皆さんはマネーリテラシーという言葉を耳にする機会がありますか?
書籍やYouTubeの影響もあり、若い世代を中心に「お金」に対する考え方を見直す人が徐々に増えてきています。
お金の話をしていると、一昔前は「汚い」「欲にまみれている」といったネガティブなイメージを抱かれることがありましたが、過去の価値観になっていきそうですね。
このような金融教育に肯定的な流れが進むと、次は子供に対するお金の教育の話題が出てきます。
私も2児の父親としてどのようにお金を教えるか考える中、とても良い書籍に巡り合ったので、この記事では書籍の要点を解説したいと思います。
こんな方にオススメですよ。
●書籍名:14歳の自分に伝えた「お金の話」
●著者:藤野英人さん(投資家、レオスキャピタルワークス代表取締役会長・最高投資責任者)
藤野さんは私の尊敬する投資家の1人でもあり、この書籍では「お金」を子供にわかりやすく解説されています。
この記事で分かること
●お金を子供に説明する時の例え方と考え方
●お金の使い方と使った先にある未来の考え方
●子供たちの時代に合った働き方や学び方に適応させる準備
●人生の楽しみ方とお金の順番
【著者紹介】藤野英人さんの経歴
みなさんは藤野英人さんをご存知でしょうか?
カリスマファンドマネージャーとも呼ばれている、資産運用のプロです。
株式の投資信託を販売している「ひふみ」ブランドを立ち上げ、日本のポテンシャルがある企業に投資しながら日本を盛り上げていくことを信念とする方です。
つまり、お金のプロですね!
子供にお金を説明する方法「未来と過去の缶詰」
子供達にお金の話をする時は「未来と過去の缶詰」と例えて説明してみてはいかがでしょうか。
未来と過去の缶詰
●過去の缶詰⇒今、手元にあるお金は、稼いだりプレゼントされたりして誰かの営みやつながりによって生まれたものです。(努力・環境・人間関係の結果が引き寄せたもの)
●未来の缶詰⇒お金を使って何をするか?という選択が、自分の未来を形作っていくものです。
お金は「過去を表して未来を創るもの」と考えると、これまでのお金に対するイメージが変化してくると思います。
これだけではイメージしにくい部分もあると思いますので、お金について4つの観点で考えてみましょう。
お金の役割とは「価値の交換ができる便利な道具」
お金の役割を説明するなら、「価値の交換ができる便利な道具」と伝えるとイメージしやすいと思います。
お金は、モノやサービスをはじめ、労力やコストといった目に見えないものも価値を交換する活動の媒体になります。
また、価値があることで、人の努力や才能を引き出すパワーの源泉になり文明が発展することもあれば、時には争いに発展する歴史もありました。
このように、お金には一定のパワーが宿っていると言えます。
お金だけでは全てを手に入れることができない(不完全性)
お金にはパワーがある一方で、全てを手に入れることができないという不完全性もあります。
例えば、空気・海といった自然や、友情・愛情などプライスレスなものは決してお金だけで入手できるものではありません。
昔こんなCMが流行ったのを覚えている方はおられるでしょうか。「お金で買えない価値がある。プライスレス。」
お金は「稼ぐ」「消費」の2つで誰かを支え合っている
お金は「稼ぐ」だけでなく、「消費」だけでも立派な経済活動に参加していることになります。
経済のサイクルは、消費がなければ動きだしませんので、収入がなくてもモノを買っていることで社会の役に立っていることを子供達に話をしてみましょう。
食事・衣類・カバン・スマートフォン・お菓子など、モノに関わっているということは、間接的に誰かを支えているということが言えます。
子供~高齢者の方まで常に何らかの経済活動に参加している社会の一員で、人間は生きている限り誰かを支えているということを認識することはとても大切です。
お金が全てではない「夢が先でお金は後」
成功者によくある「夢が先で、お金は後」という考え方を話してみるのも良いと思います。
似たような言葉では、ユダヤの教えにあるタルムードにも「ノーペイン・ノーゲイン」という言葉があります。
こんなことを自分の幼少期に1度は思った経験がありませんか?
