勘定」が設けられます。
ジュニアNISA口座で2019年から2023年の間に買付けた株式投資信託については、それぞれの年に買い付けた株式投資信託の非課税期間の5年間が終了するタイミングで「継続管理勘定」に移管して保有を続けることにより、1月1日において20歳である年の前年12月31日まで非課税の恩典を受けることが可能となっています。
2022年4月1日から成年年齢が18歳になると、口座開設年齢や非課税期間も変化します。
こう思った方は、ジュニアNISAは制度廃止後も成年の年齢までは非課税で運用できるので安心してくださいという理解でOKです!
NISA口座開設総数
ここからは、実際のNISA利用状況をご紹介していきます。
まずは全てのNISA口座(一般NISA・つみたてNISA・ジュニアNISA)の開設状況からみていきましょう。
2021年3月時点で約1586万のNISA口座が開設されており、国民の約10人に1人はNISAを利用していると推察されます。(開設率約13%)
●国民の約10人に1人はNISA利用者と推察される。
●5年間で口座開設数は500万口座増加した。
口座開設率の試算方法
NISAは制度上1人1口座しか開設できず、全国民が利用対象者(一般NISA+つみたてNISA+ジュニアNISA)であると仮定し、2021年3月の国内総人口に対するNISA口座開設率を計算。
世代別NISA口座開設数
次に、世代別のNISA口座開設数(ジュニアNISA除く)を見てみましょう。
開設数を単純に上位順から並べると「60代>40代>70代>50代>30代>80代以上>20代」となりました。
こう思われたかもしれません。
しかし、開設数は各世代で人口の母数が多いと有利になるので、このデータは参考程度で良いと思います。
一般NISAとつみたてNISA
ここでは、20歳以上が対象となる「一般NISA」と「つみたてNISA」の利用状況を考察してみます。
2021年3月時点の比率は「一般NISA77%:つみたてNISA23%」と一般NISAが多数を占めていますが、伸長率ではつみたてNISAが伸長しています。
※一般NISAは2014年1月開始、つみたてNISAは2018年1月開始という背景から、両方の揃う2018年3月~2021年3月の推移を抽出しています。
●口座比率「一般NISA77%:つみたてNISA23%」
●つみたてNISAが増加し、一般NISAが減少トレンド
私見:YouTubeやSNSで長期投資のメリットが周知されてきたことで、つみたてNISAの利用者増加につながっているのかなと思います。
世代別利用者数の推移
次に、一般NISAとつみたてNISAを世代別にみていきましょう。
「一般NISA」は年齢が高い世代ほどを利用者が多く、つみたてNISAは30代の伸長が特に大きいです。
それぞれ非課税期間と上限額が異なるので「若年=つみたてNISA」「高齢=一般NISA」は理にかなっている選択だと私は思います。
●つみたてNISA増加の牽引役は20代・30代
●20~30代の若年者層は、長期投資の時間を味方にするメリットが活かせる「つみたてNISA」を選択する傾向。
●60~70代の高齢者層は、「一般NISA」で5年間の非課税期間を有効に活用している傾向。
NISAの総買付額と投資商品
NISA全体では、どんな商品に投資しているのか確認してみましょう。
NISAの総買付額(ジュニアNISA含む)は23兆775億円です。すごい金額ですね。(2021年3月時点)
内訳は「投資信託:13兆1405億円」「上場株式:9兆4168億円」「ETF:4454億円」「REIT:2072億円」でした。
つみたてNISAの総買付額と投資商品
つみたてNISAに限定した買付額と投資商品をみてみましょう。
「投資信託:5145.9億円」「ETF:1.2億円」と圧倒的に投資信託が多数を占める結果でした。(2020年9月時点)
投資信託の内訳をみると「インデックス投信:4345.1億円」「アクティブ投信:800.8億円」です。
●つみたてNISAは約99%が投資信託で、インデックス投信が大多数を占める
私見:制度の特性上、つみたてNISA×投資信託(インデックス)が投資効率・手数料のバランスに優れていると思います。もしアクティブ投信と迷う場合、過去の投資成績は「アクティブはインデックスに劣後する」結果があることを認識しておきましょう。(未来が同じ結果になるかは誰にもわかりません)
ジュニアNISAの口座開設数
最後に、ジュニアNISA口座総数をご紹介します。
「NISA制度のおさらい」の項目でご紹介した通り、ジュニアNISAは2020年3月に廃止が決定したことで逆に利用価値が高まりました。
個人的にはこのように予想していたので、数値を楽しみにしていました。
実際に、1年間で約15万口座が新規開設され、制度開始から最大の伸長をみせました。
NISA制度は活用するべき?
投資をするなら利用価値の大きい制度だと私は思います。
運用益が非課税になるという大盤振る舞いの制度を活用せずに、通常の課税対象枠(特定口座)で運用するのは勿体ないです。
このように迷っている40代以下の方は「つみたてNISA」をオススメします。
つみたてNISAで運用する際の大事なポイントを7つ挙げます。
つみたてNISAのポイント
①オススメ証券口座は楽天証券(ポイント還元率)
②手数料が安い商品を選ぶ
③長期的(20年)に右肩上がりの可能性がある商品を選ぶ
④リスク分散された商品を選ぶ
⑤手数料や指数の同じ商品であれば、ファンドの運用額が大きいものを選ぶ
⑥積立方法に迷ったらドルコスト平均法で毎月積立が無難(月33,333円)
⑦購入設定を行って入金した後は、短期の値動きを見ない
上記を満たす方法で積立購入して設定完了すれば、あとは15~20年後に利益が出ればOKなので、短期の値動きは気にせず放置しておきましょう。(投資余力の残高不足にはご注意ください。)
※つみたてNISAについてさらに詳しく知りたい方は以下記事をご覧ください。
※ジュニアNISAについてさらに詳しく知りたい方は以下記事をご覧ください。
運用する商品の判断基準
インデックス投資信託で「全世界」or「米国」を対象にした商品が良いと私は考えています。
理由は、「信託報酬手数料の安さ」「分配金の自動再投資」「毎月積立設定可能」「過去の運用成績」「将来の期待値」で判断した際に、総合力で優れていると感じているからです。
全世界派と米国派は賛否両論ですが、ご自身が将来「どちらが成長するか?」を信じることができる方を選択すると良いと思います。
具体的な銘柄を知りたい方は、以下の記事で低コストな優良ファンドをまとめましたので、もしよければご覧ください。
参考までにインデックスとアクティブの違いをご紹介します。
【インデックス】
ベンチマークになる指数に連動した運用成績を目指します。
●指数例
日経平均(日本)、S&P500(米国)など
●メリット
市場動向に投資するためわかりやすく、運用コストがアクティブ運用より安い
●デメリット
市場動向自体が右肩下がりだと運用益は厳しい
【アクティブ】
ベンチマーク指数を上回る運用成績を目指してファンドマネージャーが運用します。
●メリット
インデックスを上回る収益が得られる可能性がある
●デメリット
インデックスを下回る収益になる可能性があり、運用コストはインデックス運用より高い。(手数料が高い)
証券口座のオススメは?
SBI証券か楽天証券がオススメです。
つみたてNISAを利用したい方は、楽天証券でカード支払い設定をすることで楽天ポイントをGETできるのでお得です。
※SBI証券か楽天証券の違いについて詳しく知りたい方は以下記事をご覧ください。
まとめ
今回は、NISA制度の利用状況や基礎知識について振り返ってみました。
全体の状況を解説しておいて恐縮ですが、投資で大事なのは「他人と比較するものではない」という考え方だと思います。
目的は自分の人生を今より豊かにすることにあると思いますので、他人と競争する必要はありません。
今回の記事を通じて、読者の皆様が過去の自分と比べて少しでも良い未来につながるきっかけになれば嬉しいです。
家計見直しや資産運用をこれから考えていきたい方は、こちらの書籍がオススメですよ。
本日も最後まで読んでいただきありがとうございました!
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他の関連記事を以下にご紹介します。
※下記記事では、低コストの優良ファンドをカテゴリー別にまとめましたので、もしよければご覧ください。
※株式投資の基礎知識を復習したい方は以下記事をご覧ください。
※高配当株投資にご興味がある方は以下記事がオススメです。
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