しかし、子供に不自由なくお金を与えすぎると、成長に逆効果という話もあります。
前澤友作さん、両学長、マライヤ・キャリーさんなど、もともとはお金持ちではない人が大成功を収めているケースはいくらでもあるという事実にも目を向けてみましょう。
世の中で成功をおさめた人に共通することは、「お金より先に夢を持っていた」ということです。
「夢があるからお金が集まってくる」という順番を認識しておきましょう。
お金は使う時に人の本音や意思が分かる
お金は、使う(買う)時に人間の本音や意思が表れるということを子供たちに教えてみましょう。
特に、自分の意思を持ってお金を使うことは非常に重要で、「未来を創る」という行為に繋がっていることを伝えてみると、お金の使い方に変化が生まれるかもしれません。
こう思われるかもしれませんが、多くの方が無意識に未来を創る行動をとっていますよ!
例えば、皆さんが最近購入した商品や、食事を思い浮かべて下さい。
そこで、質問です。
この質問に対して考えてみると、自分なりの判断基準や拘りが思い浮かぶのではないでしょうか。
「人間の本音は、売るものではなく買うものに表れる」という言葉があります。
基本的に人間は、「好きなモノを選ぶ」という意思決定を下して買い物をするので、買い物は生き方の主張と考えることができます。
そして、「1人1人の意思決定が積み重なる⇒誰かの売り上げになる⇒売り上げから会社やお店の成長に繋がる⇒未来の風景を変える」という風に連鎖していきます。
このように、何気ない買い物1つ1つが未来へ繋がっていると考えれば、自分の意思で考えて決断しようと以前よりも思うのではないでしょうか。
お金は「使って終わるもの」ではなく、むしろ「使ってから始まるもの」ということを意識して、自分で決めてお金を使えるようにお子さんへ教えてみましょう。
すると、日常で自分で決めていることの多さに驚くと思います。
このように感じことが出てくるかもしれません。
しかし、決して「無駄遣い=悪」ではないと思います。(私の願望も込みです。笑)
「後悔する買い物をするのが人間だ!」と言い切れるくらい割り切って考えて、買い物の試行錯誤を楽しみながら、気付き・学びに素直に向き合ってみてはいかがでしょうか。
そして、もし小さいお子さんが何か買いたいと言った時は、親として口出ししたくなるのをぐっと堪えて、後悔も含めた経験を積ませるために本人の意思を尊重するのも教育の1つとして有用ですよ。
人とのつながりにもお金を使うことが大切
人とのつながり、応援(寄附)といったお金の使い道があることも、成長の過程で教えるとよいと思います。
お金を使うことと言えば、最初に思い浮かべるのは「買う」「遊ぶ」などの自分に関連することになりがちです。(私も同じです。)
しかし、本当のお金持ちや成功者ほど、人とのつながりや寄附などの「見えないもの」にもお金を使います。
私たちもまずは「家族とのつながり」「仲間とのつながり」に対してお金を使うことから意識し、次のステップとして「地域とのつながり」「新しい人とのつながり」へと拡大させてみてはいかがでしょうか。
例えば、キャンプやバーベキューなどアウトドアに出かけて家族一緒に楽しむ機会を作るのはいかがでしょうか?
ぜひお試しください!
自分に合った「働き方」「学び方」を選択する
世の中の流れは柔軟な働き方へとシフトし、個人が1つの会社に縛られることなく、自由に好きな職場を選びやすい社会が近づいてきています。
「働くこと=所属」の時代は過去の価値観になっていくことを私たちは認識しておく必要があるでしょう。
私たちの子供達の世代が大人になる時には、1人が複数社を掛け持ちで仕事している時代が当たり前になっていてもおかしくありません。
そこで、今のうちから子供たちに教えておきたいルールは「自分の給料は、世の中の人をたくさん喜ばせることができれば増えていく。逆に誰も喜ばなければ減っていく」ということです。
会社に所属している価値観であれば、「給料=会社から」というイメージを持っていましたが、個が重要視される時代では、社会にどれだけ役に立てるかが重要になるからです。
こういう意見がありそうなので、価値観を醸成するコツをご紹介します。
習い事、部活で「一つの道に邁進するのが理想」という価値観を子供に植えつけないようにしてみてはいかがでしょうか?
子供であれば、「ダンスしたい」「ピアノしたい」「体操したい」など興味の方向は色々なところに向いています。(私の娘の話です)
その中で、本人が1つに絞ると決めたのなら全く問題ありませんが、親の自己判断で「夢中になっていいのは1つだけ」「1度決めたら簡単に辞めるな!絶対に続けろ」と強制するのはやめてみましょう。
逆に、「ルールは変えてもいい」「自分で決断し、変えることができる」という考え方を子供に伝えることで、やりたいことを諦めずにできる人生になるのではないでしょうか。
(そうはいっても、いざ習い事を辞めると実際に子供から言われると、「えーっ!?」とはなってしまうんですけどね。苦笑)
人生を楽しむことが先で、お金は後からついてくる
人生の主人公は自分自身です。自分の考え方や選択次第で人生はいくらでも楽しくできます。
「お金があるから人生を楽しめるのではなく、人生を楽しむことが先で、お金は後からついてくる」ということを子供と話ができると良いですね。
人生を楽しむための手段として、「やりたいことは何でもやってみよう!」というチャレンジの意識を持つように伝え続けることで、子供たちにとっても良い影響が出てくると思います。
書籍では、ある映画のクライマックスシーンについて紹介されており、印象的だったので原文のままご紹介します。
ある技能を習得しようと修業を重ねていた主人公が、ついに達人の域に達したクライマックスシーン。
「技能の極意を得たら、伝説のドラゴンが残した秘伝の巻物を手にすることができるという言い伝えから、主人公は厳しい修行に耐え、乗り越えてきました。
そして、ついに巻物がその手に。高鳴る鼓動を抑えながら、開けてみると・・・・・なんと「白紙」だったのです!
先人が残した秘伝などもともとなく、自力で獲得した技能がすべて。
仮に、秘伝がそこに書かれてあったとしても、おそらく役に立たない。先人の時代では役に立ったかもしれないが、今に通じるわけもなく、ただ風化と劣化で失望させるだけだ。」
白紙であったことからも、深い意味が受け取れます。
白紙とはつまり、無限の可能性ー自ら学び、成長できる者だけが、この白紙の巻物を受け取り、そこに何かを新たに描くことができるという希望の凝縮です。
引用:14歳の自分に伝えたい「お金の話」
まとめ
本日は、14歳の自分に伝えたい「お金の話」を基に、自分の子供にお金を教える際に参考にしたい考え方をご紹介しました。
~私たちのお金の使い方が、社会の未来を決めていく~
この感覚を大事にしたいなと私は強く感じました。
●お金は「未来と過去の缶詰」
●お金は、使う(買う)時に人間の本音や意思が表れる
●人とのつながり、応援(寄附)といったお金の使い道もある
●自分の給料は、世の中の人をたくさん喜ばせることができれば増えていく。逆に誰も喜ばなければ減っていく
●お金があるから人生を楽しめるのではなく、人生を楽しむことが先で、お金は後からついてくる
お金のことには100%の正解がない中で、子供たちが価値観を形成していく過程で大きな影響を受けるのが親の考え方と言われています。
今回ご紹介した書籍は、お金のことについて再考するよいきっかけになると思います。
少しでも参考になれば嬉しいです。
最後までご覧いただきありがとうございました!
他には、小学生のお子さんにお金のことを教える方法について別の書籍をまとめ解説しています。
今回の書籍の著者である藤野英人さんの書籍等に関する過去記事をご紹介します。
書籍「投資家みたいに生きろ」の中から、リスクを取るための考え方を深堀りした記事です。
書籍「投資家みたいに生きろ」の中から、投資の生み出すエネルギーと時間への投資を深堀りした記事です。
株式投資における、藤野さんの考え方をまとめた記事です。投資家必見の内容です!
子供の学習環境について解説しています。
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